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【完結】古代竜の生贄姫 ~虐待から溺愛に逆転した世界で幸せを知りました~  作者: 綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢をよろしく
本編

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外伝1-1.いつお姉様より上に行けるのやら

 のんびりとお膝で寛ぐ。見上げれば、私を抱き上げるのはリカラ。ギータ陛下と同じ神様だけど、ドラゴンじゃなかった。ギータ陛下は古代竜という凄く大きく立派な竜なのに、リカラはふさふさの大きな猫なの。でも猫って言うと変な顔するし、お姉様は「獅子」って呼んでた。


「リカラ、あーん」


 目の前のお菓子を食べたければ、声で促す。それが正しい番の形だと教えてもらった。私はずっとお屋敷の奥にいて、お姉様みたいに勉強や習い事をしていない。だから知らないことばかり。番は未来のお嫁さんで、リカラは私の旦那さんになる。


「どうぞ」


 唇に触れたお菓子を齧る。この焼き菓子は甘いけど、少し硬い。もっとほろほろ崩れるお菓子が好きだな。見上げると「次は用意するよ」と言ってくれる。リカラは私の考えが伝わるから、すごく楽。ギータ陛下と出会ってからのお姉様は、あまり言葉を使わなくなった。やっぱり気持ちが伝わるんだって。


 お姉様はギータ陛下のお嫁さんになった。春の暖かな日に、皆で花を集めて祝う。お姉様の頭の上に飾った花冠は私が作ったの。白いドレスのお姉様はすごく綺麗だった。


「アデライダも綺麗になれるよ」


「本当?」


「もちろん。僕のお嫁さんだからね」


 そうなのかな。神様が言うなら、そうなんだよね。神殿の外に出ると、私もお姉様みたいに拝まれる。不思議な感じがした。お前なんか嫌いだと叫ぶ人ばかりだったから。


 あの日突然、お姉様が部屋に来たことを覚えている。遠くからそっと見るだけだったお姫様が、手の届く位置にいてびっくりした。お菓子が入った袋をくれて、全部美味しく食べた。すぐにまた別の袋を運んで来る。不思議に思ったっけ。


 誰も私に声をかけてくれないし、たまに話しかけても「邪魔だ」「あっちへ行け」だった。あちこちを覗いて歩いて言葉を覚えたんだと思う。だからお姉様みたいに綺麗な話し方は出来ない。いつも綺麗なドレスを着て、優しく微笑んでいるお姉様は私の宝物だ。


 私をあの薄暗い部屋から出して、同じ部屋に入れてくれた。猫のペキのお母さんになれたし、旦那さんのリカラもお姉様が教えてくれる。私はいつでもお姉様を信じてれば間違いない。


「出来たら、僕も信じて欲しいんだけど?」


 リカラが眉尻を下げて、情けない顔をする。この顔は好き。たぶん、私しか見てないと思うから。困ったなって呟いて、リカラが私の額にキスをする。これはお姉様と同じだ。寝る前によくキスを貰った。理由を聞いたら、好きだからだと笑った。お姉様にお返しをしたら、驚いた後で抱き締められる。


「いつ()()()より上に行けるのやら」


 何を言ってるんだろう。リカラは旦那さん、お姉様は宝物、ギータ陛下は神様なんだよ? 全員別々なのにね。リカラの膝の上で笑う私の膝で、ペキが耳を揺らした。

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