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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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(湿地で狩り)

 ダンジョンより生還したカンイチ一行。

 一週間の充電期間の後、活動を再開。手始めに”湿地”へと狩りに繰り出す。

 もちろん提案者はガハルトだ。

 

 「ここらには、あの美味いオオタルミカモはいないのかの? のぉ、サディカさんや」

 

 蛙狩りを終え、一服。

 敷物を広げるスペースがあってもここは湿地帯。毛皮も濡れて不快なものに。よって、敷物は敷かずに背もたれのないベンチを設置し休憩にする


 「ああ、あの鴨ね。ここらまでは上ってこないかな? あまり聞かないね。人の歩く範囲には大きな沼やら湖がないから? 湿地の奥の方はわからないよ?」

 と、サディカが応える

 「あの鴨、美味しいですものね~~。皮パリにして……でも、アール様にお願いしないと」

 と、今にも舌なめずりしそうなイザーク。あの肉汁溢れる鴨のローストを思い出したのだろう

 「そうじゃなぁ、わしらじゃ数穫れぬものなぁ」

 「うんうん。あの鴨も人に慣れちゃってるから、弓の射程外にいるものねぇ。沼の中には入れないしね」

 と、得物のアーバレストを整備しながらのミスリール

 「シーズンになったら獲りに行きたいのぉ」

 『うむ。我も賛成だ! あの溢れる脂ときたらな……”ごきゅり”』

 ”ぅおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 フジに賛同するように吠えるクマたち

 「おう? クマたちもかの。それじゃぁ”鴨狩り”を予定に入れとかんとのぉ」

 「で、カンイチさん、この後、野営? それとも帰還?」

 「そうじゃなぁ。せっかく来たで、野営にせようか。街道付近まで戻っての。二、三日滞在せようと思うがどうじゃ?」

 「異議などあろうか。なぁ!」

 と、立案者のガハルト

 「そうですね。この湿原の真っ只中じゃおちおち野営なんかできませんよ。虫も沢山いるしぃ。ほら、すぐヒルが上がってくるぅ」

 と、足元を『ヒル落とし』の異名をもつ植物、クリテラタ草の束で叩くイザーク。

 

 クリテラタ草――ヒル避けでなくヒル落としというのは、搾り汁を塗っても大して効果はないが、草体にはヒルは一切近づかない。触れると収縮し、吸血中でもぽろりと落ちる。とても有用な植物だ

 

 「よし! 暗くなる前に移動じゃ」

 ……

 

 湿地 2日目


 「昨日、けっこう獲ったのに、まだまだたくさんいるなぁ」

 沼の周りにはゲコゲコとキング・フロッグの姿が。ざっと50頭はいようか。

 「この沼、思った以上に広いのかもしれませんね」

 と、額に手のひらをかざし目を凝らすイザーク

 「これ以上、奥に行くモノ好きもいないからなぁ。キングフロッグだってそこそこの難敵だし。数も多いから囲まれたらな。キングフロッグ以外だってなぁ」

 「確か、大ヒルでしたっけ? サディカさん?」

 「大ヒル? そんなのは大きくても1mくらいなもんだし。ひっつかれたらすぐにクリテラタ草で叩き落とせばいい」  

 「い、いや、1mって、大概ですよ……。気持ち悪い」

 「生け捕りにするとけっこういい金になるぞ、イザーク。丈夫な袋がいるけど。すごい力だし、隙間があればでてくるし」

 「へ、へぇ~~。ひっつかれないように注意しよ」

 「このツナギとジカタビなら隙間もないし、血吸われる前に気づくだろうさ。大ヒルよりもヌマサメというのがいてさ。沼の縁に近づくと大口開けて飛びかかってくるんだ」

 「む? サメかの? サメって海にいるのじゃないのかの?」

 「”うみ”ってなんだ?」

 そう、この大陸の国々には四方を極地に囲まれており、海に出る術はない。よって海自体を知らない人も多い。

 「そうさなぁ。とてつもなく大きな湖のような……。塩がたくさん溶けておっての塩水なんじゃ」

 「塩水?」

 「塩水の湖はあったな。それのデカいやつか?」

 「塩湖があるのかの。まぁ、見ないとわからんわなぁ。ふぅむ。時々 『サメが川で泳いでいる』 というニュースを聞くこともあったがの」

 と、地球にいた頃のことを思い出す

 「よくわからんがカンイチの知ってるサメというのは塩水のところにいるってことか?」

 と、ガハルト

 「ま、そんなところじゃ。肉食で凶暴な魚での。こっちのはどうか知らんが、けっこうデカくてな。人食いの部類の魚じゃな」

 「ほ~~ん」

 とニヤリと笑うガハルト

 「まったく……」

 ガハルトの”にやり”笑いに、何かを感じたカンイチ。いやここにいる皆か

 「よし! 先ず・・は蛙殿がお待ちかねだ! いくぞ!」

 「先ずって……ガハルトさん?」

 ……


 「……で、何をやっとるんじゃ? ガハルト?」 

 大量にいたキング・フロックを狩り、お茶休憩中のカンイチたち。

 が、少し離れたところでキングフロックの死体の前でロープをもってなにやら思案顔のガハルト

 「いやな、そのヌマサメというのを一つ拝んでやろうと思ってな」

 「ほう」

 「で、なにかいい知恵はないか? カンイチよ」

 「そうさなぁ。普通のロープじゃ食いちぎられるじゃろ……。サメというやつは恐ろしく鼻がいいで、血を流せば近くまで来るんじゃなかろうか。で、沼の縁に蛙を置いておびきよせりゃ……が、水の中はサメの領域じゃ。勝てんぞ」

 「それくらいわかってるわ。さすがに水の中で魚に喧嘩は売らんわ!」

 訝しげにガハルトの目を覗き込む

 「本当かのぉ……。ま、あのサメの歯を見れば考えも改まろう? どれ、こいつの皮を剥がそうかの」

 「おうよ! どれ……」

 べりべりとキングフロッグの皮を剥がしていく。ガハルトの力で一息に剥がす。

 「おぅん? いつぞやの肉屋の獄卒殿、かなりの腕前であったのぉ」

 「ああ、もっと綺麗に剥がせると思ったがな。噂に聞くテルル殿のように上手くいかぬものだな。穴が空いてしまったわ」

 「何やってるんです? カンイチさん、ガハルトさん? 蛙引っ張り出して?」

 と、そこに、何をしてるのかと伺いにやってきたイザーク

 「うん? 一つ、ヌマサメを釣ってやろうとおもってな!」

 「……また。……ガハルトさんですものね」

 「どういう意味だイザーク!」

 ――そのままの意味じゃろう。と、声に出さないカンイチ

 「それで、仕掛けはオオヨロイナマズの時と同じですか、カンイチさん?」

 と、興味深く皮を剥いだ蛙の足にロープを結んでいくカンイチの手元を見るイザーク

 「そうじゃ、念の為、ミスリール呼んでくれるかの」

 「了解!」

 ……


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