はっきりいって邪魔だし? (その頃のアールカエフ)
「うん? ちょっとした買い物よ? ティーター君、ダリオン君? 別についてこなくともいいよ? はっきりいって邪魔だし?」
キキョウの手を握るアールカエフ。振り向き、ピッタリとついてくる二人の護衛に物申す
「スィーレン様、お申し付けくだされば買い物くらい、こちらで用意しますが?」
と、銀髪のエルフのティーター
「スィーレン様を一人、街に放つと何しでかすか。心配だからついていくのですけど?」
と、金髪のエルフのダリアン。上官のファロフィアナよりアールカエフの監視の命を受けている。
「僕は何もしないよ? ダリオン君。ずっと宿舎に籠もってるのも退屈だろう? お尻から根っこ出てきちゃうぞ? お昼も食べたいし?」
「引き籠もりで有名だったくせに……。根っこ? 結構じゃないですか! スィーレン様。私どもも煩わされる事もなくなりますし。大歓迎ですよ」
「もう……。ダリオン失礼よ。食事も用意できますよ?」
「嫌だよ。君たち肉食わないだろう? そんな栗鼠のご飯みたいなのは御免だね!」
「キキョウもいますし、ちゃんと肉料理もつきますよ? 軍のコックが腕をふるいますから問題ないかと」
「フッ――。肉ばかり食べてると……。……」
と、そこで言葉を切るダリオン
「ふふん。『長生きできない』――だろ? この肉食エルフの僕にその”迷信”はまったく意味がないね! その言葉にどういった根拠があるのか是非とも聞きたいもんだ! ダリオン君!」
ジロリと、悔しそうにアールカエフを睨みつけるダリオン。なにせ、眼の前にいるアールカエフは1700歳超えの化け物エルフだ
「むしろ、肉食べてるほうが長寿じゃない? 僕の友達も肉食エルフのほうが長生きしてるぞ。君たちの上司のファロフィアナ君だって肉食うだろう? ひょっとして肉を食うことが『ハイエルフ』への道かもよ? くふふふふ。ま、頑固なダリオン君には無理な話しだわね~~ぷぷぷ」
「……」
ギュッと唇を噛むダリオン
「ほら、スィーレン様には敵わないって言ってるでしょうに……ダリオン」
と、同情の目を同僚に向けるティーター
「ついてくるなら構わないけど。邪魔しないでね!」
「はい」
「……」
「いい? ダリオン君?」
「……はい」
『三丁目仕立て屋』に寄り洋服を物色。その後も露天を見て回る。
「掘り出し物ってなかなかないねぇ」
じっと露天の敷物に並ぶ品々を吟味するアールカエフ
「なかなか無いから掘り出し物っていうんですよ。そんなことも知らないのですかスィーレン様は」
「んもぅ! ダリオン君は! 本当にヤっちゃうよ? チミ! サクッと!」
「もう、ダリオン、一言多い!」
「アールお母ちゃん、串焼き食べよう!」
「そうね。あすこの屋台にしよう!」
「もう、これからレストランに行くんですよ」
「うん? ちゃんとレストランは行くよ? 当たり前じゃん? 串焼き食べたら『リンギーネ』にゴーー!」
「お肉♪ お肉ぅ~~♪ お肉ぅ~~♪ おに~~くぅ~~♪」
クルクル回りながら屋台に向かうキキョウ、アールカエフもクルクル回りながら続く
「だって、スィーレン様ですものねぇ」
……
「そういえば……スィーレン様、帝都の商人がお付き合いをしたいと申し入れがあったのですけど……どうでしょうか?」
食事の後のお茶を楽しみながら
「うん? ダリオン君、商人? さっぱり興味ないけど?」
サクサクと焼き菓子をかじりながら。アールカエフの関心は商人からすでに焼き菓子に移っている
「でしょうね。聞く相手を間違えました」
「ダリオンくぅ~~ん。どゆこと? ねぇ?」
「でもダリオン、採集品もちゃんと捌けてるし、必要ないのでは? で、その要請の出所は?」
「そうなんだけどね。貴族の連中がコソコソとね。ほら、仲介料っていうの?」
「接触は許されてはいないでしょうよ? 貴族家だって承知してるでしょ?」
「宰相閣下がこそこそ動いてるとか? ま、その辺りはファロフィアナ様のお仕事でしょ」
「うん? そういえば、さっぱり顔出さないねぇ、ファロフィアナ君は。ダンジョン騒動があったから顔くらいだすと思ったのに? なにか聞いてるかい? ダリオン君、ティーター君?」
「さぁ? スィーレン様が顔出すと思ってるから、あえて顔見せないかも? ファロフィアナ様もスィーレン様のように大層、御ひねくれでいらっしゃいますし?」
「こ、こら、ダリオン!」
「失敬だね! 君ぃ~~。慇懃無礼という言葉を知っているかね? ブッコロしちゃうよ? 僕には腹黒いところはこれっぽっちもないよ?」
「そうです?」
「そうですよ! お茶をもう一杯いただこうか!」
と、店員を呼び止める
「アールお母ちゃん、焼き菓子もおかわり! これ美味しいね!」
「うん。そうしよう! 焼き菓子追加!」
「は~~い」
新たなお茶を注ぎながら、
「それでカンイチ様たちのお帰りは明日ですか?」
「さて? 移動で片道1日、採取で2~3日? ま、一週間くらいいるんじゃない? あと三日くらい?」
「それじゃ、お世話もまだ三日もあるのか……」
と、ダリオンがボソリ……
「こら! でも心配ですね、スィーレン様」
同僚を嗜むティーター
「そう? 特に? フジ殿いるから大丈夫でしょ?」
「身も蓋もないですねぇ」
「カンイチ様も哀れねぇ」
「そう?」
……




