厳重注意彼女
作品のテーマ
『ヤンデレだって、たまには穏やかに暮らしたっていいじゃない』
前編は下記URLよりどうぞ。
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ルコ「おはよー!」
…散々搾られた日の朝。
結局、「おやすみー」も「おはよー」もない。寝ずにオールナイトフィーバー。
目の下に隈をつくって、物凄く眠たそうにしてるのに、ルコの奴は至って元気だ。
…さすが、俺の精。元気が吸い取られたな…。
死んだ目で学校の準備を進めていく。
ルコが朝ごはんを作ってくれているが、そんなの食べたい気分じゃない。
むしろ吐きそうです。
テンションが最低のまま、靴を履いて玄関を出る。
後ろから俺を追いかけてくる自転車の音。
ルコ「まってー速いよー!」
俺の優しい性格を感謝しろ、ルコ。この眠たさの俺なら、無視してもおかしくないんだからな。
ツンデレな事を思いつつ、速度をほんの少しだけ遅らせる。
並んで走る、1組のカップル。
自転車の並列はダメとか、そういう細かい事はいらない。
周りからの妬みなどの痛い視線を、見事にスルーしていく。
ルコは普段通り、いろいろと話しかけてきたが、それに返事をする余裕は残ってなかった。
自分でも訳の分からない「あー」とか「うー」しか言ってない。
だんだんとそれに気付いてきたのか、口数も減っていき、最終的に無言で学校に到着してしまった。
しかも運悪く、いつもはエンカウントしないはずの友人にも出くわす。
無駄な時にだけ現れる、非常にやっかいな存在だ。
悪い事は重なって起こるもので、友人は俺たちの空気を感じ取ったのか、茶化そうという顔でこちらを見ている。
そして俺の思っていた通り、メンドクサイ事に発展してしまった。
友人「また喧嘩かぁ? 喧嘩するほど何とかって言うもんなぁ~」
…ああ、メンドクサイ。
眠気と目の前の出来事の処理で頭が痛くなる。
とにかく面倒なので、何も喋らずに、教室に向かう。
ルコも何も言わず、自分の教室へと向かっていった。
1時間目の授業が始まった。
眠気で聞く気など起きず、ぼんやりとして時間を潰す作業。
いつもはうるさく聞こえる先生の声も、今日は耳に入ってこない。
入ってはいるのだが、反対側からすり抜けていく。
シャーペンの分解をするも、手先が思うように動かない。
おまけに、晴れていた空は薄い雲に覆われている。
1時間目が終わり、ルコとのイベントに備えていたが、結局来ることはなかった。
きっとあいつも疲れてるんだろ。
そう、軽く思っていた。
2限も終わり、3限も終わった。
ルコが来ることは、1回もなかった。
さすがに変だと思ったのだが、昼飯の時には来るだろう。
まだ甘い考えでいた。
4限が終わり、昼飯の時間。
いつもは飛んでくるクセに、今日に限っては来ない。
来てもらわないと俺の午後が大変なことになるので、仕方なくルコの教室へと向かう。
なぜか友人もついてきた。
友人「どうしたんだぁ、ルコちゃん。喧嘩でもしたのか?」
俺「…」
頭痛に悩まされつつ、ルコのいる教室の扉を開けると、机に伏せているのを発見した。
近づいて見てみると…。
友人「…」
俺「…」
音を立てぬよう、弁当だけを静かに抜いて、その場を立ち去った。
気持ち良さそうに眠ってる姿を見たら、誰だって起こせないだろ。
そのまま自分の教室へと戻って、友人と2人で、どうしようもない話をしながら昼飯終了。
授業もすべて終わり、帰宅の時間。ルコは迎えに来ない。
またも茶化してくる友人を殴り飛ばして、1人でルコの教室へと向かう。
昼の時と同じ姿勢で、未だに眠っていた。
誰の机か知らないが、隣の席を少々拝借してルコの隣に座る。
優しく髪を撫でて寝顔を見つめる。可愛い顔して寝てるぜ、まったく…。
ルコ「ん…」
俺「やっと起きたか」
ルコ「え…?」
寝ぼけ眼で疑問符を浮かべてこちらを見つめてくる。
時計を見ると、俺が座ってから20分ほどしか経ってなかった。
寝起きだというのに、階段を回るように降りていく。
夕日が沈みかけ、薄暗くなっている道を2人で帰る。
ルコがいるおかげで、辺りは明るく照らされたようだった。
…ちょっと臭いな。
家に着くと、さっそく服を脱ぎだす。
いつものネクタイが現れて、いつもの控え目な胸と下の部分が目に入る。
若干汗をかいたその姿は、不覚にも反応してしまう。
ルコ「どうしたのかな、ソレ」
ばれてました。
俺「いや…もうダメよ? 死んじゃう」
悪い笑みを浮かべて台所へと向かっていくルコ。
いやいや、そんな顔してもこれ以上はホントにダメよ。
淫乱すぎるだろ。どれだけ搾り取る気だよ。
運ばれてきた料理は和風。
普段よりも、なぜか豪華な気がする。
こういう時に最初にしなければならないのは一つ。
俺「ごめんなさい」
ルコ「?」
特に気に障る事はしてないはずなんだが…。
俺「どうかお怒りをお沈めくださいませ」
ルコ「何も怒ってないけど?」
いやいや、この言い方は「怒ってますよ」って言ってるのと同義だ。
とりあえず表面上だけは何でもないように、若干重苦しい空気の中で晩飯を食べ進めていった。
ルコ「一緒にお風呂入ろ?」
…いったい何を企んでいるんだ?
まさか、俺を溺死させる気か。
俺「まだだ。まだ死ぬわけにはいかんのだよ、俺の人生」
ルコ「何言ってるの?」
くそぅ…とぼけやがって。
俺の気を緩めようとか、隙を狙おうとか、そんな簡単に俺が堕ちると思うなよ。
気を抜くことなく、ルコの動作に怪しい部分がないか、それだけに集中した。
しかし、そんな脆い集中力はすぐに役に立たなくなった。
狭い脱衣所の中。
飛び込んでくる…という迫力はないものの、十分近くにルコのアレが見える。
こうして2人で仲良く服を脱いでいるのもどうかと思う。
もっとも、服を脱いでいるのは俺だけなのだが。
ルコ「もう、そんなに見つめて」
無意識のうちに、警戒意識からイヤラシイ意識へと変貌していた。
俺「あ…あの…お先にどうぞ」
まったく、誰が数時間前に「もうダメ」とか「死んじゃう」とか言ったんだか。
すでに準備万端じゃないか。
俺「なぁ、愚息よ」
何を恥ずかしがっているのか俺は。
タオルで前の部分を隠しつつ、入場。
ルコは座って何かの作業中のようだ。
…けしからん想像しかできねぇ。
俺「なにしてるんだ?」
ルコ「あわあわー」
洗面器に泡を作って遊んでいたようだ。
どこの小学生ですか、あなたは。
…。
待てよ。これはもしかして…そういう事なのか?
ルコ「みてみてー」
部分を隠すように泡でコーティングされたルコの体。
もう、これで反応しないなんて、俺じゃない。息子もそう訴えている。
俺「誘ってますよね?」
ルコ「もちろん」
俺「狼になっても知らないよ?」
ルコ「いいよ。私が猟師になってあげるから」
こっちが責める側かと思ったら、そっちが責めですか。
どれくらい入っていたのか。風呂から出た記憶もない。
翌日のルコの話によれば「激しかったよ」の一言。
そして、付け加えられたかのようなもう一言「ありがと」
…一体、俺は何をしたんだ。
朝食には、またもや精がつきそうな食べ物が並べられた。
前回の作品から、約4か月。
長かったですね…。
本当は、感想が来てからすぐに書き始めてたんですが、気付いたらこんな感じに。
もうこれの続編は、ネタ的に厳しいです。
書いてくれる人がいましたら、どうぞ持っていってください。
その場合、感想かメッセージで「持っていくぜ」と言ってくれれば、拒否はしないと思います。
厳しいと言いながら続編。下記URLよりどうぞ。
http://ncode.syosetu.com/n7154z/