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ゴブリンの討伐

「2日後の昼にまた来てくれ」


 ランタンを持ったセローさんは馬車の御者にお金を支払って言った。


(ってことは明後日までには解決するってこと?)


「レイチェル、君はゴブリンを知らないんだって?」

「はい。村では大蝙蝠とか大ネズミとかを魔法で追い払ったことはあります」

「奴らは夜行性だ。今日は家に魔物除けの札を貼って回る」

「えー、今からですか」


 普段だったらもう寝ている時間だ。

 

「これを民家の四方に貼っていく」


 ランタンだけの灯りが照らす中、何か読めない文様が書かれているだけの、何の変哲もない紙だ。

 私はそれを12枚と、金属の入れ物に入った画びょうを受け取る。


「手分けして貼っていこう。レイチェル、もし出くわしたら大声で叫べ。なんでもいいから魔法も撃て」


 ジェスタさんが背負い袋から小さなランタンを出して、ろうそくに火をつけて、こちらに渡してくれた。


「終わったらそこの灯りのついた一番大きい家に集合だ。では解散」


 私は足元くらいしか見えない状態のなか、近くの適当な建物にお札を貼り付けていく。


(これで終わりっと)


 3軒分のお札を貼り終えて、何事もなく一番大きい家に戻る。

 少しして2人とも戻ってくる。

 ジェスタさんは眼鏡のようなものをかけていた。


「プッ、似合わない~」

「うるせぇ」


 セローさんは家の戸を数回ノックする。

 戸が開いて初老の男性が顔を覗かせる。


「村長さん、応急処置はしたので今日は大丈夫かと」

「おお。ありがとうございます。お食事とお部屋の用意はできています」

「どうも、ではお邪魔します」


 3人で家の中に入る。


「最後にもう1度、人がさらわれたりは絶対にしていないんですね?」

「ええ、家畜が数匹持っていかれただけですわ」

「それも死んだ扱いで構わないんですね?」

「まあ、仕方ないでっしゃろ」

「わかりました、では明日の夜からはぐっすり眠れるでしょう」


 私は食事をしながら、セローさんと村長のやりとりを聞いていた。


「村長さん、シャワーはあるんですよね?」

「ええ、依頼をするときにも聞かれましたが、大事なんですか?」

「いえ、なくてもなんとかなりますが。念のため」

「私が最初に使っていいですか!」

「もちろん、いいですよ」


(なんて楽な仕事なんだろう! 不満があるのは寝る時間と場所だけ!)


 私はシャワーを浴びて、直前に買って持ってきた着替えに替え、用意された部屋のベッドで眠る。

 温かい布団にふかふかのベッド。すぐに睡魔が襲ってきた。

 部屋をノックされて、私は起きる。

 眠った、と思ったらすぐに朝がきていた。


「おはよう、今日の夕方までにゴブリンの巣を壊滅させる」


 朝食の場でセローさんがそう言う。

 すぐに終わるものらしかった。

 セローさんは村長からスコップ2つを借りていた。それら荷物を持って、家から出て森の中へ向かった。

 ゴブリンの巣とやらはこの先にあるらしい。


(あれ? さっき、家は30軒くらいあったよね?)


 歩きながら、私はハタと気づく。

 どうやら2人は私の数倍の速さでお札を貼っていたらしい。


(すご! 私、別にもたついてたわけじゃないと思うんだけど)


 洞窟のような場所の前についた。この中らしい。

 入口は大人3人分くらいの広さがあった。


「じゃあ見てくる」


 ジェスタさんは昨日していた眼鏡をかけて、頭から小袋に入っていた粉を浴びている。

 すると、ジェスタさんの姿がかき消える。


「!?」


 私は驚きのあまり口をパクパクとさせる。


「レイチェル、俺たちは洞窟を埋めるためにその辺りの土を集めるぞ」

「セローさん、ジェスタさんが消えちゃいましたけど」

「ん? アイツは偵察と穴埋めだ」


 意味が分からないけど、セローさんにスコップを渡される。

 既にセローさんは少し離れた場所を掘って、土を集めている。

 私もとりあえず手を動かそう。

 私は頑張って土を掘った。でも、人が半分埋まるくらいまで掘って、腕と腰に限界がきたみたいだった。

 完全に手が止まってしまった。


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