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詩織
俊也とは幼馴染でずっと一緒に生きてきた。
でも、「恋愛」という感情は生まれなくて、友達以上恋人未満の関係でいた。
この前、同じクラスの男子に告白された。別に断る理由もないので、OKを出した。
彼は、惣一といって、私よりずっと背が高く男らしい。
付き合っていくうちに、彼の優しい心から、だんだん好きになっていった。
帰るときに、俊也に「今日も一緒に帰ろう」といわれた。
あ。彼氏ができたって言ってない。
どうしよう。
言葉を言うより先に、行動してしまった。
私は、俊也に何も言わないで笑って手を振っていた。
あの時の、俊也のかなしそうな顔。
俊也は私が彼氏ができたのを知っていたのかもしれない。
それでも、私に声をかけてくれた。
ココロがズキンと痛んだ。
私はもしかしたらずっと俊也が好きだったのかな。
隣にいる彼氏が「どうしたの」と声をかけてきて、はっとする。
目からナミダがぽろぽろと出ていた。
俊也と惣一。
わたしはどうすればいいのかわからなくなってしまった。