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17-18

再編集した為2話分の話しを統合しました

内容に大きな変更はありません

サブタイトルの数字もそういう意味のものですので特にお気になさらずにお願いします

 公人はエルフ種の兵士二人に観察されているが、臆すること無く挨拶をする。


「初めまして、公人と言います」


「ほ~。お前さん人類種か。若いのに人助けとは立派な心がけじゃないか」


 老兵士が肩を叩こうと手を出すのを、反射的に避けてしまいそうになる。だがルネがいる手前あまり変な事をして恥をかかせる訳にはいかない。

 何とか抑えて軽く会釈をするが、思わず体も顔つきも硬くなってしまった。おかしな顔になっていないだろうかと心配したが、肩に乗せた手をそのままに老兵士は違う所に目をつけていた。


「……ほう。見た目以上によく鍛えられている。ただ蛮勇で人助けをした訳ではないようだな。ともかくルネ様を助けてくれてありがとう。儂らからも礼を言わせてもらうよ」


「礼だなんてとんでもない。今もルネさんのご厚意に甘えさせて貰っていますし、こちらの方が感謝しているくらいです」


「若い内はそんなに謙虚にならんでいい。ところで今日はエルフ種区にどんな用事だね?」


「図書館へ行って勉強させて頂こうかと。うちの区の図書館には無い様な文献もあるでしょうし、ルネ様がエルフ区を案内してくださると言うので」


「体も鍛えている上に勉強熱心とはますます感心だな。分かった、通っていいぞ。くれぐれもルネ様にご迷惑をかけるなよ。まぁ心配はしてないがな」


「ありがとうございます。では失礼します」


 公人は二人に向かってお辞儀をする。若い方の兵士は最後まで公人と目を合わせなかったが気にしないでおく。門の日陰に移動していたルネの元に駆け寄りまた二人で歩き出す。


「こら、ぼけっとしてないで仕事に戻るぞ」


「良いんですか?素性の知らない奴を簡単に通してしまって。しかもルネ様の近くに置いておくなど。あいつからは何か妙な雰囲気というか気配がしました。周囲の精霊も少しざわついていましたし」


「確かにそうだが、話した限りでは誠実な少年という感じだったしなぁ。まぁルネ様の事だ。その辺りの事も察して一緒にいるのだろう」


「それはそうかもしれませんが……もしもルネ様の身に何かあったら俺が絶対とっちめてやる」


「そうはならないと思うがな。それにもし何かあったとしても、お前ではどうにもならんだろうな」


 その言葉に若い兵士はやや語気を強めた。


「先輩も俺の実力はご存知でしょう?これでも次の闘技祭代表候補なんですから」


「辞めておいた方がいい。先のやり取りで分かったが、体を鍛えているとは随分と控えめな表現だった。彼の体はまるで鋼のようだったよ。それでいて所作の一つ一つはとても軽やかだ。あの若さでよく鍛えられたものだ。きっと儂らの訓練など笑い飛ばせるような、血の滲む鍛錬をしているのだろう」


 老兵士の言葉に若い兵士は言葉を失う。振り返り公人の姿を探すが、二人はもうそこにはいなかった。


 エルフ種区の中はやはり自然で溢れている。ここまでの道中程では無いが一定距離で緑化の為の花壇や並木道が造られている。それ以外の道はきちんと舗装されているし家も見たところ石造りが多く人類区とそこまで大きな違いは無かった。心の中では勝手に木の中に住んでいると思っていた為少々意外に思う。


「それじゃあ図書館へ向かいましょう」


「え?あっいや、さっきのは俺が魔法を使える事がバレないように言っただけで」


「冗談よ。修練場へ向かいましょう。ここからならそう遠くないわ」


 修練場は小高い丘の上にあった。この周囲に他の建造物は無く立地条件も相まって非情に景色がいい。街のほとんどが見渡せるようだ。


「良い眺めでしょう?街が一望出来るもの。お城からの景色といい勝負が出来るわ」


 さっき潜ってきた門と丁度反対側に大きなお城が見える。その風貌はお城というよりも巨大な山のようだった。


「すごいですね。まるで山のようだ」


「事実あのお城の一部は山そのものよ。城の内装は一部生えていた木をそのまま使っているし、大きな木はそのまま繰り抜いて部屋にしている所もあるわ。山を切り崩して建てたわけじゃないから、お城の裏側はそのまま山の中に繋がっているわ。さぁ、中に入って練習を始めましょう」


 修練場の中もやはり綺麗に掃除されている。やや古びた感はあるがまだ建物としてはしっかりしている。


「ここは街の建物と違って全部木造なんですね?」


「精霊はどこにでもいるけれど、自然を好む傾向があるから修練場には極力木材を多く用いるのよ。お城も同じ理屈で、自然をなるべく残すように工夫しているの。さぁ、そろそろ始めましょうか。まずはきちんと精霊を見れるようになる所からね。私が魔法を使ってみせるからそこで見てて」


 ルネは軽く息を吐き手を上にかざす。次の瞬間には手の上で水がまるでシャボン玉のように浮いていた。しかし店で見たような光は見えなかった。


「すみません。やっぱり精霊は見えなかったです。いきなり水が現れたようにしか見えませんでした」


「……私達は意識的に目を切り替えることが出来るけど、公人はそれが出来ないみたいね。切っ掛けが見つかればすぐに見えるようになると思うのだけど。初めて魔法を使った時や、お店での事を思い出してみて、何か共通点とか印象に残ったことは無い?」

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