二夜目:減りゆく星
夜は繰り返される。
再び訪れた夜は、昨日よりもわずかに明るかった。
「ねぇ」
少年が空を指す。
「昨日見たときから、星が一つ減ったように感じるんだけど、気のせいかな」
心臓が跳ねる音がした。
私は取り繕うように笑みを浮かべる。自然に見えるように、平然を装って。
「気のせいじゃないかな」
嘘だ。
この世界では、星は夜を作るために必要な存在だ。太陽を覆い隠し、影を生み、空を黒く染める。そして太陽の光と熱によって、最後には燃え尽きてしまう。
夜が訪れるたびに星は一つずつ消えていくことを、私だけが知っている。
私は、燃え尽きた星の残滓から構成された存在だから。
夜が来るたびに、世界は寿命を削っている。そして最後の星が燃え尽きたとき、この世界から夜は消える。二度と空を染めることなく、常に光が差し続ける世界になる。
そして――私も。
少年には、このことを伝えたくなかった。私のことを知れば、気味悪く思われて離れてしまうかもしれない。
彼は、私にとって唯一と言っていいほどの存在だったからだ。
少年はしばらく空を眺めていた。
やがて視線を少女へ移す。そこには、どこにでもいるような少女が立っていた。けれどその表情はどこか儚げで、何かを考え込んでいるようだった。
やがて空が白み始める。
日が昇り始めていた。
今日も朝がやってくる。
もう一度別れる前に少女の顔を見ようと少年が視線を向けたとき、そこにはすでに誰の姿もなかった。
少年は小さく首を傾げる。
「どこに行ってしまったのだろう……」




