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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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ホッブゥゥ! (残忍なモノ)


 ……


 順調に攻略を進める一行。

 15階層に差し掛かった時――

 こちらに向かって走ってくる冒険者チーム、その数、男3人。まだ年は若い。

 カンイチたちを認めると両手を上げ、止まる。後ろをチラチラ見ながら。

 いきなり突っ込んだら襲撃、敵対行動と捉えられても文句は言えない。その代償は命をかけることになる。

 

 「登り階段はこの先か!」

 「と、通してくれぇーー!」

 と慌てふためく冒険者たちが大声で叫ぶ。


 「で、どうしたんだ、お前ら?」

 とジップが問いかけるも、冒険者たちは後ろを見るだけ。

 「聞こえないのか、おい」

 「ああ、この後ろ、2区画先だ。ゆっくりと進むといい。で? イレギュラーでも湧いたか」

 と、身を乗り出すガハルト

 「ホ、ホブゴブリンだ! ホブゴブリン!」

 「逃げないと!」

 「と、通してくれ!」

 「あん? ホブゴブリンはレギュラーだろうに。で、逃げ遅れはいないか?」

 とのガハルトの問に

 「……」

 「い、いない! 逃がしてくれぇ!」


 ――うん? 今の……奴の目は

 訝しい、疑いの目を向けるカンイチ

 

 「チッ――! こいつら、置いてきやがったな! 急ぐぞ! ガハルト!」

 「おう! コイツらどうする? 斬っちまうか?」

 「ふん! 放っておけ!」

 駆け出すガハルトとジップ、アトスも続く

 

 「ふ、ふぅ……」

 と、一番の難敵だろう、ガハルトが去り、安堵の息を吐く冒険者たち。

 そこに、

 「おい。このまま返すわけねぇだろ。お前らから見舞金ももらわねぇとな。身分証出せ……」

 と、迫るサディカ

 

 「な! ふ、ふざけるな! 金なんかねぇ!」

 「見舞金だとぉ、お前らには関係ねぇだろうが!」

 と、サディカに食って掛かるも、

 「ま、待て! ”魔狼使い”! こ、こいつら例の……」

 周りで伏せをして待つクマたちに気づき、顔が引きつる冒険者たち

 

 「ふん。このオレのことは知らないのか? てか、イザーク、お前、超・有名人だな!」

 「は、ははは……。てか、クマたちでしょ。有名なの。俺、おまけでしょうに?」

 「そんなこと無いだろ。で、お前たちな。地上に無事に帰れたら、オレのところにこい。そうしたら返してやるよ。ギルド証再発行で逃げられると思うなよ。オレは”金”のサディカだ。ギルド動かして指名手配にしてやる!」

 「き、”金”……」

 「虎人、サディカ……。『双翼姫』……?」

 「お! 知ってるじゃん。てか、お前らみたいな卑怯者に呼び捨てにされる謂れは無いがな! さっさと身分書、置いていけ! ぶった斬るぞ!」

 「ひ、ひぃ!」

 「ゆ、ゆるして……赦して……」

 「ふん! そんなもの、置いてきた仲間に乞え! 生きてるといいがな!」

 渋々、身分証である、『冒険者ギルド』のギルド証を懐からだす三人

 「ダンジョン出るときには、『自分らは仲間を置いてきた卑怯者です。ギルド証はサディカさんに預けました。ごめんなさい!』っていうんだぞ! わかったら、さっさと行け!」 

 くっくっくと笑うカンイチのチーム。笑われてる方は真っ青な顔でうつむく

 「うん? やっぱりここで死にたいのか?」

 「ひ、ひぃ! い、行きます! 行きます!」

 急ぎ足で離れていく3人

 

 「ふん! 出会ったときに 『仲間が捕まりました、助けてください!』 って言えばよかったんだ。ったくよぉ!」

 「そうじゃな。わざわざこんなダンジョンくんだりまで来たんじゃ。それなりの絆もあろうにの。では、わしらも行くか」

 ジップらが消えた通路の先に目を向ける

 ……


 ……


 「あ、ああぁぁーーーー!」

 絶叫――

 駆けつけたジップたちが見たもの。

 5匹のホブゴブリンに囲まれた青年が一人。

 服は全て脱がされ、一体のホブゴブリンが背後から羽交い締め。正面のホブゴブリンがナイフで傷をつけ、いたぶっているところだ。他のホブゴブリンは奇声をあげその残虐な行為を楽しんでいる


 「ホッブ!」

 ナイフを被害者の胸辺りに浅く刺し、切り下ろしていく

 「ぐぎゃぁーーーー!」

 被害者の悲鳴が響く

 「ホッブ! ホブホブホブぅ~~!」

 「ゴブフフフフ……」 

 「ゴブィ! ホブホッブ!」

 「ホブゥ~~~~! オッフホブホブホブゥ~~」

 と、笑うホブゴブリンたち


 「……ジップよ。ダンジョンの魔物であっても、地上のホブゴブリンと同様の残虐性をなぞるものなのだろうか?」

 「知るか! そんなことよりも行くぞ! アトス!」

 「俺が突っ込む!」

 駆け出すガハルト、一段速度が上がる!

 

 「……その前に一手。……ふぅん!」

 ボス部屋で手に入れた戦斧を投擲するアトス。

 その手から放たれた戦斧は回転しながらまっすぐ、ナイフを哀れな犠牲者に刺していたホブゴブリンの右肩口をとらえた


 ”ぼぐぅん!”

 「ホッブゥゥ!?」

 車にでもはねられたようにぶっとぶホブゴブリン。そのまま通路の壁に叩きつけられる

 

 その勢いのまま、ホブゴブリンの中に突っ込むガハルト。

 アトスの投擲した斧が着弾すると同時にガハルトが繰り出したバスターソードの切っ先が羽交い締めし、冒険者の自由を奪っていたホブゴブリンの首を高く飛ばす


 「がぉおおおおおぉぉぉーーーーーーん!」

 ガハルトの咆哮!

 

 「ホ、ホブゥ」

 「ゴブホブゥーー!」

 硬直したように動きを止めるホブゴブリンたち。腰の剣帯から抜いたナイフもとり落とすほどだ。


 「おおおぉぉぉーーーー!」

 

 ”どしゅ!” ”ばっしゅ!” ”びしゅ!”


 一匹は真正面から縦に左右二つに割られ、一匹は胴で上下に二つに。最後の一匹は胸を一突き。串刺しだ。

 

 {ホ、ホッブゥ~~~~}


 先ほどまで奇声をあげて楽しんでいたホブゴブリン共。絶叫をあげ、みな消えていく。


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