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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
510/520

チキィィーー! (50階 試練の間)


 ……

 

 50階に到着。篝火の炎に浮かぶ、銀色に輝く”試練の門”

 挑戦者を迎え入れるように開いている門をくぐる。

 

 ”ギィィイ……バタン”

 

 「うん。金属製の門のためか、いつもよりも開閉の音も重く感じるな」

 「珍しくビビってるのか、ガハルト。くっくっく」

 「ぬかせ!」

 「ほれ。試練じゃ。気ぃいれろ」

 

 三本の銀の金属柱が輝き出す。その光は徐々に強まる。

 

 「う、うぉ? いつもよりも明るいな!」

 「ふむ」


 光が収まると3mほどの青い皮膚をした”青”ランド・トゥロー、3体が現れた。

 カンイチたちを見つけると、下卑た笑いをあげる”青”ランド。トゥロー、手に持った棍棒を振り上げる


 「ぶっぶっぶっっぶっぶっぼぼぼぉぉーーーー!」

 「ぼっぼっぼっぼっぼぉぉーーーー!」

 「ばっばっばぁぁぁーーーーー!」


 「はぁ? 舐めてんのか! このやろう!」

 と、突っかかるジップ

 「おう。ジップさん、行くかの?」

 『我らがいこう!』

 と、前に出るフジ。従魔隊を引き連れて

 「いや、ここは我らが!」

 と、ガハルト。続くはサディカとアトス

 『お爺!』 「カンイチ!」 

 ぐいんと、カンイチに顔向けるフジとガハルト。

 「仕方ないのぉ」

 と、懐から銀貨一枚を取り出すカンイチ。その銀貨を親指で高く弾く……

  

 ……

 

 『さぁ! 我らの時間だ! 征くぞ!』


 ”ぅおおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”


 ”青”トゥロー目掛けて走り出すクマたち。その様子を羨ましそうに眺めるガハルト。

 「ま、しかたないの」

 「うむ……」

 「ほんと、父ちゃん、コイントス、めっちゃ弱いな! 次はオレがやるからな!」

 「うっ――」

 「はっはっはっはっは」 (ジップ)

 ……


 ……

 

 三頭の魔獣に貪り食い尽くされた”青”トゥロー

 クマたちは食後の毛繕いか。しゃがみ、くつろいでいる  

 「いやぁ~~格の違いか? あっという間だな。ランド・トゥローさえも瞬殺だな、喰われちまったな」

 戦いぶりを見ていたジップが驚きの声を上げる

 「わしもびっくりじゃわ。ずんどこ強くなっていくでな。これもフジのおかげだで」

 と、カンイチ。

 「で、”おかわり”はありそうか、カンイチ?」

 「そうさなぁ。ジップさん。ガハルトの日頃の行いが良ければあるじゃろ?」

 「くっくっく。かもしんねぇな」

 「どういう意味だ、カンイチ、ジップ……」

 「先に行く扉が開かないし。”おかわり”か、宝箱ありじゃない、師匠?」

 

 その言葉と同時に再び金属柱が輝きだす。

 するりと現れたのは普通の人族、成人とほぼ同じ体格のモノが三体。

 

 その顔はしゅっと鼻は突き出し、歪んだ口から覗くげっ歯類特有の前歯、悪意に満ちた赤い瞳。肌色と黒色の斑色の皮膚、まばらに生え散らかしている毛髪。手指に生える鋭い爪、何某かの革鎧を装備し、その尻からは太く毛のない長い尻尾が生える

  

 「ほおおぅ、ありゃ……。今度は”ネズミ男”かのぉ……」

 興味深く身を乗り出すカンイチ

 「言いえて妙だなぁ。ネズミ男かぁ。ふむふむ。だんだん鼠に見えてきたわ」

 と、ジップ

 「”蝙蝠男”の次は”鼠男”かよ。トゥローじゃないようだな」

 ニヤリと笑うガハルト。すでにトンファーを構える

 「やっぱ、ネズミみたいに素早いのかな! なぁ、父ちゃん!」

 「ああ!」

 同じ顔で笑う親子

 

 体を沈める3体の鼠男。一体は真正面のカンイチ、一体はアピア、一体はミスリールに向かって一気に駆けだす。見た目の”弱いところ”を狙ってか

 

 「「「チキィィーー!」」」


 「む! 速い!」

 「チッ――!」


 駆けだしながらそれぞれ腰からナイフを抜く鼠男。そのナイフは刀身は黒色。

 

 ”収納”から散弾銃を引っ張り出し、突き出されたナイフを銃床でカチあげ軌道を逸らす。

 

 「ぬ! 速い。が、軽いな」

 「キ?」

 

 素早く散弾銃を引き戻し、カチあげて、がら空きになった鼠男の腹部に銃剣をねじ込む

 

 「キィィ!?!」

 赤い瞳が驚愕に見開かれる。

 そのまま、腹を切り上げようと力を込めるカンイチ、が、少々無理な態勢にも関わらず、同時に後方に飛ぶ鼠男。

 

 「うん? 速さは一級品じゃな。それに器用じゃな。腹、裂かれんように飛ぶとは。やるもんじゃ」

 腰溜めし刺突の体制を取るカンイチ。その切っ先は常に鼠男の動きを追う。

 

 「ギキィ!」

 濁った赤い目をカンイチに向ける。も、その背後のイザークらにも視線を移す


 「ふん。イザーク君はそんなに弱くはないで。往生際の悪いやつじゃな」

 「キ、キィーー!」

 カンイチの言葉が癇に障ったのか、その場から跳躍、空中で独楽のように周り、遠心力の乗った尻尾をムチのようにしならせ、カンイチを襲う。が、


 ”ずどぉん!”

 散弾銃の銃口が轟音とともに火を吐く!

 「ヒ、キィーー!」

  

 してやったりの表情が驚愕に変わる。

 轟音とともに放たれたスラッグ弾が空中の鼠男を捕らえる。そのまま天井に叩きつけられ腹の中身を広げる


 「キ、キヒキィ……」


 恨めしそうに睨むも天井に張り付いた濡れ雑巾のようにベリベリと剥がれ、床に到達するまでに消えた。


 ”カンラ、ラン”

 黒刃のナイフ、2本を残して

 ……

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