表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜咲イノリ 上等です!  作者: 原田真優
第二章 新チーム始動
7/17

夏だ、海だ、白いビキニだ!




 それから数日後の海岸沿いは、幾多の海水浴客で溢れていた。



 輝く太陽。ジリジリと突き刺す陽射し。ザーッと押しては返す波の音。弾ける水しぶき。和やかな歓声。気持ちよく飛び交うウミネコの声。


 熱い季節、夏本番の風景だ。



 ……だけど……



「おいおい、見てみろよ。あの子、可愛いぜ」


「ホントだ。どことなく“海物語のマリンちゃん”みてーじゃねぇ?」


「どこのアイドルだよ? スタイルいいし胸もデカイ」

 男達の黄色い歓声が耳に付く。



「写真、写真、撮っとこうぜ」


「それよりナンパだ。お前声掛けろよ」


「げへへ、怒られねーかな」

 舐め回すような視線が痛すぎる。



「ヤッぱ、いいよイノリちゃん。素敵過ぎるって」

 眼前では虎太郎が、カンバン片手に笑顔を振りまいていた。



 なんであたしが水着姿なんだよ! しかも白いビキニって……顔から火が出る!



 あたしは、海の家の箱入り娘を、演じさせられていた。

 ソフトクリーム販売。それらの注文取り、及び商品の受け渡しだ。しかもこんなひらひらの、薄衣を着せられて。


 あのあと鎌田さんの提案で、鎌田さんが夏の間だけ経営する海の家の、バイトをする羽目になったのさ。


 しかも考えが昭和。『うーん。夏といえば海だろ。海といえば水着。……色は白。素材はなるべく簡素で、ヒモ系がいいかな』

 最初こそ真面目に考えてたが、最後は鼻の下が伸びっぱなしだった。


 もちろんそんな露出の高いモノ、流石にお断り。普通のモノにしてもらったけど。




「うんうん、思った以上に大盛況だぞこれは」

 キッチンスタンドの中では鎌田さんが、煙草をくわえてしみじみと呟いている。



「ねーちゃん、バニラとチョコ、いやイチゴもね」


「オネーさん、こっちはスペシャルトッピングでお願いしまーす」


「おい割り込むなよ」


「割り込んじゃいねーじゃんよ」


「いいわ、近くで見るともっといい」


 それもその筈だろ、あたしのまん前は、男共で凄い行列だ。

 近づく度に鼻の穴をおっぴろげて、至福の表情を見せていく。


 ホント散々なんだよ!



 ……って、文句のひとつも言えないが……



「姫、お美しいです」


「イノリちゃーん、頑張ってね」


「あっしらも、微力ながら応援しますから」


 店のスタッフTシャツを着た、暴走族チームのメンバーも手伝いに駆けつけていた。


「総長のピンチは俺達のピンチ。借金返済の為、一緒に働きます」なんて健気な奴らさ。



「うん、うん、うん。こいつらもイケメン揃いだから、若い女の集客が望めそうだな」

 そのやる気を察してか、鎌田さんも満足気に頷いてるし。



「すいませーん。この焼き鳥、一本で五百円って高くないですか?」


「ちょっと、このたこ焼き、さっき落とした奴だよね? 三秒ルールがなんとか言って」


「僕の焼きソバ、さっきの女の人と、全然量が違います」


「えーん! このお兄ちゃんが殴ったー!」


 でも、徐々に殺気立ってるのは、気のせいだろうか?




「げへへ、下から撮っても良いかな」


 突然、足元に殺気を覚えた。


 下から覗き込むように、色白のデブがカメラをかざしてる。



「撮らせる訳ねーだろ、この豚!」

 怒りと共に足で頭を踏み付けた。

 ぶひっ、という声と共に、色白は昇天する。




「おー、ナイス踏み付け」


「俺もやってもらいたいな」


「あの足首、堪らんなー」

 それでも男共の歓声は鳴り止まない。



 ……まったく、男ときたら……



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ