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創造した物はこの世に無い物だった  作者: ゴシック@S_kononai
第1章 光の導き手
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第30話 世界で一番大切な貴方へ

 ティーレは片方の刃が砕けた双頭刃式槍に属性を纏わせると、左手で回転させ始めた。


「私の全てをこの一撃に捧げる。私の大好きなアイリの為にも!」


 決意を叫んだティーレの右手を、アイリは優しく握り締めた。


「アイリ?」


「違うでしょティーレ……最後の一撃は〝私達の全力〟だって事、忘れないでよね?」


 そう告げたアイリは、薙刀をゆっくりと前方に掲げた。


「アイリ……うん!次の攻撃は、二人の力で!」


 ティーレは、双頭刃式槍の回転を止めるとアイリの薙刀に双頭刃式槍を重ねた。


 重なり合った双刃は、互いに属性を纏うと紅の雷による雷鳴を激しく轟かせた。


「雷のマイナス属性のみを重ね合わせた槍か……強敵だよ、ユキ」


「心配ないわ……だって、私達は彼女達を救う為に存在している……でしょ?」


「ああ、勿論だよ!」


 二人はアイリ達と同じ様に、刀を交差させる様に重ね合わせると、互いに属性を纏わせ始めた。


「私は負けない!アイリを二度と死なせない為に……」


 ティーレの言葉を聞いたアイリは、握っていた手の力を強めた。


「アイリ痛いよ」


「ティーレ……負けたって良いのよ?」


 アイリはそう言うと強めていた力を緩め、ティーレを見つめた。


「私は……ティーレさえ側にいてくれれば」


 アイリは優しく微笑んで、ティーレに初めて胸の内を打ち明けた。


「アイリ……」


 アイリからの思いがけない言葉を聞いたティーレは、一筋の涙を流していた。


「でもね、たとえどんな結末になっても後悔だけはしたくない!ティーレ、後悔の残らない……最高の一撃で終わらせましょう!」


「うん!アイリ……二人で、一緒に!」


 アイリの決意を聞き涙を拭ったティーレは、決意の眼差しを相対する二人に向けた。


 二本の雷は槍先で絡み合い、赤い閃光を放ち始めた。


「私達だって、負けられない!あんた達二人の呪縛を断ち切る為に!」


「終わらせてあげよう。光の……主力として!」


 二人の刃からは、紅の爆発と共に白銀の結晶が舞い広がった。


「「私達の〝絆〟を受け止めて!」」


真実の絆イリガ・ミ・ディバリタ


 二つの槍先を交差したまま、二人の少女は前方へと突き出しながらユキ達に向けて突撃した。

 

「「その悲しき呪縛を終わらせて見せる!」」


 対する二人の刃からは、交差された最大限の斬撃が放たれた。


己の存在意義(マナダイト・イクス)


 両者の技がぶつかり合った瞬間、凄まじい音と衝撃波を発生させルクス全体を震動させた。


 周囲に放たれた衝撃波と、ぶつかり合う属性によって床と天井は傷付き、技同士の衝突によって階層内に突風が巻き起こしていた。


「くっ!まだまだよ!」


「僕達は、負けない!」


「私が・僕が」


「「二人を、必ず助け出す!!」」


 ユキとレンが叫んだ瞬間、斬撃は更に威力を増し少女達を押し負かし始めた。


「「私達だって」」


「「負けられない!!」」


 パキィィィィン


 少女達は自身の全属性を出してユキ達との均衡を保っていたが、最後は少女達二人の武器が同時に砕けた事で決着を迎えた。


―*―*―*―*―


「アイリ……」


「……大丈夫よ。二人でいれば、怖い物なんてないんだから」


 もう二度と離れる事が無い様に、二人はお互いの手を強く握り締めた。


 (どこに行こうと離れない。私の、世界でたった一人の大好きなアイリ……)


 ティーレは隣に立つ少女に対しての想いを胸に、ゆっくりと眠りについた。


 (ねぇ……私の想い、ちゃんと届いたかしら?世界で一番……大切な貴方へ……)


 アイリは消えゆく少女の手を握り締めながら微笑むと、二人は光の中へと消えていった。

 御拝読頂きありがとうございます。


 今回はアイリ&ティーレ戦が決着するまでの物語でした。


 前回が長い為に、こちらが短くなってしまいました。


 戦いが終結した一方、ルミナでは謎の少女が語っていた終焉の日へと刻々と進み始めた。


 次回 第31話 終焉宣言

 お楽しみに!

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