表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】古代竜の生贄姫 ~虐待から溺愛に逆転した世界で幸せを知りました~  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/91

外伝2-1.騒がしくも平和な日常

 元気に走り回る子ども達を追いかけて、花畑に座り込む。疲れちゃったわ。子どもの体力ってどうなってるのかしら。遊んでいるときは元気なのに、突然動かなくなって寝たりするのよね。


 自分がこの年齢だった頃の記憶は曖昧なので、余計に不思議だった。まだ追い回す妹に声をかける。


「アデライダ、無理しないでね」


「大丈夫です、お姉様」


 白亜の神殿があるギータの領域内は、許可のない者が勝手に入れない。自由に出入りしてるのは、精霊くらいだった。私やアデライダも、それぞれに夫が付き添わなければ外へ出ることはない。神の花嫁は神の力を高めると同時に、弱点にもなるから。


 聞かされたのは、アデライダの結婚式の後だった。私達が「やっぱりやめます」って言うことを心配したみたい。おかしくなっちゃうわ。例えば、私が「結婚しません」と口にしたとして、それを許すギータじゃないよね。何を心配していたのやら。


 走り回る子ども達が方向転換して、こちらに駆け戻ってきた。走ってきて、手が届く手前で転んだ。先頭の一人が転ぶと、不思議なことに次々と連鎖する。


「うぁ……ああああ! おかぁしゃまぁ!」


 転んだ際に鼻をぶつけた娘アナベルが、鼻血を垂らしながら大泣きした。立ち上がって距離を詰め、ハンカチを使って顔を拭いてやる。


「精霊さん、少しハンカチを湿らせてくれる?」


 周囲を舞う光が近づいて、ハンカチに触れた。途端にしっとり濡れる。ギータに聞いたのだけど、精霊は神やその家族に親しみを感じるんですって。頼み事も無理じゃない範囲は聞いてくれるとか。確かに掃除や食事の準備など、侍女みたいに動いていた。あれって厚意の現れだったのね。


 水の精霊なのだろう。手伝ってくれた精霊の光にお礼を言って、まだ泣く娘の顔を拭く。


 今年3歳になったばかり、ギータ譲りの淡い金髪に、私と同じ赤い瞳よ。昔の私は青い瞳だったけど、ギータが時間を巻き戻した際に赤くなった。これは一種の制約で、巻き戻した証拠のようなものね。


「うぁあああ! おね゛えじゃんだけ、ずずぃ」


 狡いと泣く弟はまだ1歳。鼻水を垂らして、顔をくしゃくしゃにして訴えた。ナサリオは白に近い銀髪で金瞳だった。私の髪色とギータの目の色を受け継いでいる。


「アナベル、お姉ちゃんだもの。我慢できる?」


「うん」


 頷く彼女は、鼻血も止まったらしい。近づいて、弟ナサリオを抱き上げた。鼻水と涙で汚れた顔を、私の服で拭うのよね。いつものことだけど、擽ったい。背中を叩いて落ち着かせ、しゃくりあげるナサリオのために、もう一枚ハンカチを取り出した。


 子どもの面倒を見るようになってから、人数分ハンカチを用意してきた。いつだって、泣いて騒ぎを起こすんだもの。


「ままぁ!」


 最後に転んだ子は1歳半のフィデルだ。アデライダが産んだ息子で、私の甥に当たる。アデライダもリカラも薄茶の髪だから、フィデルも同じ色を引き継いだ。瞳の色が青だから、これはソシアス家の遺伝ね。


 アデライダは求める腕に応じて、すぐに息子フィデルを抱き締めた。全員で花畑に座り込み、休憩する。精霊が用意したお茶を飲み、泣き止んだ子ども達は走り出す相談を始めた。本当に元気ね。


 微笑ましく思いながら、勢いよく追いかけっこに駆けていく3人に手を振った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ