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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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攻略を続けられるな! (攻略続行)

 ……


 「……なるほどなぁ。カンイチ。フジ殿がこいつに発破かけたってか」

 当のフジは仕事は終わったとハナたちの元へと行ってしまった

 フジの前に伸びていたアピア。今や、ガハルトの太い腕で剣帯を掴まれぶら下げられている。

 「うん? いい機会ではないか、ジップ。引退間近のベテランの貴様だ。後進の指導も大事な仕事だぞ。お前のチームも若者を入れたらよかろう。くっくっく」

 「おい! 俺は、まだまだ現役だ! てか、さっさと台車に戻してやれよ。ったくよぉ、死んじまうぞ」

 そのまま台車へと載せられるアピア。 

 

 「俺はカンイチをチームに入れるつもりだったんだがな! そしたら、目を離した隙にアカリノくんだりまで行って、いつの間にやらお前とつるんでたしな! それに指導の必要はなかったようだがなぁ」

 「そいつは残念だったな。ジップ。が、いい機会には違わんだろう。それにフジ様に忠誠を誓っているならな。問題なかろう? 裏切ることもすまいよ」

 腕を組み、考えるのはジップ

 「そりゃ、アピアにとっちゃ、もっとも忌避することだろうさ。”裏切り”はなぁ……」

 「うむ。フジもすっかりその気だでなぁ。頼むわジップさん。間にイザーク君を入れてもいいで。イザーク君も後進の指導者としての経験を積むにはよかろうさ」

 「そうなぁ。どうだろうか、アトス」

 「……うむ。俺に依存はない。それに奴には”導き手”が必要だろう。……このまま”闇”に堕ちぬようにな」

 「ふむ……。じゃ、こいつ、ウチで預かるわ」

 「すまんの」

 「いいって」

 アピアの今後が決まったところで

 「それじゃぁ、このまま、攻略を続けられるな!」

 「は? なんでそうなるんじゃ? ガハルトよ?」

 「なんでも何も、地上につく頃にはおそらくアピアも回復しているだろう? 傷は”霊薬”で治ったんだ。後は飯食って血を増やすだけだろうよ。であれば! 先に進んだほうが有意義だろう!」

 ポカンとするカンイチ

 「……? 何故にそうなる。よくわからん持論だの。脳筋故か?」

 「まぁ、待て、カンイチ。そいつも一つの方法だ」

 「ふむ……。ジップさんも脳筋か?」

 くすと笑うはアトス

 「脳筋のお前に笑われたくないわ! アトス!」

 「……が、俺もその意見に賛成だな。くだらん連中にかまける時間はもったいない」

 とアトス

 「ふむ……。であれば皆に諮ってみようかの……」

 

 そして、攻略続行が決定した……


 ……


 アピアの横たわる車輪付きの寝台を”ガラガラゴロゴロ”とシロが牽く。力を蓄えてきたシロにとって人一人なぞ楽々と牽いていく。

 

 「キツかったら言うのじゃぞ、アピア君」

 「は、はい。カンイチさん。お世話おかけします」

 寝台の上には血液が足りず、蝋のように真っ白の顔のアピア

 「ねぇ、師匠、造血の”霊薬”あったでしょう。飲ませなくていいの?」

 「う~~ん。アールの”霊薬”は効果が高いでなぁ。それにしっかりと代価を取られるで。今飲ませたらかえって毒かとおもってのぉ」

 「それじゃ水で薄めてみる?」

 「もう少し顔色が良くなったらでよかろうさ。若いし、飯食えば回復しようさ」

 「そうね。出血も完全に止まってるし。あとは肉食ってたら治るでしょ」

 「ガハルトだったら飲ませても死なんと思うがの」 

 「ははは、かも?」

 ……


 ……

 

 アピアを仲間に加えてから3日。18階をゆっくりと攻略中

 

 「前方、ホブ6!」

 「おう!」

 すらり、腰のトンファーを引く抜き、駆け出そうと一歩踏み出すガハルトに

 『次は我らだ! 引っ込め! ガハルト!』

 「はい……」

 「しょうがねぇなぁ、父ちゃんは……。ホブゴブリンじゃ出番なんかないだろうに」

 駆けていく3頭の魔獣を見送る。おおよそ、普段の風景だ。

 片や、

 「はっ! はっ! はっ!」

 と、気合の声とともにナイフを振るアピアの姿が。まだ少し血色は悪いが、ここまでに回復していた。

 「おい、アピア。引手を速くなぁ」

 「は、はい!」

ジップの激に応えようと真剣に取り組むアピア

 「……まだ本調子ではないだろう。無理はさせるな」

 アトスもまた指導にあたる。

 

 「アール様の”霊薬”よく効きましたねぇ」

 と、その鍛錬の様子をうかがうイザーク

 「うむ。だいぶ薄めたがのぉ。アピア君も体力残っていなかったでなぁ。死んじまったらどうしようかとヒヤヒヤだったわい。アピア君の腹、すごかったものよの」

 とカンイチが応える

 「そうですよねぇ。ぐ~~ぐ~~鳴りっぱなしでしたものねぇ。食っても食っても……。副作用がないものなんて、ダンジョン産の高価な”神薬”ですものねぇ」

 「ほぅん? ”神薬”かの?」

 「どんな傷でもさっと治す伝説の……ってやつですよ。アール様が数本持ってるって聞いたけど。中には死をも超えられるものがあるとか? アール様が研究されてますよ。各種怪しい”霊薬”はその副産物だそうですし?」

 「怪しい薬の研究だで、怪しい薬ができるのじゃなぁ」

 うんうんと頷く納得顔のカンイチ

 「い、いや、そういうことじゃ? ……いいですけどね。アピア君かぁ」

 「イザーク君の後輩だのぉ。いろいろ教えてやっておくれ」

 「はい!」

 ……


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