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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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ダンジョンの攻防 (攻防戦)

 ……


 ダンジョンの詰め所に 『ダンジョンが”溢れ”た!』 との一報が入ってから2日が経った。

 ダンジョンの入口には囲むように盾を構える兵たち。その背後に弩を装備した弓隊。ダンジョンを囲む防壁の上からは大弓が狙いを定める

 

 「はぁふぅ……。もう2日目の昼かぁ」

 大弓に寄りかかり欠伸を一つ

 「アカマチ隊長もゆっくり休んでください」

 「休憩、仮眠はとってるわよぉ。でもダンジョンの中でまだ頑張ってるのもいるもの。そんな時にぃアタシがゆっくりと寝るわけにはいかないわぁ。ん? 添い寝してくれるのぉ? ウフ♡」

 「断固お断りします!」

 と、最敬礼で応える隊員

 「即答かい! うぅん?」

 ダンジョンの入口から赤い旗を振りながら兵が駆け出してくる

 「でた! もうじき出てくる! た、隊長!

 「ええ! 弓隊構え! 大弓番え!」

 指揮棒をあげるアカマチ、それに従い傍らの副官が旗を振りながら命令を下す

 「大弓隊構えぇ!」

 {おう!}

 

 地上の兵たちもざわめき立つ。盾を構え直し、最前列の大盾持ちは。盾に仕込まれた杭を地に刺す。強い衝撃に備えるためだ。

 駆け出してきた伝令係の兵がアカジン将軍のまえに。

 「ただいま殿しんがりは2階です! 退却は順調! 重症者なし! 先に『グリシン・ペラトーサ』と、冒険者たちを出します!」

 「……うむ。連中も本当によくやってくれたな。後は我らの力を見せぬとな!」

 「はっ――! それと、『グリシン・ペラトーサ』 のグレイセイ殿からの書状です!」

 「……うむ。ご苦労。ゆっくり休んでくれ。……。当初の情報通り。動きは早い、力も強いが耐久度は劣る……と。矢の備蓄状況は」

 「はっ――! 『鍛冶師ギルド』から順次、搬入されております! 町外の避難キャンプにも十分な数はある……と願います!」

 と、言い淀む兵士

 「……ふふふ。そうよなぁ。(ダンジョンから)どれだけの数、溢れて出てくるものか。まったく予想はつかぬものな」

 「はい、将軍。少なければいいのですが……」

 ……


 「『グリシン・ペラトーサ』の連中を保護して奥に!」

 所々の部品を欠いた鎧、”霊薬”をかけたような薄皮が張ったような傷跡が体の至る所に。兵たちが肩を貸し運び出す

 

 「……クレイブン殿」

 「お、おう! アカジン殿! 後は任せたぞ!」

 と、右手を差し出す。

 「……うむ!」

 その差し出されたてをぎゅっと握り、大きく頷くアカジン。

 「将軍! あと3時間もあれば”溢れ”るかと!」

 「……うむ! 迎撃準備! 再度、備蓄の確認も」

 {はっ――!}

 ……


 ダンジョンの入口から次々にでてくる兵士。『グリシン・ペラトーサ』の連中ほどではないが傷だらけだ。その多くはコウモリ男の鈎爪によるものだろう

 最後の兵の集団か、赤い旗を振りながら10人ばかりが飛び出してきた


 「……構え!」

 アカジンの号令で弩を構える。

 静寂が支配し、”ごくり”唾を飲む兵の嚥下する音すら聞こえてくる

 もう入り口付近にいるのだが一向にでてこない。


 「で、でてきませんね……」

 「……うむ。すぐにも溢れるかと思ったが。順次、撤退する。アカマチに援護せよと」

 

 アカジンの頭の中では、ダンジョンに入っていた兵を追ってきた魔物に一当て。その兵らを逃がし、城壁上、頭上からの攻撃に乗じ、撤退。門を閉めるというものだった。閉めてしまえば、あとは矢を降らせるだけだ。

 

 「はっ――」

 副官が手旗を振り、城壁の上にいるアカマチ隊にアカジンの命令を伝える。

 アカマチ隊からの返信とほぼ同時、

 ダンジョンの入口からコウモリのような顔、いや、被膜もある、まさにコウモリ男が飛び出し、羽ばたき飛翔する!

 

 「……んな!? 飛ぶのか! ……撃て!」

 アカジンの命令で一斉に放たれる矢、アカジン隊の練度のおかげか、その矢の尽くをコウモリ男の体に送り届ける。

 

 不意を突いてでてきた最初の一匹は城壁上の大弓で胸を貫かれ地に落ちる。地に落ちると同時に靄みたいなものとなり、霧散する


 次から次へと入口から這い出てくるコウモリ男。最初の数体が被膜を有した個体だったが、今出てきてる個体にはそれはない。無軌道に鋭い鉤爪を振る。

 重装の盾持ちがコウモリ男の攻撃を押さえる。鈎爪と金属の盾が合わさるたびに甲高い音が響く

 その盾の隙間から、必殺の矢が放たれ、コウモリ男は絶命し消えていく。


 「……情報通り、防御力は低い……な」

 と、腰に刺していたロングソードをゆっくりと引き抜くアカジン。顔にはニヤリ。凶悪な笑みが張り付く。その視線はまっすぐとダンジョンの入口に向けられる

 「しょ、将軍?」 

 「……うむ! 副官、順次兵を下げよ。あれだけ脆いのだ、弓兵は壁の上に。途中の射撃用の穴も使えるだろう!」

 「お、お待ち下さい!」

 ロングソードを振りかぶり、ダンジョンの入口に駆け寄るアカジン。

 丁度出てきたコウモリ男の首を跳ね飛ばす

 「て、撤退! ……まったく。閣下の悪い病気が出たな」

 とダンジョンの入口で奮迅するアカジンをみてつぶやく副官。”撤退”の信号を出しながら

 ……


 「はぁ!? 何やってるのよぉ! あの脳筋は! 撃ち方やめ!」

 

 アカマチの眼下で丁度、アカジンがロングソードを引き抜き、入り口に突っ込んだところだ。左右に手練れの盾持ちを連れて。

 

 「ど、どうします? 隊長……」

 「どうにもならないでしょ……。あの脳筋が退くまで待機! 今のところ羽なしの個体だしぃ。あれ生えてくるのかしら?」

 「ど、どうでしょう……。同一個体というのが適当と思いますが……」

 「ふぅ。困った脳筋ねぇ。それにしてもカンイチちゃんたち、出てこなかったわね……。目撃情報とか無いか調査しておいて。アールカエフ様は目立つから。サクッとやられるお方じゃないとは思うけどぉ……」

 「ですが、”溢れ”ですものね……。これから指揮個体やらが出てくる……のでは?」

 「そうね……。指揮個体はつきものですものね。ほんと、あの脳筋、邪魔ね! マジで大弓撃ち込んでやろうかしら!」

 「い、いや、それはさすがに……」

 ……

 

 入り口に溜まっていた分は除けられたのか、這い出てくるコウモリ男も緩慢に。そのタイミングで退くアカジン。

 入り口からでてくれば、弓隊がそれを仕留める


 「ん? もっと一気に出てくるものだと思っていたけどぉ」

 「い、いえ、将軍けっこう斬ってましたよ?」

 「それもそうね。脳筋の援護を! 奴らは飛ぶから注意!」

 「はっ――」

 「隊長、このペースだったら、地上で仕留めたほうがいいのでは?」

 「う~~ん、全く予想がつかないしぃ。一気に何百とでてきたらと思うとね。ここからだったら矢も雨のように降らすこともできるし、投網もある。最悪、油流して火を放ってもいい」

 「あ、門が閉まったようですね」

 「ええ、警戒を密に! 一匹も出さないわよぉ!」

 {おう!}

 ……


 ……


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