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あの風に願いを込めて  作者: 通りすがりのバッタ男
学園-巫女争奪戦編
11/23

しばしの休息 学園祭その1

#風神雷神の間

気がつくとそこは風神雷神の間だった。

台座に横たわる石になった慎吾。

「風神、雷神、慎吾さんは。」

『安心しろパワーを使い果たしただけだ。』

『ここでアークを補充すればいずれ強化して復活する。』

大地はホッとした。いくら自分も戦えるとはいえ未熟者の自分一人では心配だった。

『今私たちの力の半分を使って結界を地球上に張り巡らせた。』

『これでしばしの間巫女は発見されないであろう。少しの間だが休息したまえ。』

気がつくと元の場所だった。

警察がやって来る。

良樹さんが歩いてきた。

「大地くん・・・・護衛はしっぱいした。」

「慎吾さんも怪我をして今治療中です。」

「そうか・・・、詳しくは聞かないよ。あいつのことだひょっこり帰って来るさ。」

生徒会長はそのまま帰っては来なかった。

それから2ヶ月が経った。

6月・・・うちの学校は文化祭のシーズンが6月であった。

俺たちのクラスの出し物は喫茶店かお化け屋敷かでもめていた。

お化け屋敷は機材が少ないため抽選会にもたれこんでしまう。

失敗すれば休憩所か別のものに。

一方喫茶店にはベストメニューグランプリというものがあり優勝すれば表彰されるというものだった。

「お化け屋敷に決まってる。文化祭といえばお化け屋敷だ。」

「喫茶店だよ。みんなでグランプリ優勝しようぜ。」

結局抽選会に外れ喫茶店になったのだが・・・・・・・。

「で・・・・誰が料理を?」

「てか料理できるやつ挙手。」

挙手したのはクラスの3分の1。

大半は簡単なカレーやシチューというものだった。

「なんかありきたりでインパクトがないな。大地は得意料理なに?」

「鉄板焼き」「鉄板焼き?」

「お好み焼き、焼きそば、肉料理に焼き飯・・・・・とかかな。」

こうして俺のクラスは鉄板メイド喫茶という異形なものになった。


#準備二日目

いよいよ明日から文化祭。

準備はまあまあできたが朝一で食品を業者から受け取るので半数は泊まることになった。

もちろん俺も泊りだった。

料理担当者に全てのことを教えた気がつけば0:00。

教室は狭かったので写真部の部室で寝ることにした。

案の定人はいなかった。

眠ろうと床についたとき誰かが入ってきた。

「一条さん、君も教室で寝れなくて?」

「はい。」彼女は嬉しそうに頭を振る。

部室には沢山の写真があった。

それぞれ個性的な写真がいっぱいだった。

「先輩の写真って本当にいいですよね。」

「君のだっていいじゃないか。」

「そんなことありません。」

里香の写真は木に止まった鳥と菜の花畑。

慎吾の写真は2羽で飛び立とうとする水鳥とベンチの横に咲く小さなタンポポ。

「今だから話しますけど私先輩のこと好きですよ。」

「そうか・・・・。」

「そうかって、もっと反応ないんですか?」

笑ながら里香は聞く。

「もう、恋愛はしないって決めたんだ。」

「なんでですか。」

「昔、美琴って彼女がいたんだ。飯を食うのも帰るのも遊びに行くのも何をするのも一緒だった。」

東京大崩壊の日美琴から電話があった。

避難することになってるけどそっちは平気かと。

俺たち一家も避難したんだ。

それが最後の電話だった。

美琴たち一家は避難が遅れて大崩壊の被害にあった。

弟と両親は即死。美琴も瀕死の重症だった。

「あの日がなければ一緒にこの学校の制服をきて一緒に学校通って帰りに・・・・・喫茶店よって・・・・・・。」

慎吾さんも生徒会長も守れない。

何度も同じ過ちを繰り返したと思うと涙を我慢できなかった。

そんな大地の頬に里香は涙を流しながらそっと口付けをする。

「私も・・・・お兄ちゃんも、部活のみんなも、先輩をおいてどこにも・・・いかないよ。」

自然とお互いの口が触れ合っていた。

美琴に罪悪感を持ちつつも里香の優しさに感謝した。

二人は何事もなかったように離れて眠った。

けどお互い何と無く距離は近づいていた。


つづく


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