第11.5話 死した者の行先
「皆さんお久しぶりです!ルミナに所属した新人のフィリアです」
自室で勉強中だったフィリアは、笑顔でどこかの誰かさんに挨拶をした。
「今回は私が〝ある男性〟と勉強した、この世界の〝転生〟について詳しく説明したいと思います」
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属性が開花した事によって、この世界では死んだ者が一度だけ生き返る事が可能になりました。
転生が可能になった理由として、属性の開花によって選択させる正と負の関係があるとされています。
歴史上行われた実験によって、〝光の人間は闇の人間〟になり〝闇の人間は光の人間〟になると言う、それぞれ一貫して生前とは真逆の人間として転生している事が記録されていました。
その記録から、初期の開花によって埋もれてしまった属性の開花による物だとされています。
真偽の程は定かではありませんが、実際に光の人間が負の感情によって闇の人間へと堕ちてしまった際には、転生する事なく絶命したと言う記録も残されている事から、〝闇に堕ちない〟限りは転生する可能性が一度だけ残されているのだと私は感じました。
属性に関しても違いがあり、正の属性を持つ光の人間が負の感情によって闇に堕ちてしまう事はありますが、負の属性を持つ闇の人間が正の感情を持って光の人間になる事はありません。
理由としては、闇の人間になった人は例に漏れず人を苦しめる行ないをしているからです。
闇の人間になったと言う事は、人を苦しめる行ない、酷い場合では小さな村にいる人間全員を殺戮した経歴のある人物もいますから、更生したとしても時すでに遅しですね。
属性に於いても転生と同様に、一度堕ちてしまったら戻る事は出来ません。
さて、転生に関する説明に戻りますが、転生前が闇の人間だった場合は、死ぬ以前の記憶は残っているものの、闇の人間の持つ負の感情を一切持たず、生前にした行ないに強い罪悪感を感じるようになり、罪を償う為に私達の活動に対して尽力してくれます。
転生前が光の人間だった場合は、闇の人間の転生時と同様に、生前の記憶は残っているものの、身体は光の人間を敵だと認識してしまう為、自動的に光の人間を襲うようになってしまうんです。
そして転生後の強さは、その人が持つ正の感情と負の感情の大きさによって変化します。
例えばユカリが〝光の神〟と呼ばれているように、闇の人間達の頂点に立つ〝闇の神〟と呼ばれる存在がいる可能性があります。
ユカリ程の光の人間が命を落とした場合、負の感情は殆ど持っていない筈ですし、闇の神に関しても同様だと思います。
なので、正と負の感情の片方を強く持っている双方が転生したとしても互いに最弱の存在になってしまうと言う訳です。
ですが、必ずしも転生しなければならない訳ではなく、一つだけ転生しない方法があります。
それは、その人が死んだ時の死因です。
例えば光の人間が光の人間に殺された場合や、闇の人間が闇の人間を殺した場合には、殺された人は転生する事なく命を落としてしまいます。
一度転生した場合も二度目の転生は出来ない為、亡くなってしまった場合は転生する事なく絶命してしまうのです。
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「さて!これで転生についての説明は以上となります」
そう言うとフィリアは、自身がまとめた資料をパタリと閉じた。
「それでは私も、〝あの人〟にちゃんと見て貰えるように頑張って、更に多くの知識と技術の習得を目指して今日も頑張りますっ!」
説明を終えたフィリアは自室を後にし、足早に修練場へ向かって行った。
御拝読頂きありがとうございます。
今回は、この世界で死んだ人間がどうなるかについて1話に登場したフィリアに説明して頂きました。
フィリアが口にしていた〝あの人〟に関しては、後々明らかにされます。
そしてこの二人の関係はいずれ…。
次回 第12話 誓い
お楽しみに!




