初めての襲撃 後
お早うございます。すらいむ[N]です。
マグラ、襲撃の後半です。
ではどうぞ。
朝、まだ夜が明ける前、レノ一行は拠点に向けての攻略を開始した。
クロウドの能力でドラン一行に奇襲作戦を伝える。
順番としては補給拠点を選挙した後、混乱の中敵の本拠点を占拠する。
敵に気づかれないように森の中を進んでいると、ふと声が聞こえた。
「ふー、こんなとこにいても暇なだけだよ。最近は旧魔族のやつらが動き出したらしいし・・・」
「文句いうなって。ここだって最前線だぜ?」
「いやいや、俺は勇者側に行きたかったな。そっちの方がよっぽど仕事があるぜ。」
どうやら新魔族の会話のようだ。
どんどんこちらへと近づいてくる。
「・・・クロウド、どうする?」
レノが声を潜めて問いかける。
「仕留めましょう。敵は少しでも少ない方が良いですから。」
「私が新魔族に化けて誘き出します!」
「そうだな、テト、よろしく頼む。」
テトはドロンという音と共に煙に包まれ、新魔族に化けた。
「完成度高いな~。全然分からないや。」
レノは感嘆しながらテトが敵の方へむかっていくのを見送った。
そして、レノとクロウドは草影に身を潜め、敵が来るのを待った。
しばらくして会話と共に三人がやって来た。
ちょうどリーチの中に入ったとき、クロウドの能力でテトの心に呼び掛ける。
するとテトの変身が解け、新魔族たちは呆気に取られた。
そこにレノとクロウドが後ろから首もとに刃物を当て、一気に切り裂いた。
一瞬のことだった。
二人の新魔族は地面に倒れている。
「・・・! 今ドランから補給拠点を制圧したとの報告が入りました。敵は少なかったようです。そして敵の一人に応援を呼びに行かせたそうです。」
「じゃあ俺たちも行こう!」
「「はい!」」
合図と共にクロウドは高く飛び上がり、遥か空中で呪文を唱え出した。
ドドドドドッ!!!
炎球が次々とクロウドの手から離れ、拠点の方角へと降り注ぐ。
レノは拠点へと走り出す。
拠点には、数百人の新魔族が慌てふためいていた。
その混乱に乗じ、レノは魂装刀を抜いて斬りかかった。
「マグラァ!!」
声と共に古びた剣が曇りひとつない名刀へと姿を変える。
空からはレノを援護するように炎球が降り注いでいる。
レノが数十人の新魔族を切り伏せたところで少し力のありそうなやつが現れた。
「奇襲とは卑怯な!正々堂々勝負しろ!」
と叫んでいる。
レノは剣を構え直し、その新魔族へと斬りかかっていった。
向こうも走りだし、同時に剣を振り下ろす。
鋭い音とともに、お互いに一歩、間合いをとる。
「マグラァ!!」
すると魂装刀がフォードの銃へと変わる。
ダンッ!ダダダンッ!!
銃声が響く。
全て敵の腹部へと命中し、敵の腹には4つの風穴が開く。
「ひ、卑怯な…」
敵は倒れ、レノはフォードの銃を撃ちながら戦場を駆け巡った。
戦いは圧勝だった。
こちらは一人も欠けることもなく、勝った。
「圧勝でしたね。」
神殿の一室でクロウドが口を開く。
「でもまだ始まったばかりだろ?」
レノは少し笑いながら言う。
「そうですね。でも・・・大丈夫でしょう。」
旧魔族たちはその夜、勝利の酒を飲んだ。
いかがでしたか?
ここまでを第一章として、完結とします。
お読みくださり、ありがとうございました。