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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
冒険者カンイチ フィヤマ編 中?
92/520

レストランへ

 …… 


 町に戻り宿舎にクマたちを繋ぎ、早速とアールカエフを送りついでに彼女自慢の、件のレストラン店に行くことに。

 裏路地の、さらに細々とした路地に入りあちらこちら、角を何度も曲がり

 

 「ここだよ。ここ! うん? どうしたのさ? カンイチ?」

 

 ようやくレストランに到着したようだ。が、

 「いや……のぉ。さっぱり道順が分からなかったのだが?」

 

 もう薄暗い夕の時刻。しかも細かい道をちょこちょこと先導してきたアールカエフ。

 カンイチの気のせいか、似たような路地を何回か通ってきた気がして少々混乱している。方向には自信があったのだが。裏路地なので似たような道が多くあるのだろうと

 それが顔に出たのだろう。

 

 「うん? 日中来れば大丈夫だよ? また今度一緒に来よう! なぁに、僕もちょっと迷ったから。同じところ3回も通っちゃったよ。はっはっはっは! 本当はもっと早く着く予定だったんだよ?」

 どうやら、アールカエフも迷っていたようだ。

 

 ――迷っていたのかい。それでか……その割には堂々と先導していたのぉ、アールよぉ

 と、心の中で言っておく。

 

 「また昼にでも一緒にこよう! そしたら大丈夫だよ? きっと?」

 無言で”コクリ”と頷くカンイチであった。 

 

 改めて件の店を見る。この辺りは小さい店が軒を連ねている横町の一角。密集と言ってもいい。その中に埋もれてる店舗。色見や装飾もシックにまとめられており、おしゃれな隠れ家的レストランだ。

 

 「ふ~~ん。『ハインツのレストラン』……か」

 「そうそう。ここだよ。ここ。僕も良く来るんだよ。あれ? ……? この前来たのって去年? その前だっけ?」

 1000年の生の内なら、1年や2年どうということも無いのだろうと納得する。

 もちろんそのことは口には出さない。そっと、アールカエフを促す。

 「うん? まぁ、どっちでもいいだろう。さ! 入ろう、カンイチ!」

 

 ”かららん……”

 

 「ほう……」

 店内は表とは別に活気にあふれており席は、ほぼ埋まっている。そして腹に響く良い香りが立ち込める。

 「混んでるねぇ。が、安心してくれたまえ!」

 「いらっしゃいませぇ。あらぁ、アールカエフ様。お久しぶりですねぇ」

 フロアの担当のメイド姿の若い女性が店の奥から現れた。

 「あれ? そんなに来てなかったっけ? 僕? はっはっは! 紹介しよう。僕の友人のカンイチだ! 冒険者をしてるんだ」

 「カンイチです。よろしく」

 「あらぁ、アールカエフ様が友人を? しかも男性? むふふ……」

 「うん? そんなんじゃないさ。1000歳のぁだよ。僕は。で、オーナーは生きてるかい?」

 「もう……。ちゃんと生きてますよぉ。どうぞ。奥へ」

 メイドさんに案内され、混雑してる店内を奥へと進む。

 

 「こんなに奥行きがあったのだな……ウナギの寝床のようじゃな」

 ぼそりと漏らすカンイチ。カンイチの言う通り、思った以上に奥行きがある。テーブル席も多い。

 

 ――厨房はさらに奥なのだろうか。これだけのテーブルをさばくのにはそれなりの厨房もあるはずじゃな

 

 「厨房は隣の建物。奥はワインの貯蔵庫だよ」

 心を読んだのか、キョロキョロ視線を巡らすカンイチが気になったのかアールカエフが応える。

 「それじゃ、思ったより大きいのじゃな」

 「うんうん。外の見た目はボロッちいけど、凄いレストランだよ。ここは」

 「そりゃぁ楽しみじゃな」

 「うん! 安いし。美味いし。我儘わがまま利くし? 最高のレストランさ!」

 「おいおい、アールよ。あまり無理なことはじゃなぁ」

 それは無かろうと少々呆れた顔のカンイチ。

 そしてアールカエフも呆れ顔。

 「何言ってるんだい? 僕達はここに我儘言いに来たんだよ? カンイチ? わかっているのかね?」

 「むぅ」

 アールカエフの言う通りだった。 

 

 ”ぎぃぃぃぃ”

 

 「どうぞ。先にワイン持ってきますね。銘柄はお任せでいいですか?」

 「そうだね! で、料理の前に、オーナーのオヤジをお願いするよ」

 「はい。アールカエフ様。解りましたぁ。オーナー一人前!」

 オーナーの丸焼きか? などと余計なことを考えるカンイチ。

 

 改めて案内された部屋を見回す。表の席の調度品より華美というより剛健、重厚。価値としてもあるのだろう。調度品も嫌みの無いもので揃えられており、落ち着く空間になっている。

 テーブルは大小二台のみ。

 

 「特別室という奴かの。貴族とかやらの」

 「うん? 貴族なんかこんなとこに来ないよ? ここは僕の部屋さ」

 「は? 年に一回もこないのにか?」

 

 ――はた迷惑な……

 と。声に出さずに言っておく

 

 「うん? 言葉が足りなかったね。ここの先祖に手を貸してね。それ以降、同族のエルフ族専用の部屋を作ってもらったんだよ。ほら、僕達が食事をしてると、どうしても目立つし注目されるだろう? 落ち着かなくてね」

 「ふむ。それなら納得だわ」

 「ま、どのみち、そんなに来てないだろうけどねぇ。基本、エルフ族は引きこもりだし? カンイチの思う通りに、はた迷惑かもしれないね」

 くつくつと笑うアールカエフ。

 「アールよ……そう、ほいほいワシの心を読まないでもらいたいのじゃが?」

 「うん? 読んでないよ? 顔にシッカリ書いてあるもの。結構分かりやすいぞ。カンイチ。ふふふ」

 「……」

 つくづく敵わんと実感するカンイチであった。

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