表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
466/520

ただいまぁ! おひさま! (生還)


 ”溢れ”を乗り越え、地上を目指すカンイチ一行

 途中、調査に降りてきたアカマチ隊と出会う。そこで情報交換。一足早く、上がることに

 

 「地上の被害も最小限で良かったですね」

 「ま、そうじゃがなぁ」

 が、一人。険しい表情のサディカ。

 「あ……。サディカさん」

 「うん? まぁ、それこそ冒険者、自己責任ってやつさ。皆、承知でダンジョンに潜ってるんだ。町人の盾になって死んだんだ。役に立ったってな。浮かばれるってもんさ」

 「はい……」

 「”勇者”じゃな」

 「ええ。オレだって死んでたかもしれねぇし。このチームじゃなかったらな」

 「そうですね……」

 ……


 地下1階


 「いよいよ地上だね! カンイチぃ! やっほ~~い!」

 クルクルと踊りながら、上機嫌のアールカエフ。

 「うむうむ。しっかし、不思議じゃなぁ。地上に近づくにつれて顔色もじゃが、髪の色さえ鮮やかになってきてるように感じるのぉ。潜ってる時はわからなんだが」 

 そうっとアールカエフの頭に手を置き、愛おしくサラリと髪を撫でるカンイチ。ニッコリと笑みを返すアールカエフ

 「これでわかっただろう! お日様の民! 肉食エルフぅ!」 

 と、胸をはる

 「いいかい! 地上への一番乗りは僕だぞぉ! これは譲れん! 仮令、カンイチでもぉ!」

 「お、おう。好きにするとええ。案外、子供っぽいのぉ、アールは……」

 「待ちに待った外ですものね。アール様」

 「うんむ! その通りだ! イザーク君! カンイチもそれくらい察してくれたまい?」 

 「じゃが……。安全を考えるとのぉ。軍は大丈夫でも――」

 と、言葉を切るカンイチ。地上の様子は全くわからない。

 ファロフィアナの動向も。彼女が腕まくりして万全な体制で待っていたら? そう思うと気が気でないカンイチ。

 

 「ふふん! この僕がファロフィアナ君に遅れをとるとでも? 若造エルフや、帝国の犬ごときのハイエルフ・モドキなんぞ100でも1000でも問題なーーし!」

 「心配するのもわかるが、問題なかろうよカンイチ。本気ならダンジョン内でかたをつけるだろうよ。ファロフィアナ殿だってやられたら嫌なことはアール様と一緒だろう。暗殺者を送るとかな。が! 望むところだがな! はっはっは!」

 「ガハルト君……。暗殺者につけ狙われるのはあまりいい気持ちじゃぁないよ?」

 と、呆れたお顔のアールカエフ

 「そうじゃなぁ。そんのに付け狙われたら落ち着かんのぉ」

 『ふん。そんなものは物の数でもあるまい。いよいよ地上だな』

 「うん? フジも地上のほうがええかの?」

 『当然であろうが。陽の光、大神様もご覧になってくれてるだろう?』

 「……どうだかのぉ。あの神様は……」

 「こらこら。まぁ、わからんでもないけどぉ。大神様への悪口は駄目だぞ? カンイチ。よぉし! 行こうか!」

 ……


 「ただいまぁ! お・ひ・さ・ま!」 

 アールカエフがダンジョンからぴょん! と、飛び出ると、”ごぅ!”と、この狭い、ダンジョンを囲む隔壁の中を風が渦巻く。まるで迎え入れるように。陽光に輝く緑色の髪がサラリ、なびく。

 そしてゆっくりと両手を広げ、肺を外の空気で満たす……

 

 「はぁーーーー! やっぱりお日様がないとダメだわ。エルフは。ううん?」

 

 アールカエフが深呼吸を終え、前報に視線を向ければ、眼前に怯えた表情の兵士が5人。手にする槍をアールカエフに向けている

 「うん? 両手広げてるけど、僕はコウモリ男じゃないぞ? 君たち? 僕、飛べないし? まだ?」

 と、鳥が羽ばたくように両手をばたつかせるアールカエフ

 

 「ま、待て! 退け! 退け!」

 と、すぐに軍の指揮官が飛んできた。そして、アールカエフに敬礼。

 「ア、アールカエフ様でございましょうか?」

 「うん? そうよ?」

 「お、おかえりなさいませ。や、やはり生きておられたか!」

 「ううぅん? 失礼よ? 君ぃ、当たり前だろう? そう簡単に死なないよ、僕は。うん? ……もしや、お国の方から僕をどうにかしろと命令でもきてるのかね?」

 「い、いえ! 滅相もございませぇーーん! ぶ、無事のご帰還、喜ばしく思います!」

 ビシリと再び敬礼を捧げる隊長。槍を向けていた隊員たちも槍をわきに立て隊長に倣う 

 「うんうん。ありがとう! いいねぇ、地上は! ふぅ~~。うん! まずはお茶だな。お茶! ここ、借りていいかい?」

 「は、はい! あちらに準備させていただきます!」

 「うん。焼き菓子もあるといいね」

 「はっ――! 準備させていただきます!」

 「隊長殿、ダンジョンを調査していたアカマチ殿からの書状を預かっていてな。仔細は書状に。ダンジョンも開放していいそうだ」

 と、前に出るガハルト。このような交渉事の窓口だ。

 「はっ――! ガハルト殿でありましょうか! ありがとうございます」

 ザッと目を通し、その書状を、伝令係に渡す。すぐに軍の詰所へと駆けていく。

 「それで、ガハルト殿。少々、時間をいただけませんか」

 「うむ。……しかたあまいな。アカジン殿を待とう」

 ……


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ