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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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短編 リンドウ編 早朝訓練

 「ねぇねぇ。リンドウ君、アールカエフ様たちはいつ帰ってくるの?」

 ある日。いつものように休憩時間は机に突っ伏しているリンドウ。

 その背をぽんぽんと叩き、話しかけるリンネ

 

 「またお前か……」

 面倒くさそうに顔の向きを変えるリンドウ。

 「お前じゃないし。リンネだよ」

 「……ふん。さぁな。メヌーケイ国ってどこにあるのか俺、わからないし? 遠いって言ってたがな」

 「メヌーケイ国? 確か、オーサガ王子だっけ? 騒ぎになってたなぁ」

 「オーサガ? 王子? 誰だ? 知らない。もういいだろう。俺は寝るんだ。あっちいけ!」

 しっしと野良犬でも追っ払うように手を払うリンドウ

 「せっかくの休憩だよ? 寝てたらつまらないだろう。リンドウ君?」

 と、顔を覗き込むリンネ

 「……俺は軍での鍛錬があるから朝が早いんだ」

 「鍛錬? うん? ……。おお! ちょうどいい! ねぇ、ねぇ! リンドウ君。僕も軍の鍛錬場に行っていい?」

 「は? 何しに来るんだ?」

 「何って? やだなぁ~~リンドウ君! 鍛錬しに行くに決まってるだろう! すこし体を鍛えたいと思ってたんだよ。ほら、僕、ヒョロだろ」

 「うん。ヒョロだ。鍛えるのはいいことだ。……日の出前からだぞ?」

 「よぉし! 父上に許可もらおう! リンドウ君も将軍と隊長に口を利いてよ」 

 「ん? 口を利くって? なんだ?」

 「うん? 僕と一緒にお願いしてくれってことだよ」

 「そ、ま、がんばれ」

 「よぉぉしぃ! 帰ったら父上を説得しないと!」

 「……」

 ……


 翌朝、日の出前

 「……本当に来たんだな。お前……」

 「お前じゃない。リ・ン・ネだ!」

 二人の護衛を引き連れて鍛錬場にきたのはリンネ

 「護衛引き連れて、馬車に乗って……。貴族って馬鹿だな……。本当に何しに来たんだよ。お前は……走ってこいよ」

 リンドウの真っ当な指摘に苦笑いの二人の護衛。

 「だから、鍛錬だって」

 「はぁ? そこの護衛に稽古つけてもらえばいいだろう? どうせデカい家で庭もあるんだろ?」

 「いや、友人であるリンドウ君と共に切磋琢磨すれば上達も早いだろう? きつい鍛錬も楽しいものになるだろう!」

 「なるか! それに誰が友人だ? おい」

 「僕と君だけど!」

 そこにアカマチが

 「あんら~~! その紋章は……ラプター家の? ううん?」

 「聞いてなかったのですか、隊長。ラプター家の関係者が体験入隊するって」

 「あ、ああ! アレ? 護衛の方の研修だと思ったわ~~。まさか、御曹司君とはねぇ~~」 

 護衛の一人が懐から書状を出す

 「私達も鍛錬に参加させていただきます」

 「ええ! イケメンさんは何人でもオッケーよぉ!」

 「ア、アカマチ隊長、よろしくお願いします! ラプター家のリンネです!」

 「ええ! よ・ろ・し・く・されましたぁ! で、リンネ君の得物はなに?」

 「は、はい! 一応、細剣を……」

 ……


 「ふぅぅ……。疲れたぁ。軍の訓練だから全然ついていけないよぉ。これ毎日やってるの? リンドウ君?」

 へたるように腰を下ろすリンネ。タオルで滴る汗を拭きながら

 「当たり前だろう。俺は強くなりたいからな!」

 ゴクゴクと汲みたての水を嚥下するリンドウ 

 「で、お前、今日でおしまいか?」

 「い、いや! まだやるさ! 僕だって強くなりたいもの!」

 「ふ~~ん。護衛だっているし。もういいんじゃね?」

 「よくない! 自分の身くらいは守れるようになりたい! 僕ってさ、よく病気もするんだ。体鍛えて心配かけないようになりたいし! 何より長生きしたいだろう!」

 と、熱く語るリンネ。その熱量に怯むリンドウ

 「そ、そうか、がんばれよ」

 「ああ! だから付き合ってくれよ! リンドウ君!」

 「いやだ。勝手にしろ」

 「そこは一緒に頑張ろう! だろうに!」

 ……


 「で、リンドウ君、その変わった武具はなに?」

 リンドウが左手に握り器用にあつかう武具に興味津々のリンネ

 「これか? これは”十手”っていう武具だ」

 「”じって”? 聞いたことないなぁ。”じって”ね」

 「カンイチ兄が作ったって聞いたな」

 「カンイチ兄?」

 「俺の義父だ」

 「そうなんだ。カンイチ殿……か。ああ! アールカエフ様の!」

 と、ぽん! と手を打つリンネ

 「知ってるのか?」

 「名前だけ。資料にあったもの」

 「へぇ~~。資料?」

 「そりゃ、アールカエフ様と魔獣様がいらっしゃるし。今、世界で一番有名なチームだよ」

 「そんなに有名なんだ? アール母ちゃん。フジ様?」

 「そりゃそうさ。なにせハイエルフ様だぞ! それと、フェンリル様だし」

 「ふ~~ん」

 「反応うす(薄)ーー! アールカエフ様だよ? フェンリル様だよ?」

 「まぁ、母ちゃんだし? フジ様だし?」

 「そ。リンドウ君だもんね。その話はいいや。父上たち大人の話だし。で、その”じって”どこに売ってるの?」

 「さぁ。知らん」

 「……僕も欲しいのですけど!」

 「お前、細剣だろ。いらねぇだろ」

 「細剣の僕が使ってもいいだろう? 身を守るのにいいな。ちょっと貸してよ!」

 「い・や・だ! 自分の得物を人に貸すわけないだろう!」

 「友達だろう! リンドウ君!」

 「知らん!」

 ……


 「はふぅ~~。リンドウ君の気持ちがわかったよ……」

 リンドウ同様、休憩時間に机に突っ伏すリンネ。

 「それに、全身痛ぁ~~い」

 「ふん。お前、ヒョロだからな」

 「お前じゃないしぃ……。いたたぁ……。リンネだ……話すだけで痛いし」

 「鍛錬が足りないな! ヒョロリンネ」

 「ん? おお!? やっと名前を呼んでくれたね……リンドウ君! いたた……」

 「……。ふん!」

 「じゃ、もう友達でいいね! リンドウ君! よろしく……はぐぅ……いたた……」

 「ったく……。明日も鍛錬に来るなら馬車じゃなくて、ちゃんと走ってこいよ」

 「う、うん……。そうするよ」


 ぐいぐいくるリンネの押しにとうとうリンドウも陥落。こうして友人になった二人。


 ……


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