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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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皆、おつかれ! (キング戦)


 ……

 

 「ケヒィ……」

 

 キングの壁になっていた青ゴブリンたちがイザークらに一瞬で刈り取られる。 

 散っていた青ゴブリンたちも、これは不味いとキングの周りに集まってくる。


 「ゲギャォ!」

 

 キングもまさかこんな人間の小僧ごときにリーダー個体があっさりやられるとは思っていなかったのだろう。先ほどまで無手だったキングの両手に投げ槍が二本、形成されていく。そう、湧いてくるように。


 「む? 武器が!? 湧いてきた? ありゃ、魔素を集めたのか?」

 と、ダイインドゥ

 「集めたと言うよりも生えてきた?」

 と、ミスリール。武具に関しての観察は続く

 

 「投げ槍か? おい! イザークのやつ、だいじょうぶかよ!」

 と慌てるジップ。

 「ま、問題あるまいさ。フジ様も動いておらぬ」

 とガハルト。他のメンバーも特段慌てた様子もなし

 「まじか……」


 そのイザーク。

 先ほど腹を割ったゴブリンを蹴り飛ばし、

 「シロ!」

 ”ぅをん!”

 駆けつけた青ゴブリンの首に噛みつき引き倒すシロ

 蹴り飛ばしたリーダーの喉にナイフを突き立てる

 動きが止まったイザークを見ていやらしく笑う青ゴブリン・キング。投げ槍を握る右腕を振りかぶる。

 

 「クマ!」

 ”ぅおおん!”

 

 床に転がったゴブリン・リーダーの喉にとどめのナイフを突き立てた体制、中腰、前かがみのイザークの背を踏み台にクマが跳躍、一息にキングに突っ込む。すれ違うと同時に振りかぶっていたキングの右肩から先が喪失する。

 肩口に喰らいつき、空中で身を捩り、突っ込んだ勢いをも生かし、切断せしめた。

 

 「ゲキョォ? ギョ?」

 己の消えた右腕を探すキング。そのすぐ後方、肩から先の太い腕を咥えた熊の姿が。

 食いちぎられた腕も徐々に黒い靄のようなものとなり、クマの口腔に吸い込まれていく

 

 「ハナ!」

 ”ぅわん!” 

 ぐるり、大回りしていたハナもキング目掛けて突っ込む。そして、混乱しているキングの左腕、二の腕に喰らいつき、頭を左右に振り、そのまま肘から先を食いちぎる。

 

 「ゲヒャァ!」

 

 両腕を食いちぎられ、直立不動のキング。

 切断された場所から黒い靄が吹き出す。


 「うん? 再生してるのか?」

 その靄の行方を見ながらガハルト

 「かもわからんな」

 と、カンイチが応じる。その戦場、最後の命がくだされる


 「シロ!」

 と、青ゴブリンキングに指を差すイザーク

 直立しているゴブリンキングに跳躍、躱そうと身をかがめるキングの首にシロが食らいつき、その2m超えのキングの巨体を引き倒す。

 

 ”がるるるぅうぅぅ……”

 筋肉質のキングの首に牙をたて、押さえつけるシロ。その牙は喉を押しつぶし、窒息させるように深く食い込む


 「ゴゴッ、ゴブゥ……」

 足をばたつかせるくらいしかできないキング。腕の再生のために集まっていた黒い靄もシロが吸っているのかすでに消えている

 

 その間に、駆け抜けていったクマ、ハナはリーダー個体を各個撃破。イザークもまた複数体がシロに集中しないように十手とナイフで牽制。が、ただ牽制するだけじゃない。敵に大きな隙があればナイフで腹も裂くし、十手の棒芯で必殺の一撃を青ゴブリン・リーダーの頭部に叩き込む。

 青ゴブリンリーダーが消え、青ゴブリン・キングもクマたちに貪り喰われる

 

 そして、全てのゴブリンが消えた

 ……

 

 『うむ。まずまずのできだな、イザークよ。ハナが少し遊んでおったがな』 

 「は、はい。フジ様、皆、おつかれ!」

 と、特に息があがった風でもなく、戻ってきたイザーク。

 すぐにマジックバッグから木の皿を出し、クマたちに水筒に入った新鮮な水を与える。そのときに声をかけ、ねぎらうのも忘れない


 「なんてこった……。マジで”魔狼使い”じゃねぇか……。イザークの奴」

 「……うむ……」

 ジップの言葉に言葉少なく頷くアトス

 「どうだ。面白かろう?」

 「おいおい……。はっきりいって、あすこまで出来るとは思わなかったわ……。”魔獣使い”だものなぁ。個の戦闘力よりも連携を一に考えれば……。もう。”金”以上だろうよ、ありゃ」

 「くっくっく。フジ様も加われば”フェンリル使い”だがな」

 「……ランクなんか付けられねぇだろ。それ。それよりも、フジ殿が指導してるとはなぁ……それも驚きだ」

 「意思の疎通もスムーズだろう。それに……けっこうスパルタだぞ。イザークなんか、このダンジョンでどれだけ戦ってきたか……」

 「そ、そうなの……か?」

 「ま、そのうち分かるだろうさ。ん?」

 「どうした、ガハルト。あ? また”おかわり”か?!」

 「いや、どうやら宝箱が出たみたいだな。見に行くか」

 「だな」

 ……


 「……ふむふむ」

 宝箱を四方から眺め、罠の有無を調べるミスリール

 「うん……。大丈夫みたいだね。師匠、次、アトスさん開けるかい?」

 「うん。それでよかろう」

 アトスに場所を譲るミスリール。

 「……うむ。が、俺は斧を」

 「なぁに、気にすることもあるまい。箱を開けるだけじゃで。まぁ、せっかくのダンジョンじゃ、これくらいの楽しみがあってもよかろうさ」

 「……それもそうだな。では開けさせてもらおうか」

 「おう! アトス! 次は俺の装備、ダンジョン産の名剣、頼むぞぉ!」

 「いや、そこは金塊じゃな!」

 と、カンイチ

 「いや、剣だろ! 剣!」

 と、ジップ

 「……どれ」

 カンイチとジップの声援をうけて宝箱は開けられた

 ”ばかり”

 ……


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