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57.

 とりあえず、金鉱山は見つけちゃったけど、使い方はもっと魔界を発展させてから考えよう。今の魔界は発展途上国どころじゃなく、ほぼ未開の地だ。こんなところに金があると知られたらどうなるかわかったもんじゃない。

 幸いなことに金山は誰も近寄れないところにあるけれど、金には人に無茶苦茶をさせる恐ろしい魅力があるのだ。それくらいのことは俺だって知っている。


「とりあえず金はいいとして、今度また相撲大会あったら巨人も参加しろよ」


 半日悩んで、いきなり文明開化はやっぱ無理、と結論付けた俺は、悩むのは止めた。緊急招集かけて幹部の肩書考えただけじゃ国家体制が出来たなんて言えないもんな。


「……行けたら行こう」

 ガンギランは相変わらず素っ気ない。巨人にとって金塊なんてそこらの岩石と大差ないものだ。

「それ絶対行かないやつじゃん、おまえらが参加したら絶対オーガたち喜ぶからさ、たまには山降りてみろよ」

「俺たちが動くと下のやつらが驚く」

 確かに、オーガと巨人が本気で相撲をとったら魔界の地形が変わるだろう。


 でも、個人主義のオーガたちに集団戦闘を考えさせるには、巨人みたいに大きくて知恵のある魔物と戦わせるのは良いと思う。ザランの火魔法では魔法戦の訓練がメインになってしまうが、ガンギランの土魔法なら物理攻撃への対応力も身に着くだろう。


「だからさ、おまえらが見つけたって言うすごい硬い岩、それで土俵造れないかな、毎度俺が結界張るのも面倒だし、土俵に魔方陣刻んでおけば楽かなって」

 建築知識もサッパリな俺でも、ただの真っ平な土俵を作るくらいはできると思う。巨人が戦う広さと考えると、土俵というか大きな戦闘訓練場と言った方が適切かもしれない。そこに物理結界や魔法結界の魔方陣を刻んでおけば、誰でもいつでも安全に相撲をすることができるはずだ。


 最近、相撲が流行って殺し合いが減ったのは良いが、主にオーガたちが戦いに夢中になり過ぎてあちこちぶっ壊しているのが目につく。壊すほどの建物もないけれど、森の木々をなぎ倒したりすると、それだけで雑魚の魔物たちが巻き込まれて死んでしまう。

 しかも、良くも悪くも魔界中の縄張り意識が薄れているため、オーガたちは強いやつを求めて積極的に森林地帯から出て大暴れしている。樹海のダークエルフたちもちらほらと樹海から出てきているし、とにかく娯楽と言えば相撲しかないから、戦闘力だけは魔界全土でどんどん上がっている気がする。


 だからこそ、俺は相撲をする場所を決めておくべきだと考えたのだ。巨人も参戦すれば魔界の戦闘力は鰻登り間違いなしだ。


「でも、おまえらが参戦するなら土魔法も使えるようにしたいから、土俵に壊しても元に戻る無限再生の魔法とかかければいいかな? 結界と無限再生って一緒にかけられるのか?」

「知らん」


 首を傾げる俺に、ガンギランは考える気もないらしい。こいつは土魔法くらいしか使えないし、元から頑丈過ぎる巨人に後方支援系の魔法など無用の長物だろう。

 俺も感覚的に魔法はなんでも使えるけれど、体系的に学んだわけではないから、ややこしい魔方陣なんかはお手上げだ。


 とりあえず今日は金塊と、すごく硬い石のサンプルだけを持って山を下りることにした。

 魔法については黒魔導士組合の連中が詳しい。俺は魔王なので、わからんことはわかる部下に振ればいいのだ。

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