地下遺跡で人探し
今、まさに依頼がまとまろうとしていた。
私は依頼人の座ったソファーの横に立って話を聞いている。
「では、その地下遺跡に入った4人組の冒険者の捜索がご依頼ですね」
「はい。本来ならば、加入している私共のギルドで捜索するのですが、現在、閉所を探索できる人員が足りないのです」
「わかりました。料金は探索終了後にそちらのギルドに直接請求いたします」
「お願いいたします」
依頼者の人は頭を下げる。話はまとまったようだった。
「話は聞いていたと思うが、地下遺跡に人探しだ。帰還が2日ほど遅れているらしい」
「死んでないといいけどな、証明すんのめんどくせぇし」
人の生死がかかっているのにジェスタさんはのんきなものである。
馬車に乗って数時間、地下遺跡の入り口についた。
「明日の朝に来てくれ」
馬車を見送る。
近くにテントが張ってあり、守衛がいる。
「先に入った4人組の冒険者の捜索に来た。まだ戻っていないだろうか?」
「数日前に来た人たちは戻っておりません。中に入るのですか? でしたら冒険者レベル15以上であることを確認させてください」
「はい」
セローさんは冒険者カードを見せる。
守衛の人の態度が一気に変わる。
「申し訳ありませんでした! それほどのレベルの方でしたか!」
守衛の人はピッと敬礼する。
「ですが、規則なのでお連れのかたも確認させてください!」
(ちょっと待って、私のレベルは3のはずなんだけど!)
前にいるジェスタさんの確認が終わり、私の番だ。
(入れなかったら置いてかれるのかな?)
ポケットから冒険者カードを出す。
「はい。確認いたしました、どうぞ、ご安全を祈っております」
(あれ?)
よく見ると私のレベルは22になっていた。
いつの間にこんなに高くなっていたのだろう?
私たちはランタンに火を着けて入口から地下遺跡へ入っていく。
先頭はジェスタさん、真ん中が私、後ろにセローさん。
相変わらず、私は荷物持ちだった。
「セローさん」
「なんだ?」
「私、レベル22になってたんですけど」
「ああ、ゴブリンを十数体に高レベルの魔法使いを倒してるからな。そのくらいにはなっているだろう」
(なにそれ? 全然私がやった感じがないんだけども)
先日、騎士団の魔法使いの人を燃やしたけど。
ゴブリンの死体も燃やしたのは覚えてる。
でも、私の基準で頑張った覚えは全くない。
「もう全部で5日目か~、ダメじゃねぇかな~」
「一応頑張りましょうよ」
私たちはがらんどうの遺跡を進んでいく。
稀にコウモリとかが出てきても、ジェスタさんが針を投げて撃ち落として終わりだった。
「なにも見当たりませんね?」
「ほとんど探索済みなんだろうよ。こっち側は出口っぽいな。あとにすっぞ」
そんなこんなで1時間、この先は行き止まりだ。
ジェスタさんは行き止まりの壁をコンコンと短刀で叩き始める。




