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「今日は少し離れた窪地へ向かう」


 セローさんにそう告げられる。

 

「あとどのくらい回収すればいいんですかね?」

「残りの数は6人分、そこでワイバーンとヒルジャイアントと交戦したとのことだ」


 今回の戦闘にはワイバーンがいたとのことで、今日は燃やされて骨や灰になった人たちの遺体と遺品を回収する。

 1時間ほど歩いて、目的の窪地へと到着した。

 俯瞰で見ても、既に大小さまざまな骨や武器が落ちている。


「ずいぶんと多い感じですね?」

「同士討ちでもしたのだろうよ。ワイバーンの火球が敵味方考えずに放たれたりしたんじゃないか?」


 荷車に積んできた木の板を窪地に斜めに立てかけて橋を作る。

 これで遺品を上の荷車に積んでいく算段だ。

 骨が散らばっている地点までは300mくらい。私たちは骨のある場所へと足を踏み入れた。

 その瞬間、

 ぼぅっという光が骨に集まる。すると、骨が元の人の形や魔物の形へと集結していく。

 次々と骨が散らかっていた武器を手に取り私たちへと襲い掛かってきた。


「やべぇ、罠だ!!」


 ジェスタさんがそう叫び、横のセローさんも武器を抜く。

 すぐに乱戦状態になってしまった。

 私はできるだけ足でまといにならないように後ろへ下がりたかったが、


「レイチェル!」


 私は武器を持った骸骨の攻撃を受けて、腹に剣を刺された。

 セローさんは目にもとまらぬ速さで剣を振るって、囲んできている骸骨をなぎ倒し、私のもとへ駆け寄ってくる。


「傷口に手を当てろ。止血するんだ」


 私は痛いのをこらえて、お腹の傷に手を当てる。

 セローさんは素早く背負い袋から小瓶を出す。

 小瓶の蓋の部分を手刀で切り落とし、私の傷口に中の液体を振りかけてくれる。


(なんかじんわりあったかい。痛みも引いてきたかな・・・・・・)


 傷口が急激に癒えていく。かなり体がだるくなってきた。

 私がこうして受けた傷を治すのは初めてだった。普段は2人が守ってくれたから。


「ジェスタ! こっちへ来させないようになんとかしろ!」

「わーってる!」


 本来、ジェスタさんは針やダガーを投げてセローさんの援護をすることが多い。

 しかし、今回は骸骨を右手に短刀と左手の手甲で倒していた。

 多勢相手でも全く苦にせずどんどん敵を切り、殴り倒している。


「動けるか?」

「たぶん・・・・・・」


 私は体に力を入れてなんとか立ち上がる。

 すぐに治してもらったから出血は少なくて平気そうだ。


「後でキチンとみてやるから。これを敵が来る方に向けていろ」


 セローさんは何かの札を私の杖に付けてくれる。

 杖を持つ手がなんだかピリピリする感じがする。


「意識が無くなると効果が切れる。しっかり持っていろ」


 私はコクコクと頷いて、骸骨兵の少ない場所へ向かって歩く。

 今、走れるほど元気ではない。

 すぐに正面の骸骨兵の細い剣での突きが私を襲うが、避けられない。


(私、ここで死ぬのかな・・・・・・)


 しかし、突きは私の目の前で何か壁のようなもので弾いたように骸骨兵に跳ね返る。

 跳ね返した衝撃で骸骨はバラバラになった。

 どうやら助かったらしい。

 

(なんかすごい疲れるな・・・・・・)


 手もピリピリするし、今にも意識を手放しそうになるが、

 なんとか手近な壁までたどり着き、それを背にして杖を前に構える。


(起きろ! 意識がなくなったらマズイんだって!)


 なんとか集中して耐える。

 離れた位置でセローさんとジェスタさんは次々と襲い来る敵を倒している。

 しかし、ジェスタさんには決定打が無いようで、倒した骸骨兵はしばらくすると復活している。

 セローさんの剣で胸の骨を両断されている骸骨は動かなくなっている。

 みている感じ、セローさんの青白く光る剣で倒した相手は復活しないようだ。


「ジェスタ、倒したヤツこっちへ投げれないか!?」

「おら! よ、っと」


 ジェスタさんは倒す相手を手甲でおもいきり殴って、セローさんの方へ吹き飛ばしていた。

 それにセローさんが追撃を入れることでトドメをさしていた。

 繰り返すこと数回、なんとか敵を全滅させたみたいだ。


「終わったようだな。ジェスタ、レイチェルを診てくれ」


 セローさんは剣の柄から光を放ちながらジェスタさんにそう伝える。


「みせてみ」


 ジェスタさんは私の怪我を診てくれる。

 私の血濡れの服を手で少し裂いて、触ってくる。


「・・・・・・呪いの類もなさそうか? たぶん平気だぞ」

「わかった。ここで休憩するのは危険すぎる。屋内を目指す」


 私は2人のその言葉を聞いて安心してしまったのか、そこで意識を失った。

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