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捕まえた、ユニコーン!

 馬車に揺られること1日ちょっと。途中で野営して、早朝に私たちは塀で囲まれた区画へたどり着いた。

 入口らしき場所には大きな小屋があり、この区画を管理しているらしい。


「ユニコーンの角が欲しい。数は1本、採取方法は・・・・・・」


 セローさんが係の人に書類を見せて、なにやら色々説明している。

 それを私とジェスタさんは横で聞いていた。


「ずいぶんと慣れていらっしゃいますね?」


 係の人に問われる。やたら詳しい説明をするセローさんにおそらく密漁の疑念でも抱いたのだろう。


「俺たちは普通の冒険者とは違うもので。戦いよりも慣れてますよ」


 セローさんはそう返す。

 

「まあいいでしょう。採取を許可します。くれぐれも気を付けてください」


 私たちは管理所の奥の扉から区画内へと入っていく。

 地図を渡されていたので、それを見ながら湖へと向かうことになった。


「湖までは30分ほどだ。ユニコーンが目を覚まして朝の水飲みにくるタイミングで見つけたい」


 ユニコーンは縄張り内の乙女に惹かれる習性があるらしい。

 しかし、1度でも角を採られた個体は警戒して寄ってこないとか。

 湖へ着いた。セローさんとジェスタさんは透明薬によって姿を隠す。

 私は香水を体の各部位につけていく。

 私は湖のほとりで、裸足になって足先を水につけていた。


(冷たくて気持ちいい)


 この程度で気づいてくれるのだろうか?

 朝は水飲みに来たりする場合が多いらしいので、そこで薄着になれば確率が上がるそうだ。


(セローさんは最悪全裸で水浴びしてくれ、とか言ってたけど)


 数分しても何も来ない。透明薬の効果は30分ほどらしいのでそれより早くユニコーンを呼び寄せなければならない。

 仕方ないので、私は上下の服を脱いで下着姿になる。


(これ以上はやりたくない! そろそろ来てくれないかなぁ?)


 最低でも2人に見られているし、流石に素っ裸はイヤだった。

 そうして私の祈りが通じたのか、ガサガサ、と少し離れた後ろの茂みから音がして私は顔だけそちらを向ける。

 茂みの中から小さな馬が現れていた。


(来た! ユニコーンだ!)


 ユニコーンは小柄な白い毛並みの馬に、1本角が生えた見た目をしている。

 ユニコーンは私の方へとゆっくりと歩を進めてくる。

 私は近づいてきたユニコーンに、


「これ食べる?」


 渡されていた小粒の固形のエサを見せる。

 もちろん言葉が通じているとは思っていないが、聞いてみる。


(これ、食べてくれなかったらどうするんだろう?)


 睡眠薬入りのエサだと言われたが、そんなにうまくいくのだろうか。

 しかし、私の考えは杞憂に終わる。

 ユニコーンはエサの匂いを少し嗅いだのち、私の持っていたエサを食べる。

 私はその頭の毛並みを空いているもう片方の手で撫でる。

 撫で初めて数分後、 


『ブルルル』


 そうなくとユニコーンは横になって眠ってしまったようだ。

 その隙に、姿を隠していたセローさんとジェスタさんが近寄ってきて、ユニコーンの足をロープで縛っていく。頭には布をかぶせていく。

 ジェスタさんは角の根本近くに大工が使うノミのようなものを当てて、ノミをハンマーで打って角に傷をつけていく。

 そうすること数分、角がポロリと取れてジェスタさんの手の中に入る。


「よし。ずらかるぞ」


 私たちはユニコーンが目を覚ます前に、急いで撤収準備をして、角を持ち帰る。

 出入口の小屋で角を取ったことを報告する。


「取った角は1本、怪我などはさせていない」

「流石の手際ですね。お気をつけておかえりください」


 小屋で管理の人に採った角を見せて、セローさんが書類にサインをする。

 大きな問題も起きずに貴重なユニコーンの角を手に入れたのだった。

 帰りの馬車の中、


「正直、お前が乙女だとは思ってなかったんだけどよ」

「私、そんなに遊んでるように見えるんですかね?」

「まあまあ。君の赤い髪が綺麗だから男には好かれるだろうってことだろう、ジェスタ」


 セローさんのフォローなんだかよくわからない言葉でとりあえず今回の依頼は完了したのだった。

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