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桜咲イノリ 上等です!  作者: 原田真優
第三章 VSロードオブファントム
15/17

勝てなくとも、俺はデュランダル特攻隊長


 ザーザーと雨は降り続いてた。


 横殴りの雨が叩きつける、城東高体育館裏。



「クソが、こんなんじゃ、負けはしねーぞ!」

 龍次が膝に両手を預け、ムカつき加減に、手前を睨んでいる。



「なんちゅう小僧だ。ウチの仲間、何人もオシャカにしやがって」


「まったくだ。流石はデュランダルの狂犬江原」


 その手前、ボーズの男とサングラスの男が、ムカつき加減に吐き捨てた。



 辺りには数人の男達が、悔しげにうな垂れている。

 そのどれもが、龍次の攻撃により、打ち倒された男達だ。



「だけど馬鹿な奴だよな。強いっていっても、ひとりでブッコミかけるなんて、相当な馬鹿だ」

 それでも朝田の表情は、覚めたような卑下たものだ。


 それもその筈だ。辺りには、多くの男達がひしめいている。


 それはロードオブファントムのメンバー。朝田の招集により、駆けつけていたのだ。



 対する龍次は、既にボロボロで、見るも無残な姿だ。流石に多勢に無勢では、分が悪い。



「あの写真、削除するまで、俺は引く訳にはいかねーんだよ!」

 それでも龍次は、溢れる感情を爆発させるように、手前のサングラスに飛び込む。


「くそったれが! てめーに勝機はねーんだよ!」

 呼応して拳を繰り出すサングラス。


 それを顔面に、モロに喰らう龍次。


「勝機なんざなくても、かまわねーんだよ!」

 臆することなく突っ込み、サングラスのどてっ腹に拳を打ち込む。


「勝てなくても、俺はデュランダル特攻隊長。てめーらみたいな外道相手に、引き下がる訳にはいかねーんだ!」

 そして崩れ落ちるサングラスの顔面に、強烈な一撃を叩き込んだ。



「ザけたガキだ」

 突然背後から声が響いた。


「えっ?」

 その後頭部に、強烈な痛みが走った。


「……」

 そして、無言で膝を折る。



「ここまでやられちゃ、武闘派でならした俺達の、知名度が下がるってもんだよ」

 その後方、木刀を握り締めた小暮が、覚めたように呟いた。



「ホントだぜ。女総長に飼いならされた飼い犬のくせしてよ。ここまでしつけが、行き届いてねーとはな」

 同じく覚めたように言い放つ朝田。



「誰が飼い犬だって?」

 グッと視線を上げる龍次。


「てめーだよ!」

 朝田が、その鼻頭を蹴り上げた。


「ガ……ハッ?」

 愕然と天を見上げる龍次。空に血飛沫が舞い上がった。



「たかだか女総長の、昔の写真の為に、ブッコミ掛けた覚悟は立派だよ」

 目配せする朝田。


 呼応して、別の二人が龍次の腕を後方から拘束し、無理矢理に立ち上がらせる。



「てめー」

 剣呑に睨みを利かす龍次。ポタポタと鼻から血が滴る。


「だけど所詮女だろうが。女なら女らしく、男に抱かれて、エクスタシー感じて生きろってんだ」

 龍次の顔を右手で鷲掴みして、ゆっくり引きあげる朝田。


「なんなら俺が抱いてやろうか?」

 顔を近づけて、卑下たように笑みを見せた。



 それに龍次が、プッと唾を吐きかけた。



「なっ?」

 呆然とした表情を見せる朝田。



「ふざけんな。てめーは所詮外道なんだ。裏で卑怯な手段を使って、堂々と男らしく生きようとしねぇ。そんな奴がイノリを抱くだって? 冗談だろ、あいつにぶち殺されて、終わりなんだよ!」


 龍次の覚悟は、ハンパなものではなかった。


 拘束され、儘ならぬ情況でも、イノリを守る決意。朝田を許せぬ思いがそこにはあった。



 その台詞と態度に、朝田の怒りが爆発する。


「上等だよ! くたばれ小僧!」

 いきり立つように、拳を握り締めた。



「上等は、てめーなんだよ!」

 刹那、第三者の声が響いた。


 同じくして石ころらしきものが飛んでくる。


 咄嗟に右腕をかざして防ぐ朝田。


「だ……誰だ?」

 訝しげに視線をくれた。



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