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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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人生初のダンジョンだしな (ダンジョン内の水場にて)

 

 ……


 「ほ~~ん。こいつが”土”ゴーレムかぁ」

 「おう! ジップさん、今回の攻略で初だでなぁ」

 試練を越え、攻略を再開したカンイチ一行

 通路の奥からのそりと現れたのは、土を突き固めた版築レンガを積み上げたような”土”ゴーレムだ。

 頭部はあるが目や鼻口はない。ゆっくりとカンイチたちに向かって歩を進める

 「そういや、この前の飯時にカンイチが言っていたように、こいつに種まいたら野菜が採れそうだな」  

 「じゃろう。背中に種撒いての。日中はお日様の下に並べてのぉ。わしの手下にいくらでも欲しいわい」

 「……おい。カンイチ、ジップ。呑気に話している場合か」

 「ま、アトスよ。ガハルトらもいるだろう俺らには回ってこないだろうよ。うん? クマたちが行くみたいだな」

 「……そのようだな」

 弾丸のごとく速さでジップのわきをクマたちが駆けていく。

 ……

 

 敷物を敷き、犬の世話を始めるカンイチたち。そう、今や、カンイチがフジ、アトスがクマ、サディカがハナ、イザークがシロをそれぞれ担当し、4人並んで毛繕いが始まった。

 濡れタオルで汚れを拭き上げ、ブラシを入れていく。最近はほとんど毛が汚れることはないのだが、リラックス効果と絆の構築に役に立つから続けられている。止めようものならフジからすぐにも文句が上がってこようが

 

 「平和だなぁ~~。カンイチ。ここ、ダンジョンだぞぉ」

 と、敷物の端に腰掛けるジップ

 「ん? ジップさんも混ざるかの。どうじゃ、ダンジョンはこんな感じじゃが。少々、物足りんだろう?」

 フジをひっくり返し、腹側にもブラシを入れていくカンイチ。さしものフェンリルも目を細めされるがままだ。

 「うん? そんな事ないぞ。楽しんでるぞ、カンイチ。俺ら、人生初のダンジョンだしな」

 「それならええがな。ほれ、ジップさんの活躍の場が少なかろうに。腕が鈍るのぉ」

 「フッ――。問題ないさ。ガハルトみたいに戦闘狂でもなし。鍛錬で体も動かせてるしな。そもそも戦闘は避けるものだ。物資の損耗につながるからなぁ、怪我なんかしたら大損害だ」

 「そうですよ。武具の予備だってそう幾つも持って入れませんし。失ったりしたら……」

 カンイチたちがフジたちにわしわしとブラシを入れているところを羨ましそうに見ていたアピアが言葉を発する。

 「ま、そんなところだな。そもそもガハルトの奴がおかしいんだ」

 「そうじゃなぁ。脳筋大王じゃでな」

 「よし! どれ! アピア、暇していたら見てやろう」

 「はい! お願いします!」

 

 ……

 

 ”命”の水場のある35階まで下りてきた。

 「ほ~~ん。不思議な景色だなぁ。ダンジョンの水場かぁ」

 「……ここが公表されている水場……か。誰もいないな」

 石組みの盃のような造形物からサラサラと溢れ流れる水。一見、清浄な水に見えるのだが

 

 「ジップさん、オレたち、ここまで少し無理して来るんですよ。で、ここにキャンプを張って周辺の階層で採掘して水を満杯に補給して上に帰るんですよ」

 「そうじゃ。ここが唯一のダンジョンの水場なんじゃが、湧水に何か入っているようじゃで、ジップさん、アトスさんも飲まんようにの」

 「……うん? カンイチ、『冒険者ギルド』、『迷宮ギルド』じゃそういった警告はでていなかったが」

 「は、はい! ここは唯一の水場ですよ? 俺じゃここまでこれないけど」

 と、アピア

 「一応、各ギルドには報告したがな。止めるも止めないも、その先はお偉い奴らの判断だろうよ」

 とはガハルト

 「うむ。”何か”ということで、その”何か”の正体はわかっておらんがの。アールも上まで(水を)持っていって試験したが、とんとわからんというでな。良いものか、悪いものかさえのぉ。アールがこさえた薬に反応したというだけでな」

 「ウチは余裕あるから使わないですけどね」

 と、イザーク。カンイチの”収納”に沢山の飲料水が入っている。食料も

 「ギルドとしちゃ、深くまで潜る連中が減るから公表しないかもね? 死亡事例は聞こえてこないからさぁ」

 「おいおい。本当かよぉ、サディカ。冒険者らを守るのも連中の仕事だろうに」

 呆れ顔のジップ

 「ウチは報告したし?  なぁ、父ちゃん」

 「だな。俺たちには関係ないことだ。知らん」 

 「で、ここは一応は安全地帯のようだで、魔物がでん。わしらは野営地に使わせてもらっているがの」

 「了解した。俺達も気をつけるさ。……。じゃぁ、アピア、試しにひとつ飲んでみろよ」

 「え、ええぇ!? 今の話を聞いた後にですかぁ!?」

 「……おい。……アホ」

 さめた目で同僚をみるアトス

 「いぢめはいかんぞ。いぢめはの。ジップさん」

 「冗談、冗談だ。はっはっはっはっは。てか、アホってなんだよアトスぅ!」

 アトスに食って掛かるジップ。が、そっぽを向くアトス

 「じゃ、ぼちぼち野営の準備をせようかのぉ」

 「うん? 水もたくさんあるし、風呂でも沸かすか! カンイチ」

 「いや、さすがに毒水風呂はの。わしはアールを信じているでな」

 「おっほぉ、お熱いねぇ! カンイチよぉ」

 「うんむ。風呂は熱くないとのぉ!」

 「へいへい」

 ……

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