初めての戦い
模擬戦当日、地図には闘技場と書かれた場所に私たち3人は向かった。
セローさんは長い杖を持って、ジェスタさんは背負い袋、2人とも金属の胸当てをつけている。
私も防具をつけるように言われていたので、シャツの上に着てきた。
場所は街の外れ。出場者はこちらへ、という看板に従い中へ入った。
「名前をお願いします」
「セロー・ルードだ」
「・・・・・・はい、一番初めの戦いになります。控室でお待ちください」
控室へ案内される。個室だった。
部屋の隅には数本の剣や槍、斧、短刀といった武器が置いてある。
(まさか死なないよね?)
私は緊張で気が気ではなかった。
係の人が、
「武器は部屋の物をお使いください、刃は潰してありますので。杖は個人のもので構いません」
そう言うと係の人は部屋から出ていく。
セローさんとジェスタさんは、それぞれ部屋にあった剣と短刀を腰に差す。
ついでにジェスタさんは背負い袋からいくつものポーチのついたベルトを腰に巻く。
「レイチェル、君の杖はこれだ」
セローさんは持ってきていた長い杖を床に置く。
何か文字が書かれている杖で、それ以外はありふれた杖だった。
「私、長いのは使ったことないですけど」
「誰でも使えるから心配ない。『業火の火球よ、相手を焼き尽くせ』と相手の魔法使いに向かって杖先を構えて唱えろ」
「はあ」
「言葉を間違えると発動しないからな。『業火の火球よ、相手を焼き尽くせ』だ」
「わかりました、『ごう』」
「ストップ! 試合が始まるまで絶対に唱えるな」
食い気味に強い口調で止められる。
部屋がノックされ、係の人が入ってくる。
「セロー様、出番でございます」
「では行こう」
私たちは控室から出て、模擬戦場へ向かう。
開いた門を抜けると広場になっていて、上の階には観衆がたくさん見える。
私たちが入場すると会場から歓声が上がる。
対面側にも3人の人影が見える。
観客席の一部から大きな声が響き渡る。
「今年の1戦目は王国騎士団の第5部隊で戦闘のプロ集団、果たして我らが冒険者代表のセロー一団は勝てるのか~!」
(私たち冒険者代表なの!?)
対戦相手は銀の全身鎧を着た2人、武器は剣と槍だ。
あと1人は長い杖を持ち、茶色いローブを着た魔法使いのようだった。
「それでは試合開始!」




