表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
516/520

イザークさぁーんー (訓練)

 

 ……


 「おうぅん? ありゃ、”ネズミ男”かの」

 「そうみたいだね、師匠。この階層の敵はネズミ男になるのかな?」

 警戒しながらダンジョンを進み、階段を降り55階に至る。

 ダンジョンの通路先、曲がり角から、ぬぅと顔を出したのは、50階のボス部屋にいた、鼠を擬人化したような容姿の”ネズミ男”だ。男女の区別はつかないが”鼠”。カンイチが命名した魔物だ。


 そのネズミ男がカンイチたちの姿を目に入れるとナイフを引き抜き駆け寄ってくる。その数5。

 「キィィィーーーー!」

 

 『ふむ。ガハルトよ。イザークとアピアを連れ、一当てしてみろ』

 「おう! フジ様! 行くぞ!」

 喜び勇んで腰のトンファーを引き抜くガハルト

 「はい!」

 「は、はい!」

 二人の若者も手にナイフを握りガハルトの後に続く。


 「師匠! 後方からも5体! 挟撃だ!」

 警戒していたミスリールが叫ぶ。”遠見”と”夜目”のミスリールには見えているが、未だ、カンイチら”人族”には見えない

 「ほんと、よく見えるなぁ。ミスリールの嬢ちゃんは。お! 来た、来た! しっかし、ブサイクな顔だな……溝鼠のように悪賢い顔してんなぁ」

 ヒクヒクと動く突き出た鼻、歪んだ口から飛び出る黄色い前歯、その前歯からヨダレが滴る。そして悪意に濁る小さい赤い目。

 

 「うん? フジたちが行くかの?」

 『ふむ。”どろっぷ”だかの確認もしたい。ジップたちに任せればよいだろう』

 「おう! 俺らに任せろ!」

 「……うむ」

 「気を付けての」

 「オレもいく!」

 ジップ、アトスにサディカが加わり、後方の敵の集団に突っ込んでいく。

 

 「親方もいくかの?」

 「ま、よかろうさぁ。カンイチはええのか」

 「ま、ええじゃろうさ」

 ……

 

 挟撃を仕掛けてきた10体のネズミ男は数分後、跡形もなく消えた。

 

 「俺らが当たった、後ろ5体はドロップらしきものは無いようだなぁ。今回はナイフも消えちまった」

 と、ジップ

 「俺達の方もなにも無いな……。ナイフは試練の間だけか」

 と悔しそうな表情のがハルト。

 彼の心情は、ドロップ無しだと皆、クマたちの”餌”になってしまって戦闘が回ってこなくなるのが大きい

 「は? 最初から父ちゃんには”ドロップ”期待してないよ。クマ並だしぃ? ぷくす」

 と、サディカが、ガハルトをからかうように声を上げる

 ”ぅおん?”

 名を呼ばれ、首をかしげるクマ。

 「うるさいわ!」

 

 チラリと軍事顧問のフジに目をやるガハルト。すがるような瞳でみつめる

 『ふむ。アピアとイザークの鍛錬にちょうどよかろう。貴様が指導しろ』

 ぱぁと、明るい表情となるガハルト。

 「は、ははぁ――! お任せください! 気合い入れろぉ! イザーク! アピア!」

 「はい!」

 「は、はい!」

 姿勢を正し、返事をする若者二人

 「やれやれ。あんまり無理させるなよ、ガハルト」

 「無理させねば死んじまうぞ? なぁ、イザーク?」

 「まぁ? そうかも。なんといっても、ここ55階ですしねぇ……」

 『鍛錬に良ければすこし滞在するのもありだな……』

 と、何やら思案顔のフジ

 「ほどほどにの」

 『ふふん! 群れの頭として、群れの強化を計るのは当然であろう? 未熟者には経験をな』

 「偉そうじゃのぉ、 『偉いのだ!』 ま……。壊さん程度でなぁ」

 「「カ、カンイチさん!」」

 若人二人の絶叫がダンジョンにこだまする……

 ……


 …… 


 「ふ、ふぅ……」

 どさりと尻を着くアピア。疲労困憊と行った体だ。

 「しっかり水、飲んどけよぉアピア~~」

 と、クマたちの木皿に水を注ぐイザーク。

 クマたちの援護があったとはいえ、ネズミ男5体を二人で壊滅させた直後だ。

 「イザークさん……。よく体力が持ちますねぇ……」

 と、息が上がっているアピア。”ごくり”うまそうに水を嚥下する

 「そうだなぁ、鍛錬の賜物? 上じゃ軍に混ざって鍛錬してるし、クマたちの散歩が効いてるかも? けっこう走るし。……それに、周りは化け物ばっかりだしぃ!」

 「は? そ、そうですね……」

 後方でわいわいと雑談をしているテームの面々に目を向ける、青年二人

 そこに、フジ

 『休憩はもういいか? では、”訓練”に参ろうか! イザーク! アピア! 準備せよ!』

 「はい! フジ様」

 「え? は、はいぃ!」

 「アピアも強くなれるさ……。……死ななかったら? きっと?」

 「は、はいぃ……。え? イザークさん?」

 「なんでもないさ! 行きましょうか! フジ様! クマ、ハナ、シロお願いね!」

 「あ! オレもいく! オレも! いい? ハナ!」


 ”ぅおおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 

 「イ、イザークさん? それって?」

 『行くぞ!』

 「舌噛むぞぉ! アピア!」 


 ”ぅおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 

 「イザークさぁーーんーー……」

 ……

 「うん? どうしたんだ、アピアのやつ? 出発したばかりなのに絶叫しているぞ?」

 と、恐ろしい速さでダンジョンの暗がりに消える四頭の魔獣と三人の青年。その後ろ姿を首を傾げて見送るガハルト

 「さてな。ま、何事もなく無事に帰ってくればええがなぁ」

 「だな。フジ様もいるし、大丈夫だろう」

 ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ