勝てなくとも、俺はデュランダル特攻隊長
ザーザーと雨は降り続いてた。
横殴りの雨が叩きつける、城東高体育館裏。
「クソが、こんなんじゃ、負けはしねーぞ!」
龍次が膝に両手を預け、ムカつき加減に、手前を睨んでいる。
「なんちゅう小僧だ。ウチの仲間、何人もオシャカにしやがって」
「まったくだ。流石はデュランダルの狂犬江原」
その手前、ボーズの男とサングラスの男が、ムカつき加減に吐き捨てた。
辺りには数人の男達が、悔しげにうな垂れている。
そのどれもが、龍次の攻撃により、打ち倒された男達だ。
「だけど馬鹿な奴だよな。強いっていっても、ひとりでブッコミかけるなんて、相当な馬鹿だ」
それでも朝田の表情は、覚めたような卑下たものだ。
それもその筈だ。辺りには、多くの男達がひしめいている。
それはロードオブファントムのメンバー。朝田の招集により、駆けつけていたのだ。
対する龍次は、既にボロボロで、見るも無残な姿だ。流石に多勢に無勢では、分が悪い。
「あの写真、削除するまで、俺は引く訳にはいかねーんだよ!」
それでも龍次は、溢れる感情を爆発させるように、手前のサングラスに飛び込む。
「くそったれが! てめーに勝機はねーんだよ!」
呼応して拳を繰り出すサングラス。
それを顔面に、モロに喰らう龍次。
「勝機なんざなくても、かまわねーんだよ!」
臆することなく突っ込み、サングラスのどてっ腹に拳を打ち込む。
「勝てなくても、俺はデュランダル特攻隊長。てめーらみたいな外道相手に、引き下がる訳にはいかねーんだ!」
そして崩れ落ちるサングラスの顔面に、強烈な一撃を叩き込んだ。
「ザけたガキだ」
突然背後から声が響いた。
「えっ?」
その後頭部に、強烈な痛みが走った。
「……」
そして、無言で膝を折る。
「ここまでやられちゃ、武闘派でならした俺達の、知名度が下がるってもんだよ」
その後方、木刀を握り締めた小暮が、覚めたように呟いた。
「ホントだぜ。女総長に飼いならされた飼い犬のくせしてよ。ここまで躾が、行き届いてねーとはな」
同じく覚めたように言い放つ朝田。
「誰が飼い犬だって?」
グッと視線を上げる龍次。
「てめーだよ!」
朝田が、その鼻頭を蹴り上げた。
「ガ……ハッ?」
愕然と天を見上げる龍次。空に血飛沫が舞い上がった。
「たかだか女総長の、昔の写真の為に、ブッコミ掛けた覚悟は立派だよ」
目配せする朝田。
呼応して、別の二人が龍次の腕を後方から拘束し、無理矢理に立ち上がらせる。
「てめー」
剣呑に睨みを利かす龍次。ポタポタと鼻から血が滴る。
「だけど所詮女だろうが。女なら女らしく、男に抱かれて、エクスタシー感じて生きろってんだ」
龍次の顔を右手で鷲掴みして、ゆっくり引きあげる朝田。
「なんなら俺が抱いてやろうか?」
顔を近づけて、卑下たように笑みを見せた。
それに龍次が、プッと唾を吐きかけた。
「なっ?」
呆然とした表情を見せる朝田。
「ふざけんな。てめーは所詮外道なんだ。裏で卑怯な手段を使って、堂々と男らしく生きようとしねぇ。そんな奴がイノリを抱くだって? 冗談だろ、あいつにぶち殺されて、終わりなんだよ!」
龍次の覚悟は、ハンパなものではなかった。
拘束され、儘ならぬ情況でも、イノリを守る決意。朝田を許せぬ思いがそこにはあった。
その台詞と態度に、朝田の怒りが爆発する。
「上等だよ! くたばれ小僧!」
いきり立つように、拳を握り締めた。
「上等は、てめーなんだよ!」
刹那、第三者の声が響いた。
同じくして石ころらしきものが飛んでくる。
咄嗟に右腕をかざして防ぐ朝田。
「だ……誰だ?」
訝しげに視線をくれた。




