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スカーレット・クランズウーマン1

この小説は以前執筆を中断していた『スカーレット・クランズウーマン』のリメイク作品となっております。

「戦争反!戦争に向かっていくこの国をどう思いますか!編成の人種的差別についてどうお考えですか!」

 ワシントンDCの雑踏の中、一人の女声が反戦を叫んでいた。

 肩まで伸びた黒い髪に、やや東洋系の血が混じった風防で、女性用スーツに身を包んでいた。

 カトリーヌ・ツツェカ・フィセルは連日大通りでビラ配りをしていた。

「そこの御仁!あなたはこの国の情勢をどう思いますか!」

 彼女に気を止める人物は誰一人としていなかった。

「このご時世に反戦活動たあ、随分呑気な人ですね」

 背の高い褐色の肌をした、サングラスをしている赤い髪の人物がカトリーヌに声をかけた。

「そこの御仁……御仁? い、いいえ、大変失礼しました、御婦人!」

「ああいや気にしないでくれ。男に間違われたほうが得だからこんな格好をしているんだ」

 赤毛の女の表情はサングラスに覆われて窺えなかった。

「それにしても、こんなご時世に反戦活動とはね。少し能天気過ぎないかい? ヨーロッパではすでにナチスが勢力を拡大している。日本もアジアに進出している。合衆国だけが戦争をせずに安全を保つなんて事ここに至っては不可能ではないかい?」

 赤毛の女は鼻で笑った、

 カトリーヌは少しムッとして反論した。

「もちろん私は戦争そのものにも反対しています。ですが、もっと重要なのは『参戦権』です。黒人の部隊は黒人だけで編成され、通常よりも従務時間が長かったり、雑用のような重要度の低い任務につかされたりしています。同じ黒人の貴女はこのような軽視をどうお考えですか?」

 赤毛の女は少し俯いた。

「レディ。私は法的には白人なんだ。遺伝子的にもね。ただ肌が黒いだけの白人だ。黒人には黒人のアイデンティティがあるように、私にも白人としてのアイデンティティがあるんだ」」

「そ、それは失礼しました!でもこれは白人にも責任のある問題です」

「そのとおりだ。貴女の言うことは正しい。先の無礼を謝罪したい」

「こちらこそ」

 二人の間に気まずい雰囲気が漂った。

「ま、頑張りなさい。私は私の仕事があるのでね」

 赤毛の女は去っていった・

 しばらくビラ配りをして、時間は午後をとおに回っていた。

 カトリーヌは空腹を覚えて、食事に向かおうとしたその時、突如彼女の前に車が止まった。

 中からはマスクで顔を隠した集団が出てきた。

 マスクの形は様々だったが、ひとつ特徴があった。

 全員が白いマスクとローブを見つけていた。

「……あなたたちは何者ですか。私に何か御用でしょうか」

 マスクの集団は何も答えなかった。

 やがて男の一人が懐から拳銃を取り出した。

 そして同時に2つの銃声が鳴り響いた。

 弾丸はカトリーヌに命中していなかった。

「おいおい、大の男が女性相手に大人気ないじゃないか」

 近くのビルの窓から声が響いた。

「あいにくと威嚇射撃は苦手でね。次は確実にハートを撃ち抜くがそれでもいいかい?」

 マスクの集団はそれぞれ銃を出して、闖入者に向けて発砲した。

 しかし一発も命中する弾はなかった。

「無駄だよ。私に弾は当たらない。すべて撃ち落とせるからね。そろそろ面倒だ。君たちの指の方を撃たせてもらおう」

 長身の女がそういうと、マスクの集団は次々に手を撃ち抜かれて射撃不能になり、慌てて車に戻って引き返していった、

「あ、あの!助けていただいてありがとうございます」

「気にしないでくれマダム。私は私の主君の命令で動いただけだ。

「私、カトリーヌ・ツツェカ・フィセルといいます。貴女の、お名前は?」

「グランド・サイクロプス。みんなはそう呼んでる」

「グランド・サイクロプスさん……ところでなんで私を助けてくれたんですか?」

「善意でもある。だが私の主君の命令だというのが本当のところさ」

「主君?」

「ミス・フィセル。我が主預言者グレート・ワイズマンにお会いしていただきたい」

「よ、預言者ぁ?」

 突如出てきた突飛な単語にカトリーヌはたじろいだ。

「私たち『フォレスト』は普段はKKK過激派の残党狩りをしているが、預言者が貴女の活動に興味を示したらしい。期日開催される平和集会でも後援している。貴女にとってもメリットがあると思います」

 カトリーヌはグランド・サイクロプスに謝意を持っていたし、命を救った途端殺されることもないだろうと考えてグランド・サイクロプスについていくことに決めた。


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