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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
460/520

短編 リンドウ編 リンドウ

 ……


 リンドウ君の一日


 日の出前に誰に起こされるわけではなく、パチリと目を開く。大きな欠伸を一つ

 ゴソゴソと起きだし、小さいが帝国軍と同じ仕様の軍服に腕を通す。同じデザイっというだけであって、国旗等、所属を示すものはついていない。

 夜は常に、用心で枕元に置いてあるナイフとナイフと十手じってを腰の剣帯に刺す。そしてもう一丁、鞘に入った戦闘訓練用の刃引きされたナイフを握る。


 「よぉし! 今日も頑張るぞ! キキョウ、朝だぞぉ! 起きろ!」

 「はふぅ……。まだねむいぃ~~よぉ~~」  

 隣に寝ていた妹のキキョウもムクリと起きる

 「ねぇ、お兄ぃ。今日、お母ちゃんたちかえってくるかなぁ?」

 「どうかなぁ。ダンジョンが大好きなガハルト小父さんいるからなぁ。先に訓練行ってるぞ!」

 「うん! じゃぁ、キキョウは寝てるね!」

 「お・き・ろ!」

 ……


 「おはようございます!」

 訓練前、整列している帝国兵の最後尾にちょこんと並ぶリンドウ

 {おはよう!} 

 「今日も元気ね! リンドウちゃん!」

 「いつも元気です! アカマチ隊長!」

 ビシリ! と帝国軍の敬礼を真似るリンドウ

 「うふふふ、可愛いわねぇ! リンドウちゃんは! ぃよぉしぃ! 体を解してから組手初めましょうか!」

 {おう!}

 ……


 「パノーペさん! もう一本!」

 「おうよ! いくぞ!」

 突き出された軍人、パノーペの訓練用のナイフを逆手に握る十手で受けるリンドウ。手首を巻き込むようにひねる。

 「ぅお! 相変わらず力あるなリンドウ! 持っていかれそうだ! チビのくせに!」

 「へへへ! パノーペさん、隙あり!」

 と、ナイフを突き出すリンドウ。

 「お! やるな!」

 と、リンドウ同様に十手で受ける。引き込み、リンドウの小さい体の腰のベルトをむんずと掴み持ち上げる。ぶらり、ぶらりとぶら下げられるリンドウ

 今や”十手”は体術重視のアカマチ隊の標準装備になっている。

 

 「もう! パノーペのおっちゃん! 持ち上げるのは無しって言っただろ! 訓練にならないじゃん!」

 パノーペのの太い腕に子犬のようにぶら下げられているリンドウ。逃れるためにジタバタと暴れるも、がっしりと掴まれたベルトのおかげで脱出は不可能のようだ

 「おう。悪いな。はっはっは! ふぅん!」

 ぶん! と投げられ、空中で一回転。しゅたっと着地。すぐに地を蹴りパノーペに肉薄、ナイフの連撃を放つも全て十手で防がれる

 「やるな! リンドウぅ! ふん!」

 再び腰ベルトを掴まれ、ぶら下げられるリンドウ

 「だからぁーー! おっちゃん! それ反則!」

 「はっはっはっはっは」

 「あら、ずいぶんと楽しそうねぇ! どれ! リンドウちゃん! かかってらっしゃい! 無手の組手よぉ!」

 「おう! アカマチ隊長! お願いします!」

 頭を軽く下げるリンドウ、が、視線は相手の顔から外さなない。隙を見せない軍人らしい会釈だ。

 一気にかけだすリンドウ、半身で腕を広げ待ち受けるアカマチ……

 ……


 軍の食堂で朝食を摂り、学校に向かう。

 学校はダンジョンから離れた貴族街の境界にあり、貴族の子息、商人の子、稼ぎのいい、高位の冒険者の子ら金銭に余裕がある子供が通う。

  

 「ふぅぐぅ……。は、腹減った……」

 ”ぐぐぐぅぅ……”

 鳴る腹を抱え、机に突っ伏すリンドウ

 「お~~い。まだ昼までもう一コマ、授業があるよリンドウ」

 と、突っ伏したリンドウの背に手を置くのは綺麗でお洒落な服を着た華奢な男の子。

 顔を横にし、見上げるリンドウ。ニッコリと笑う学友の男の子

 「おう……。リンネ、なんか食うもの持ってない? お前、金持ちだろ? くれ!」

 「はぁ? またかい! ちゃんと朝食は摂ったのだろう。持ってないよ。ポケットにパンなんか入ってないよ。入れたことすらないさ。それに金持ちなのは父上であって僕じゃない。君と同じ、ただの学生だ」

 「はぁ……」

 チラとリンネをみて大きなため息をはく

 「失礼だな、リンドウ! 僕の顔を見てため息とは!」

 「だってさぁ……。腹減った……」

 

 ”がらんからんからん♪”

 廊下を授業開始のハンドベルを振り鳴らしながら女性が回る

 「お、授業が始まるよ。リンドウ」

 「……おう。マジで焼き菓子くらいないの?」

 「ない!」

 ……


 ――リンネ。リンドウが心を許した唯一の学友。ラプター子爵家の長子。

 病弱で華奢の美少年。このリンドウとの出会いが彼の人生に大きな転機をもたらす――


 その出会いは――


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