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即興短編

Mr.H vs M.T.P

 俺の名は『Mr.(ミスター)H(ひまわり)』。荒野の荒くれ者さ。


 オレはみんなから嫌われている。

 まぁ、家とかぶっ倒したり、焼いたりするからだな。アッハッハ!


 オレを主人公にした短編小説をこの間書いてもらったんだが、何ポイントついたか知ってるか?


 10ptだぜ?


 びっくりだろ!? オレも笑っちまったぜ!

 まさかこんなオレが主人公の小説に10ptもくれるヤツがいるとはな! ハーッハッハ!


 おや? 誰か来たようだ……。


 あれは……



====



 吾輩はミジンコである。

 この間、吾輩を主人公にした小説を書いていただき、そこで通り名のようなものを頂戴した。

M.(ミジンコ・)T.(ザ・)P(ポーカーフェイス)』が吾輩のこれからの名である。


 その小説はとても有難いことに124ptも頂いたそうだ。

 吾輩は文字が読めぬ。ゆえに友達の小学生のサチコちゃんに読んでもらった。

 嬉しかったが、表情は変えなかった。


 吾輩は水の中できょとんとした顔をしている。

 水から上がれば干乾びて乾燥ミジンコになり、金魚の餌などとして重宝される。

 水の中にいても、メダカの餌などとして重宝される。

 いずれにせよ食われるのだが、吾輩は怖くなどない。

 解脱しているのである。この世の苦しみから解き放たれているのだ。

 これはそれゆえのポーカーフェイスなのである。

 表向きはそういうことにしてある。

 食われるのが恐ろしくない生き物などいるであろうか?

 折角名前がついたのに、折角この世に生きる意味を見つけ始めたというのに、食われるのである。

 しかし吾輩は決して表情を変えない。

 吾輩はじつは、物凄く高尚なことを考えているのである。

 それはこの世の宝となるべきものであると言っていい。

 そうした境地に達した存在は、このように達観し、無表情となるものである。

 何も考えていないように見えるものなのである。

 いや、ほんとうに何も考えてないなどということは……

 あり得ないのである。

 あり得ないのである。

 あり得ないのである!



====



 なんかやたらと小せぇヤツが来た。


 やたら無表情で、だがなんだか小せぇ声でブツブツ言ってやがる。


 ひとつだけ聞こえた。

 ひゃ……、124ptだと?

 オレはあんな小せぇヤツより……




 パクッ




 あっ……。





 食われちまいやがった……。


 メダカに……。


 まぁ、どうでもいいか……。


 どうでもいいはずなのに……


 どうして……


 涙が出ちまうんだろう……。


 ひまわりを泣かせるなんて……


 チクショウ……。


 帰ってこい! 帰ってこい、ミジンコ!



 帰ってこいよ!



 おまえになんか負けねーからな!!!


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― 新着の感想 ―
[一言] ミジンコさんんんんんんっ!(エンドレス)
[一言] ミジンコさんんんんんんっ!(号泣)
[良い点]  食物連鎖の厳しさを、あらためて実感させていだ(パクッ)
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