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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
504/520

問題ない。うん? (胡椒採取)

 ……地下37階


 ダンジョン内の水場兼、野営地で二日ばかり野営を行うカンイチ。

 十分に休憩を取り、先にと進んできた一行。

 

 ダンジョンの壁、床から無造作に生える草、採集ポイントでせっせと採取に勤しむイザーク。

 そして、この階層にだけに数か所ある胡椒の実の”採集ポイント”に差し掛かる   

 周囲には胡椒を挽いた時の香りが周囲に立ちこめる

 

 「ううん? この香り……。これって胡椒かぁ。実もついていないのに潰した時の匂いはするんだな。こんなのもあるんだなぁ」

 と、鼻をひくつかせるジップ

 「ええ、ジップさん。カンイチさんの”収納”もあって匂いも抜けないし、地上でも人気なんですよ。このダンジョンでもこの辺りだけにあるんですよ。胡椒」

 「へぇ、さすがこのチームの採取の頭だな。どれ、俺にもやり方教えてくれ!」

 「お、俺も! イザークさん、教えて下さい!」

 「まずは布の敷物を敷いてと。枝になにもないように見えますが、揺すると……うん?」

 壁からにょきりと生えてる枝に手を伸ばしたイザークの腕が止まる。そして、目の前の床を凝視する

 「うん? どうした? イザーク?」

 「! いつもと様子が違う? ジップさん! こっちに! アピアもさがれ!」

 「はい!」

 「お、おう?」

 手を広げ、少し前に出ていたジップを呼び戻し、

 「カンイチさん!」

 緊迫したイザークの声。後方にいたカンイチを呼ぶ

 「どうしたんじゃ! イザーク君」

 と、イザークの呼ぶ声を聞き、急ぎ足でカンイチがやってきた。その後ろからフジも興味を持ってかついてきた。

 「これなんですが……。変ですよね?」

 「うん? ……ふむ。確かに床がすこし盛り上がってるようにも感じるの。どれ」

 ”収納”から散弾銃を引っ張り出す。銃口をその怪しい床に向ける

 引き金を引く直前、

 『待て、お爺。ほう……。よく気がついたなイザーク。”新顔”かもしらん。トラップではないようだが……ふむ。どれ、我が相手をしよう!』

 「ふ、フジ」

 「フジ様!」

 『なぁに、問題なかろう。どれ』

 床と同じ柄、床にしか見えない、若干、厚みのある場所に足を踏み入れるフジ。

 ふんふんと匂いをかぎながらゆっくりと歩を進める

 『うむ。床……ではないな。柔らかいな。が……』

 特に床に動きはない

 構わずスタスタと進むフジ。振り返ることもなく。

 「無理するでないぞ! フジ!」

 『フン! 問題ない。うん?』

 床がブルリと震え、フジを挟み込むように前後の床がうねる。合わさるようにめくりあがり、フジを覆い、クルクルと巻き取っていく

 『ぬ!』

 「フジ!」

 「フジ様!」

 くるり。前後の床に海苔巻きのように巻かれていくフジ。その姿は見ることはでいない。銃剣を逆手に握り、駆け出すカンイチ。イザークもまた両手にナイフを握りかけだす

 

 フジが巻き取られた膨らみの辺りから声。

 ”ピシリ”

 四方の壁に静電気の雷。青い雷が走る


 『問題ない ”雷轟”!』

 

 ”ずばぁうううぅぅぅん!”

 

 ダンジョンを揺らそうかという振動、爆音とともにフジを包みこんでいた”何か”が粉微塵に吹き飛ぶ。

 「くっ!」

 「ひぃ!?」

 あわてて耳を塞ぐイザーク。幸いに衝撃波はないようだ

 フジが飲まれた辺りは紫電が走り、その紫電を纏うはフジ。フジのケは逆立ち、壁とフジの間に小さな稲妻が幾筋も走る

 『フン! 我を喰おうとは生意気な』

 「だ、大丈夫か? フジよ」

 『こんな雑魚ごときに喰われる我ではないわ!』

 「よくいう……。完全に飲まれておったであろうが……」

 『ふむ……。あまり気持ちの良いものではないな。よし! 今日は”ショウブ湯”だな! お爺!』

 「菖蒲湯? 昨日も入ったじゃろうに?」

 『昨日は”ヨモギ湯”であっただろう。忘れたか。イザークよ! 後程、湯沸かし器の換装頼むぞ!』

 「は、はい! ふぅ、耳いたぁ……。あ、整えましょうか、フジ様」

 と、ナイフを仕舞い、替わりにブラシを引っ張り出すイザーク

 『うむ! 気が利くな! イザーク』

 「ブラッシングはわしがやるで、イザーク君は胡椒の採取の方、頼むわ」

 「了解!」


 因みに、フジは気分によって”湯船”を変えて入浴を楽しんでいる。保温を考えてカンイチの”収納”に入っているが、その樽風呂は、”白湯”、”菖蒲湯”、”ヨモギ湯”。霊薬に使われる高価な生薬などを配合した”薬湯”など7~8種はある。血行促進の”トウガラシ湯”までも


 「さすが、フジ殿だわ……。アレ見ちゃうとなぁ」

 毛皮の敷物の上でカンイチにブラッシングされているフジを見てぼそり。少々、静電気で逆立った体毛を気持ちよさそうにとかしてもらっている。

 「……うむ。フェンリル様……か。……実感するな」

 「ああ、なにせ特級の魔獣様だ。おぅん?」

 先ほどから青い顔、目も口も大きく開け、呼吸すら忘れてるかのように、ピクリとも動かないアピアに目が行く

 「……」

 「んま、しょうがないわなぁ。初めてだろうし? 言葉が通じるからただの魔獣とは思っていなかったろうがなぁ」 

 「……だな。どれ、ここの胡椒を集めようか。イザーク」

 「アピア……は、まぁ、暫く放置だな」

 「……」

 ……


 ……

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