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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
453/520

”かーーん!” ”かーーん!” (決死隊がきた)


 …… 


 地下24階


 ここ24階は例の盗賊団【闇の指標】の本部アジトのあった階層だ。

 

 ”かーーん!” ”かーーん!”


 この階層に足を踏み入れてすぐ、鶴嘴が壁を叩く音、そう、採掘する音がカンイチたちの耳に届いた。


 「おうん? 人がいるの」

 「うむ。そのようだな。もうダンジョンも開かれてるのじゃろ。どれ、話を聞きに行こうかい」

 耳をすませばそれなりの人数の話し声が

 

 鶴橋の音の方へ足を運ぶと20人はいようか。

 チームだろうか7人の冒険者風の男と15人の軽鎧の帝国軍の兵士が。

 採掘をしているのはその冒険者たちだ。兵たちはぐるり囲んで雑談をしている。その軍人の中のひとりがカンイチたちに気づき前に出る

 

 「あんらあぁぁぁ~~~~ぁん! やっぱしぃ! 生きてたわねぇ~~! カンイチちゃん! とっても心配してたのよぉ~~!」

 

 「ぬ! ぬぅ! アカマチ殿? なんでここに?」

 と、身構えるカンイチ。

 「心配して来ちゃった。ウフ♡」

 すすすぅ~~とカンイチに身を寄せてくるアカマチ。その右腕に自分の腕を絡ませよう、その時、

 「こらぁ! アカマチくーーーーん! カンイチは僕のだといってるだろう! 油断も隙もない!」

 手をパタパタさせてカンイチとアカマチの間に割り込むアールカエフ

 「ええ、ええ。わかっていますわ~~。これは実らぬ恋ってことも……。アールカエフ様もお元気そうでなによりですわ!」 

 「うん? 僕はいつも元気よ? で、アカマチ君は?」

 「ダンジョンの様子を見聞にね。採掘してたのは、案内の協力してくれているチームのお小遣いねぇ。アールカエフ様もご存知でしょう?」

 「ううん? 何をだね? アカマチ君?」

 と、すっとぼけるアールカエフ

 「あら? う~~ん? おかしいわねぇ。アールカエフ様のいた階層には影響がなかったのかしらぁ? 上はけっこう大変だったんですよぉ! このダンジョン、”溢れ”ちゃって!」

 「あら、あら。まぁ、まぁ! では、さっそくとその話を聞かせてもらおうか! あっちでお茶しながら? どう?」

 「ええ。アールカエフ様! お願いしますわ!」


 革の敷物、テーブルをだしお茶の準備。会談に。

 カンイチのチームからカンイチ、アールカエフ、ダイインドゥ、サディカ、イザーク。軍の方からは隊長格のアカマチ、副官一人が出席。

 

 「……んもぅ。ダンジョンでお茶なんて……」

 地上のお茶会と見劣りしない様に呆れるアカマチ。ここはダンジョン。しかもアールカエフたちは物資が乏しくなる帰路だ。

 「それで、アカマチ殿、地上の方はどうじゃった?」

 と、心配そうに語りだすカンイチ。じっとアカマチの目を見ながら。

 「ええ、発見が早かったので被害は最小限といってもいいかと。すぐに門、閉められたからぁ。それに、ダンジョンの方にも玉々……あらやだ! 「コホン……アカマチ殿……」 「うむ。先をの」 ごめんなさいねぇ。で、偶々、Sランクの冒険者チーム『グリシン・ペラトーサ』が入っていてね。殿しんがりを買って出てくれたのよぉ~~。実際はカンイチちゃんたちだったようだけどぉ。もち! キキョウちゃんたちも無事よ! 怪我人はでたけど住人の死者はなかったわ」

 アカマチの話を聞き、胸をなでおろす

 

 「ほう? なんぞよ、アカマチ君? その『グリシン・ペラトーサ』って? 魔物?」

 「い、いえ、アール様。チームの名前ですよ。へぇ、でも『グリシン・ペラトーサ』が。ずいぶんと運が良かったな」

 と、この地で活躍していたサディカが応える。

 「サディカ君、知ってるの?」

 「ええ。この町でもトップクラスのチームじゃないかなぁ。槍の盾持ちも二人いるし硬いから、コウモリ男とも相性いいでしょうね」

 「なにせSランクですし!」

 と、イザーク

 「ほ~~ん コウモリ男の種族の名称だと思ったよ」

 「ううん? コウモリ男? ねぇ……それって”溢れ”た魔物のことよねぇ? コウモリ……男……かぁ。いい得て妙ねぇ~~。ダンジョンから出たら羽を広げて飛んだものねぇ」

 と、手入れされた顎髭を撫でながら、うんうん頷くアカマチ

 「なぬぅ? 飛んだとなぁ?! カンイチの予想通り飛んだぁ! まんまコウモリ男だったねぇ!」

 と、少々興奮気味のアールカエフ。

 「本当にコウモリ男だったんだなぁ。あいつ……」

 「うんむ。本当に飛ぶとはの。コウモリみたいな顔だったが」

 と、他のメンバーも声を上げる。

 「で! カラマチ君! 羽が生えてきたのかね?」

 「ダンジョンから出ると両手を広げるの。で、羽が生えてというよりも、指? が伸びて、腕やらわき腹に被膜のような皮が伸びてきてねぇ、そう、まんま蝙蝠のように。で、バタバタ羽ばたいて飛ぶの! もうビックリだわぁ!」

 と、己の両手を広げ、羽ばたいてみせるカラマチ。

 「そりゃぁ、大変じゃったの」

 「そうでもないのよぉ。サディカちゃんの言う通り、防御力低いしぃ。門を閉じてからは壁も油を流して登れないようにしたしぃ。被膜が伸びるまで少し時間がかかるわ。両手を広げてるから、いいマトだったわよぉ。網を投げて飛ぶ邪魔もした。夜中のピークのときに……そうねぇ、壁を抜けたのは20もなかったと思うわ」

 「それで、カラマチ殿、ダンジョンに入っていた冒険者の被害は?」

 と、サディカ

 「そっちはまだはっきりしないわぁ。今もギルドで調べているところ。心配でしょうけどぉ、サディカちゃん。行方不明が50弱ってところかしら。調べたら酒場にいたって連中もいたしぃ。まぁ、『グリシン・ペラトーサ』が出た、閉鎖後にダンジョンにいたのは、ほぼ絶望でしょうけど……ね」

 と、気の毒そうにサディカを見るアカマチ。

 ……

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