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少女の決意!

「はぁ…」


私はベッドにうつぶせになりながら今意味もなく1つため息を吐いていた。


街中でオーバーフローが起きた時、私は必死に戦った。持ちうる全ての力を出し切って戦った。でも実際、私の力なんて全く意味を持っていなかった。少し遅れてやってきた慎也のおかげで何とかなった。きっと慎也があの現場に現れていなかったら私は間違いなく死んでしまっていただろう。


「…」


そしてその慎也の姿が脳裏にこびりついて離れない。無意識に目で慎也を追ってしまう。どうしようもなく気持ちが昂る。あの優しい声で名前を呼ばれたい。あの少し筋肉質な身体に抱き寄せられたい。


「な、何考えてるの!」


私は1人で恥ずかしくなりそう言った。


…慎也に対する気持ちは小さくなるどころか抑えが効かないほどに大きくなってきていた。


「かっこよかったな…」


気を抜くと慎也の姿を思い浮かべて頬が緩んでしまいそうになる。でもさすがにそれは気持ち悪いよね…


…オーバーフローが起きた時の慎也、どこか怖かった。切羽詰まったように必死で、それでいて何かに怯えているような…上手く言葉に出来ないけどあの時の慎也はいつもと違うような気がした。


何かを抱えているのだろうか?オーバーフローで亡くなった両親のことに関係してるのかな…私が話を聞いてあげたい。まだそんな親しく話せる仲じゃないけど…


そんなことを考えているとスマホに慎也の配信が始まったことを伝える通知が来た。


「慎也配信するんだ…」


男の子の母親を守れなかったと悔やんでいた慎也。かなり落ち込んでいるかと思ってたけど大丈夫なのかな?


そう思いながら慎也の配信を見始める。


「…え?」


私は間抜け面でそんな声を上げてしまった。でも仕方の無い反応だと思う。だって慎也のチャンネル登録者数が200万を超えていたのだから。


「なにこれ…茉莉也ちゃん越してるじゃん…」


確か今の茉莉也ちゃんの登録者数は174万人だったはずだ。


既に嫉妬心なんて湧かなくなっていた。ただ純粋にすごいと、そう思う。


「えー、久しぶりだな。今日は初級ダンジョンで配信しようと思ってる」


そんな声がスマホから聞こえてきて私はそちらに意識を向ける。


そこにはいつも通りの慎也が映っていた。


「良かった…」


その姿を見て安堵した。そして違和感に気づく。


「ん?初級ダンジョン?なんで?」


私は慎也が初級ダンジョンに潜っている理由が分からなかった。慎也はあの封鎖されたダンジョンですら余裕で攻略してしまう。そんな慎也が初級?一体どうしたんだろう?


「お、落ち着けお前ら。まぁ初級ダンジョンに潜ってるのには理由があるんだよ」


やはり何か理由があるようだ。


画面の中では慎也がコクリと頷いた。すると1人の少女が画面に映り込んできた。その瞬間、私は画面と目をありえないほど近づけた。


「だ、だれ?!」


反射的な大きな声を出してしまう。彼女?!慎也の彼女なの?!あー終わった。私がもたもたしてるから…


「ほら葉由奈、自己紹介」


ん?葉由奈?


「た、高雛 葉由奈です!き、今日からよろしくお願いします!」

「あー、分かってる人もいるかもしれないが、葉由奈は俺の妹だ。それで最近色々あって葉由奈も魔法を使えるようになったんだ」


それを聞いた私は大きな息を吐いた。


「い、妹…よかった…」


あれ?でもこの妹ちゃんって血が繋がってないんじゃ…


もしかして私って今結構ピンチ?


…もうなりふり構ってられない。

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