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桜咲イノリ 上等です!  作者: 原田真優
第二章 新チーム始動
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違和感



「そう言えば最近、龍次見かけないな」

 あたしは言った。



 翌日の朝の光景、いつもとは違う光景。


 いつもなら虎太郎の後ろに乗り込んでる、龍次の姿がない。



「さあね、最近あいつ、他でこそこそしてるから」

 言って笑顔を見せる虎太郎。それでもその笑顔は、どこか寂しげな覚めたものだ。


「あいつ、イノリに総長の座、奪われて悔しいんじゃねーの?」


「そうっすか。龍次さんはそんなこと気にしない、男気に溢れた人っすよ?」


「バーカ、男気が強いから、逆に負けたことが、悔やまれるんだろ」


「そんなもんすかね」


「そんなもんさ」

 仲間達がガヤガヤと囁きあってる。


 みんな虎太郎と同じく、覚めた表情だ。口では色々言ってるが、龍次がいないと寂しいようだ。



「それより姫、今日もバイトでしょ? 俺、ソッコーお供しますから」


「バーカ、お前、張り切りすぎだぞ。お前ひとりが、お供する訳じゃないんだから」


「あー、早くガッコー終わんねーかな。終われば夏休みだし。休みの間は、毎日バイトだな。バイトでいつでも、姫の水着が見れる」


「マジだぜ。あの姿、目に焼きついて消えないうちに」


 そして口々にわめきだす。



「馬鹿、あたしは見せモンじゃねーんだぞ!」

 堪らず一喝した。


 こいつらは本気であたしを手伝うつもりがあるのか? エロい視線ばかりしてさ。



 そんな男達を尻目に、虎太郎だけは別の方向に視線を向けていた。ガッコーの校門付近だ。



「龍次」

 視線に映るのは、龍次の姿だった。



「……あいつ、C組の奴だよな」

 ボソッと呟く虎太郎。


 龍次が仲良さそうに、スマホを見合う男は、同じ学年Cクラスの、眼鏡を掛けた地味めな男だった。



「珍しいっすね、龍次さんが、あんなオタクと一緒にいるなんて」


「ホントだぜ。あれって岡田おかだって奴だぞ、パソコンが趣味で、インターネットにどっぷり浸かってる奴」


「二人して、エロサイトでも見てんじゃねぇ?」


「言えてる、龍次さんスケベだから。遂にエロサイトに目覚めたのか」


 確かにいつもの龍次なら、仲良くしそうな相手じゃない。

 それにエロサイトを通じての、仲間とも思えなかった。


 龍次はエロいが、エロサイトにはまるタイプじゃない。

 どっちかというと、エロさをあからさまに出すタイプ。正真正銘のエロ少年だから。



「龍次さーん。俺達より早くガッコー来てるなんて、珍しいっすね!」

 後輩が声を掛けた。


 それに反応して、龍次が一瞬だけこっちに視線を向ける。

 だがすぐに向き直り、岡田と共に校舎側に歩き出した。



 愕然とした空気に包まれる。誰もがその龍次の行動に、違和感を感じていた。



「まったく、龍次の奴は。エロサイト見てるのバレたからって、気まずくなって逃げ出すんじゃねーっての」

 その空気を切り裂くように、虎太郎が笑って言った。



「……ホントだぜ。エロいのは最初からバレバレなのにな」


「それが龍次らしいとこだろ?」


 そして戻るやかましい雑音。


 この情況、一番違和感を感じているのは虎太郎だろう。一番仲良くて、一番の親友だから。


 だからこそ、そんな台詞を言ったんだろう。


 男同士の友情、少しだけうらやましく感じた。



 そしてホント、龍次の奴はどうしちゃったんだろ?


 ……少しだけ、寂しい気持ちが溢れていた。

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