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逢魔が刻

モラル

作者: 名月らん

「でさ別れたのよ」


友人の穂香が言う


「いやもうあいつ最低!この前先輩の家に連れて行かれてさぁ、鍋が用意されてたのよ」


どうやらそこで鍋の用意を手伝わされたようだった


「先輩の彼女が、これとこれを入れて出しをとってから取り出してこれを入れてね、って指示するからその通りにしてたら、コイツなんも知らないんすよ教えてやってくださいって」


穂香は思い出して苛ついていた


「今から出汁取るんですか?なら出来合いの出汁で時短したら良いのにいつ食べられんねんって思ったわ」


穂香が呆れたように言う


「しかも、本格的な出汁を取るなんて彼女サンすごいって褒めまくるのよ。じゃあ彼女と付き合えよって思って帰り道で別れるって言って帰って来たわ」


ふふふと自慢げに穂香が言う


「あースッキリした、あっごめんお見舞いに来てたのに私のグチばっかり聞かせて、それで具合どう?」


という穂香、その時テレビから


「○○市の県道で人身事故があり、被害者は石名穂香さん25歳…」


え!とテレビを見る穂香に


「貴方は今息を引き取った」


と告げると驚いた顔をして


「なんで?」


何処からか泣き声が聞こえる

穂香は引き寄せられるようにその部屋に入るとベッドに横たわる自分にすがりつく母とそれを支えながら、男性を睨みつける父


うなだれる男性と警察官


「お前が突き飛ばさなければ娘は死ななかったのに!」

「だから別れろって何度もいったのに」


そう言われ土下座をしている男性は床に頭を擦り付けている


「もう出ていけ」


そう言われ男性が部屋を出ると、大きなお腹をした女性が思いっきり平手打ちをした

慌てて警察官がとめたが


「貴方が突き飛ばさなきゃ夫は彼女を引くこともなかったし電柱にあたって死ぬこともなかったのよ!この人殺しこの子の父親を返しなさいよ!」


と怒鳴り散らした


男性は土下座をし床に頭をすりつけ


「すみません、すみません」


その姿を見て穂香が


「もっと早く別れていたら私は死なずにすんでたのね、母さんの忠告を聞かなかった私のせいね」

「彼女は彼についている禍々しさに気付いていたからね」


穂香は仕方ないわという顔をして


「生まれ変わったらクズ男とは関わりたくないわ」


という


「生まれ変わる頃には忘れているかも」


というと困った顔をして


「それは困ったわね」


と笑ったそして


「私の棺おけにはあなたも入るの?」


と聞いてきた


「君のお母さんの事だから心配しなくても入れてくれるよ。さっき枕元にいたし」


そう言って二人は消えて行った。


穂香の棺おけには彼女が小さな頃から大切にしていたクマのぬいぐるみが入れられた


そしてみんなが見守る中空へと登って行った。

「速報です。付近の監視カメラと加害者の車のドライブレコーダの映像から、被害者は一緒にいた男性に突き飛ばされ目前に来ていた加害者の車にぶつかった模様。一緒にいた交際中の男性を任意同行したとの事です。」

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