三夜目:崩れる夜
少女と出会って三度目の夜がやってくる。
少年は、よく空を眺めるようになっていた。少女と会うことを待ち望み、空の色を気にするようになったからだ。そして同時に、少女の持つ不思議な要素について考え続けていた。
今日も、いつもと変わらないように少女がやってくる。
少年は少女を見る。
少女は少年の目を見る。何かを探すように、そしてすでに何かに気づき始めているように。
怖い。知られたくない。
けれど――気づいてほしい。
少女の中に矛盾した願いが生じる。その願いが胸を締め付ける。
消えたくない。
少年と会い、何気ないような普通の会話をして、歩調を合わせて歩き、最後には空を眺めて沈黙する。人間からすれば当たり前の行為。そのすべてが愛おしく感じられていた。
だが、私は存在として非常に不完全で、安定していない。夜がなければ、空を包み込む闇がなければ、私はこの世界に存在していることができない。
だから、この少年には気づいてほしくなかった。
だから、この少年には選んでほしくなかった。
私という存在を、この世界に定着させる術があることに。
今日の夜は、いつもと違う。
少年はそう感じていた。
これまでの夜よりも空の色が薄く、影も淡い。空に散らばっていた星々も、どこか欠けているように見える。
空の端が白み始める。
少女の顔を見ながら、少年は呟いた。
「今日、何か変じゃない?」
わずかに声を震わせながらこぼれた言葉だった。まるで、何かに察しがついたかのように。
私は答えられなかった。
何も言えず、少年の前から姿を消す。それ以外の選択肢を考えることができなかった。
もう隠せない。
夜が終わる。
次の夜が、きっと私にとって最後の夜となる。
そう確信してしまったから。
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