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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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オレじゃだめですか (のりきったのか)

 ……


 「……ガハルト殿。どのみち、今すぐは無いぞい」

 押し寄せてきていたコウモリ男がピタリととまる。

 ”溢れ”を乗り切ったのかと下層の確認に行こうという話に。鼻息荒く立ち上がるガハルト。その手綱を引くように嗜めるダイインドゥ

 「う、うむ……」

 ゆっくりと座るガハルト

 「では、ゆっくり休むことにせようか。見張りは二人、交代での」

 と、そこに、にゅうと顔を出すフジ

 『下か……。我らが見てきてもいいぞ。なぁ、イザークよ』

 「は、はい?」

 名指しされたイザーク。目の下に大きなクマをつくって

 「イザーク君を連れて行ってはだめじゃぞ。フジよ。疲れ切っとるで。途中で落としてきちまうじゃろ?」

 『走っていても背から落ちればわかるわ』

 「いや、落ちたら即、イザーク、死んじゃうかも?」

 と、騎乗仲間のミスリールがボソリ

 「ひぃ」

 「……なおさら駄目じゃ」

 そこに、

 「フ、フジ様! オレじゃだめですか!」

 と、恐る恐るだが手を挙げるサディカ

 『ふむ? ……。うむ。お前であれば落ちることもあるまい。行くか!』 

 「は、はい! お願いします! フジ様!」


 ”ぅおおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 歓迎するようにクマたちも吠える


 「む、むぅ!」

 立候補したいが相手はフェンリル様だ。まさか、娘のサディカが手を挙げるとは。

 羨ましそうに目を向けるガハルト

 『ガハルトよ、ヌシは却下だ、デカい。我も”力”を使わねばならぬだろう』

 「い、いえ……。そんな恐れ多い……」

 ”力”を使う。すなわち、体の大きさを変えるということだ。大きくなれば燃費も悪くなる。

 

 「で、では、し、失礼します……」

 そうっと、フジの首に手を回すサディカ。

 「ぅわ、わわ! ふわふわ……。あ、温かいです! フジ様!」

 『それは良かったな。スカーフは掴むではないぞ。では参る! 振り落とされるなよ!』

 「はい!」

 サディカを背にのせ、びゅん! クマ、ハナ、シロを引き連れ疾風のように出ていった。その姿はあっという間にダンジョンの暗がりに消える


 「……ま、仕方あるまい。さしものフジも大きくならねば、ヌシを乗せられんじゃろ。手足がつこうよ」

 ポンと、諦めろとガハルトの肩を叩くカンイチ

 「い、いや、フジ様に乗ろうとなぞな。恐れ多くて考えもせぬわ」

 と、いいつつも、羨ましいそうにサディカの消えた通路の先を見ているガハルト。

 「ま、フジもおるで。問題なかろうよ。もう、あのコウモリ男らがおらぬといいな」

 「……うむ」

 今もガハルトの視線は通路の闇に……

 ……


 一時間もした頃だろうか……


 「あ! 帰ってきたよ! 師匠!」

 「おぅん?」


 ”ぅおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”


 サディカを背負ったフジを先頭に獣魔隊が帰還。

 すぐさま、各々の木の器を新鮮な水を満たす。美味そうに水を飲むクマたち。

 

 「サディカさんもご苦労じゃったな。フジもゆっくりしてくれ」

 ジョッキに水を入れてサディカに手渡す。

 「ぷはーー! ありがとうございます! フジ様! カンイチさん! ああ! 楽しかった!」

 子供のようにはしゃぐサディカ

 「そりゃぁ、よかったのぉ」

 そんな様子に子、孫を思い出してかカンイチもほっこりだ

 「あ! そうそう、カンイチさん、肝心なこと。下の階にはコウモリ男は一匹もいなかったよ。それどころか他の魔物も。あ、珍しいカナケラ草があったから採ってきた。預けても?」

 「うん? そうな。ウチの採取の教授も今、寝てるでな。わしが預かろうさ」

 ……


 「……だ、そうじゃ。当初の予定通り、ここで1~2日ゆっくりして上を目指そうと思うが?」

 今後の予定を決めると皆で食事を摂る。その場でフジとサディカの偵察結果を報告

 この階層の41階及び、42階には、”イレギュラー”のコウモリ男(仮)の姿はなかったと

 「そうなぁ。”溢れ”は終息したと思ってよかろう。生き残ったな、皆の衆!」

 と、ダイインドゥ

 {おう!}

 皆、一斉に応える。誰ひとり欠けることなく生き残ったと。


 「カンイチの提案とおり、もう半端な時間だしの。夜番の交代も必要じゃでもう一日ゆっくりしようか」

 「ああ、そうしよう。イザーク、お前は夜番免除だ。ゆっくり寝て体力の回復に努めろ!」

 「だ、大丈夫ですよ、俺! ガハルトさん!」

 「その目のクマ。遠慮するな。てか、今の、フラフラのほうが却って足手まといだ。寝ちまったら番にならんだろうが」

 「う、うぐ」

 「おいおい。もっと言い方があろうに。イザーク君の頑張りは皆、知ってるでな。誰よりも長く起きて、後方支援に徹していたこともの」

 皆、コクリと頷く。

 「うんむ! 僕の何倍も役に立っていたことは、この役立たずの僕が証明しよう! ……フォローは? カンイチ?」

 と、胸を張るアールカエフ。残念そうにその顔を見るカンイチ

 「そうなぁ。寝てばかりだもののぉ」

 「……おい! そこではなかろう! カンイチ!」

 「まぁ、アールはおいておいて、何も恥じることはなし!」

 プンスカ怒っているアールカエフを放置し、話を進めるカンイチ

 「カ、カンイチさん……みんな……」

 「そもそも、これだけ長い時間戦ってピンピンしてる他の連中がおかしいのじゃがのぉ」

 「い、いや、カンイチさんだって……」

 「よし! 話はこれでよかろう? 寝ろ! イザーク」

 「は、はい」

 


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