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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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乾杯! (生還の宴)

 地上へと無事に生還したカンイチ一行。その姿はまだ詰所にあった

 責任者のアカジン将軍も到着、そして、帝国諜報の二人のエルフも。

 アカジン将軍とダリオンが、アールカエフたちの身柄引き渡しについて交渉している中、


 「皆様、ご無事で何よりでございます。大神様の御加護ですね」

 と、ティーター。その傍らにはリンドウ、キキョウの姿も。アカマチの言う通り、二人共怪我もなく無事のようだ。

 「ただいま! リンドウたちのお世話、ありがとう! ティーター君!」

 「ティーターさん。本当にありがとう」

 深々と頭を下げるカンイチ

 「おかえり! アール母ちゃん! 役に立ったか!」

 と、尻尾を左右に振りながらのリンドウ。感情が表に出ている。

 「うん? そりゃ、全然さ! ずっと寝てたよ?」

 「……ダメじゃん」

 「いいのよ? 僕は指揮官みたいなものだから? ほら、脳筋軍団の?」

 「のうきんぐんだん? なんだそれ?」

 「アールお母ちゃん、オミヤ! オミヤ!」

 「うん? オミヤになりそうなもの……。なんかあったかなぁ? そうだ! 今からお肉、沢山食べに行こう!」

 「わ~~い! お肉♪ にくにく♪ お~~に~~くぅ~~♪」

 「うんうん。楽しみだね!」

 ぴょんぴょん飛び跳ね嬉しさを体で表すキキョウ。アールカエフも一緒に

 

 「さすが、スィーレン様。お元気そうで何よりでございます」

 アカジンとの会談を終え、こちらにやって来たダリオン。渋い表情のアカジンを見るに、アールカエフたちの即、解放を勝ち取ってきたようだ

 「うん? ダリオン君、いつにもなく素直ね? 嫌味の一つもぶっ込んでくると思ったよ?」

 「いつも通りですが。スィーレン様にそんな無礼は働けません!」

 ふふん! と鼻で笑うダリオン

 「ほほぅ? そうだったっけ? まぁいいや。今から宴だし。君もくるといい」

 「はい。ごちそうになります」

 「君は割り勘だよ?」

 「ケチ……」


 まだ閉鎖されているだけあって大扉も閉まっている。いつも並ぶほど混雑している入り口付近も冒険者の姿はなし。いずれも同じ軽鎧を着た帝国軍兵士だ

 アカジンに案内され、大扉にある小さな扉から外へ。外にはすでに開門を待つ冒険者たちが並ぶ

 

 門から出てきたカンイチたちのチームに一斉に視線が向けられる。

 

 「お、おい……アレって?」

 「も、もしかして今の今までダンジョンに?」

 「う、嘘だろぉ……。あ! サディカ?」

 「噂じゃ、し、死んだって?」

 「サディカーー!」

 「しっ――!」

 「待て! あれはアールカエフ様のチームだぞ! 余計なことをするな!」

 

 ざわざわと冒険者たちから声が。

 

 「や、やっぱり目立ちますね。サディカさん」

 「まぁな~~。なにせアールカエフ様だぞ。……てか、もう並んでるのかよ! こいつらは! 金ねぇくせに。暇なら兎や猪獲りに行けよ。ほんと、ゴブリンよかアホだよなぁ」

 と、悪態をつきながらも、手を振る顔見知りには手を上げて応えているサディカ。ホッと安心した顔で

 「うん? イザーク君も手を振ってみたら? ”英雄”になれるぞぉ! ぷっぷっぷ!」

 と笑うアールカエフ

 「か、からかわないでくださいよぉ、アール様ぁ」

 「じゃぁ、俺がやる!」

 「キキョウも!」

 ブンブンと手を振るリンドウ、キキョウ兄妹。その愛らしい様子に手を振り返す冒険者たち

 「じゃぁ、僕も混ざろうか!」 

 アールカエフが手を振りだすと皆、時が止まったように手を止める。相手がアールカエフだ。仕方ない

 ジト目でアールカエフを見るキキョウ

 「アールお母ちゃん! ダメ!」

 と、アールカエフの手を押さえるキキョウ

 「お、おおぅ? 何故に! ……反省?」

 がっくりと肩を落とすアールカエフだった

 ……


 宴会場となる『リンギーネ』に到着。すぐさま、奥の特別室に通され、注文をせずとも自慢の料理、美酒が次々と運ばれてくる。肉多めで。

 

 「うん? 注文は――」

 「いえいえ! 本日の宴。この街に住むものとしてお礼をしたく。お代もけっこうにございます」

 と、腰を折る支配人

 「さすが耳が早いな」

 「うん? そうか? じゃぁ、遠慮なくいただこうかねぇ!」

 と、ワイン瓶を逆さに大きなゴブレットに注ぎだすディアン

 「いや、少しは遠慮しようよ、母ちゃん。酒代は別にしておくれよ支配人さん。酒蔵、空になっちまうぞ。母ちゃん、まだだぞ。皆で乾杯してからだ!」

 と、ミスリールの苦言が飛ぶ 

 「じゅ、準備さ、準備!」

 「は、ははは……どうぞ、ご遠慮なさらずに」

 

 大きなジョッキを持ったガハルトが立ち上がる

 「よぉし! カンイチ!」

 「うんむ。皆の衆、長い期間ご苦労じゃったの! 誰ひとり欠けることなく帰ってこれた! 乾杯!」

 {かんぱーーい!}

 打ち鳴らされるジョッキ。喉を嚥下する酒。ゲフッと胃を膨らませてでるゲップ

 

 「よぉし! 飲むぞぉ!」

 「よぉし! 食うぞぉ!」

 「ほら! キキョウ、お・に・くだぞぉ~~。たんとお食べ」

 「お肉ぅ♪ お肉ぅ♪ お肉ぅ~~♪」

 『その香草焼き、もう少しくれ!』

 肉が盛られた皿があちら、こちらに

 

 「ミスリール! そこの酒ぇ!」

 「飯も食えよ! 母ちゃん!」

 「うんむうんむ。やはり酒は腰を落ち着かせてのむものじゃな」

 酒が入ってる瓶も

 

 「リンドウもたくさん食え!」

 「おう! 肉ぅ!」

 

 「ずいぶんとまぁ騒がしい飯だのぉ」

 わいわいと賑やかな卓を見渡すカンイチ

 「ん? 素敵だろう? カンイチ」

 「ああ、そうじゃな。アールよ。わしらも食べようか」

 「僕はもうガッツリ食べてるぞ! うん! うま~~い!」

 ……

 

 その日のうちにアールカエフ一行がダンジョンから出てきたという噂が街の隅々に広がる。ダンジョンの中で”溢れ”を乗り切ったのかとの憶測とともに

 ……

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