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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
512/520

一本もらっとけ (黒いナイフ)


 ……


 試練の間で初見の敵、”ネズミ男”、三匹を屠る。

 「親方、まだ気ぃ抜けんぞ。扉が開かん! ミスリールも離れとけ」

 「む。そうじゃの」

 ちょうど、金属柱の前で陣取っていたミスリールが離れ、下がったところに、

 「あ! 光った! わわ! 宝箱じゃなく”おかわり”っぽいぞ!」

  

 三度、銀色の柱が輝き、先程同様のネズミ男を6体吐き出す。

 吐き出されたネズミ男、間髪入れずにカンイチたちへと向かって駆け出し、腰のベルトの剣帯からナイフを引き抜き襲いかかる


 「キ、キィ!?」

 ”ぼしゅぅ!”


 一番右を走って向かってきた蝙蝠男の頭部が粉々に欠片となり砕け散る。音もなく飛来した”鉄球”によって。

 その正面には愛用のアーバレストを肩付けに構えるミスリールの姿が。その愛用のアーバレストには矢ではなく”鉄球”用の滑空器レーンと給弾器が装着されている。


 ”ぎちぃ!” ”がこん!”


 アーバレストの上部についている、”弦引き器”をミスリールが操作すると、歯車が強弦を引き、引き金に弦が掛けられ、次弾の鉄球が自動的に装填される仕組みだ。

 引き金を引けば、鉄球をブレずに押し出す専用のレーンを滑り抜け、敵へと正確に届けられる。破壊力はさきほど証明済みだ。

 

 ”ぼしゅっ!”


 再び放たれた鉄球が、頭を吹き飛ばされ、消える個体を見いていた別個体の腹部に命中。そのままネズミ男を後方に数メートル吹き飛ばす


 開始早々、一体は屠られ、一体は後方に吹き飛ばされ、動かなくなる。飛来する鉄球に警戒してか、ネズミ男たちの勢いも鈍る。そこに、


 ”タァーーーーン!”


 ダンジョンに響く銃声。

 一体の額、そのど真ん中に穴が開く。カンイチがライフル形態の散弾銃で狙撃したのだ。射入孔は小さいが、射出孔の方は頭の中身、頭蓋を巻き込み後方にまき散らす


 不可視の攻撃に、さらに足が落ちる、ネズミ男たち。


 「おいおい。皆、ヤっちまうつもりか? こっちにも回せ! カンイチ!」

 と、配置につくガハルトたち


 「仕方ないのぉ……。怪我するでないぞ」

 一言残し退くカンイチとミスリール 


 「よし! いこうか!」

 『ガハルト、貴様は先にでたであろう? それにドロップも期待できぬ。……さがれ』

 「……な……!」

 「悪いなぁ、父ちゃん! いってくるぜ! はっはっはっはっは!」

 と、トンファーを振り回しながら駆け出すサディカ

 「いってきます! ガハルトさん!」

 こちらも十手とナイフで武装したイザーク

 「……俺もいこう」

 のそりと前に出たアトス。

  

 ”ぅわん!”

 ミスリールの吹き飛ばした個体はハナが喰いにいくようだ


 「……」

 立ち尽くし、仲間らの背を見送るガハルト。

 「ま! 次があるさ! なぁ」

 その肩に慰めるようにぽんと手を置くのはジップ

 「あのネズミ男。そこまで強い相手でもなかろうよ。トゥローのほうがお前さんにはよかろうが」

 「……」

 「ま、元気出せって。はっはっはっはっは!」

 ”ばし!” ”ばし!” ”ばし!”

 背を叩くジップ

 「……」

 「……しょうがないのぉ」

 ……


 ……


 「ふむ。ナイフは全部で八本か。なかなかの率じゃな。出来もそこそこじゃ」

 でてきた六体もあっさりと退けた一行。ドロップしたナイフを拾い集める。

 刃先に指を当て、できを確認するダイインドゥ。同じナイフが八本

 並んでいるナイフの一本を手に取り、アピアに渡すジップ

 「ほ~~ん。アピア、一本もらっとけ」

 「で、でも、ジップさん、お、俺……」

 アピアの『何もしていない……』と続く言葉をジップが右手を上げて遮る

 「関係ねぇだろうよ。ここの連中は。お前がコロッと死んじまうほうが問題だ。なぁ、カンイチ」

 「おう。ジップさんの言う通りじゃで。装備なんぞ、ちょっとでも良いほうへの。それで生き残れる確率が上がれば儲けもんじゃ」

 頷くカンイチ

 「うんむ。ワシらのほうは鋳潰す実験ができればええで。3本もありゃ足りようさ」

 と、ダイインドゥも頷く。

 「ほら、もらっておけって。このまま鋳潰される運命だしな」

 「は、はい! ありがとうございます!」

 大事そうに受け取るアピア  

 「ん? イザークはナイフいらねぇのかよ?」

 「え? 俺? けっこうな数のナイフ持ってますし? 十分に足りてますよ」

 「そうかよ。それじゃ、俺も一本もらおうかなぁ。なにせ、ダンジョン産だしな! 大きさもちょうどいいし」

 「……ふん。ガキが」

 「うっせぇ! アトス! お前は斧もらったじゃねぇか!」

 「……ふん」

 「うん。アトスさんも要るならもっていくとええ。解体用にもええぞ」

 「……ふむ」

 と、一本のナイフを手に取るアトス

 「なんだよ! けっきょくお前ももらうのかよ!」

 「あ! 師匠! 宝箱でた! 宝箱ぉ! それも、師匠が好き派手なタイプだ!」

 皆の視線がミスリールに集まる。ミスリールの前には少々小型だが、銀色に輝く宝箱が

 「よぉし、でかした! ”おかわり”はもうないようじゃな。いいものが入っておるとええのぉ。親方、ミスリール頼むの」  

 「「おうさ!」 任せろ!」

 慎重に銀の宝箱を調べるダイインドゥ親子。床に這いつくばり、罠の有無を調べていく……

 


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