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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
443/520

熱いスープを…… (籠城)

 ……


 地図帳にない魔物と会敵した一行。数が多くいため、袋小路への撤退を決める。挟撃を防ぐためだ

 少しずつだが後退し、昨日の野営地だった袋小路の小部屋に到着。今尚、コウモリ男の群れの波状攻撃は続く。

 

 「うん? フジ様が帰ってきたぞ!」

 ミスリールの声と同時に眼の前にいたコウモリ男が消え、フジたちが駆け込んできた。

 『飯は要らぬが、水は要る』

 と、給水に帰ってきたようだ。ごくごくと喉を潤す従魔隊。ハナ、シロに至っては出ていったときよりも明らかに毛艶がいい。

 

 「フジたちが蹴散らしてくれたおかげで後続が切れたようじゃな。今のうちに休憩じゃ。ガハルトも少し腹に入れておけ! 交代で休みを取る!」

 「おうよ! サディカ、警戒を頼む!」

 「おう!」

 「親方、剣を診てくれぬか」

 「まかせよ!」

 「オレ、ドロップ品、拾ってこ!」

 ……

 

 行き止まりに作った簡易の陣がバタバタと慌ただしく動き出す

 

 即席の整備屋がオープン。多少の歪みくらいはすぐに直してしまう。

 「うむ。さすがガハルト殿じゃな。欠けも歪みもない。ダンジョン故、血油は気にせんでいいで」

 と、ガハルトのバスターソードを調べる親方

 「サディカの方はちょいと歪んでるねぇ。アンタ!」

 こちらはサディカの剣をランプにかざし刃の歪みを見るディアン

 「うむ、どれ、任せよ!」

 ディアンからサディカの剣を受け取り、鍛冶用のハンマで数回叩く

 ”カン!” ”カン”

 「あとは研ぎあげればよかろうよ」

 「ふふふ。まだまだ未熟だな。サディカよ!」

 「くっ――!」

 ただでさえ声がでかいガハルト、そして耳の良いサディカ。しっかりととどいたようだ

 

 「ミスリールよ、矢の方はどうじゃ?」

 「まだまだ大丈夫だ親父! 暇な時に沢山こさえておいたからね」 

 「うむ! それでこそワシの娘だ!」

 「しかし、これはどれだけ続くのじゃろか?」

 「さてねぇ~~。それこそダンジョンのご意思だろう? 登り階段、昇っていなければいいけどねぇ」

 と、アールカエフ

 「そうじゃなぁ」

 「敵だ! 数、6!」

 と、警戒にあたっていたサディカ

 

 『よし! では行くとするか!』

 

 ”ぅおおん!” ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 

 今度はクマも連れて臨時の陣を飛び出していく従魔隊。こちらに迫る6体のコウモリ男を蹴散らして。


 「よぉし! サディカ、休め! 俺が出る!」


 ……


 「ふぅ。こりゃ、真、異常事態じゃのぉ」

 どっかと腰を下ろすダイインドゥ。スタミナの塊、ドワーフ族にも疲れが見える。

 それもそのはず、コウモリ男との開戦から丸一日。幾重もの波状攻撃を跳ね返してきた。

 「こりゃ、ダンジョンの”溢れ”に間違いないねぇ。アンタ」

 料理番のディアンがパンと大きな器にスープ、ローストした猪肉の塊をもってきた。その肉塊にがふりと食らいつくダイインドゥ。大きな歯型を残して

 「うんむ。ゴーレムに比べてふんと動きが速いが、その分、耐久性は随分と劣るで。地上まで行って”溢れ”ても、弓でどうにかなろうさ」

 「それでもけっこうな死人がでるねぇ、アンタ」

 「ま、それこそ『ダンジョンの町』に住むものの宿命。承知の範疇、自己責任じゃろ。ここで少しでも減らせておればいいがな。この袋小路の中に湧かぬところを見ると、下層から登って来てるのじゃろうの。その点はだけは良かったわい。おちおち休憩もできんでな」

 「まったくだねぇ」

 ダンジョンの通路の、暗がりに目を向けるディアン。

 「いつまで続くのか」

  ……

  

  ……

 

 「さぁさ、皆さん、熱いスープを。リイギ草、ニンニクを多く使った元気の出るスープですよ」

 自身自慢のスタミナスープを小声で進めるイザーク。まだ仮眠を摂り寝てるものもいるからだ。

 もう、何度めの襲来だろうか。

 

 「ふぅ……。温まるわい。どうしても暗く、レンガのような壁。寒々しくもあるでな、ダンジョンは」

 と、美味そうにスープをすすりながら周りを見渡すカンイチ。

 「そうかもね、カンイチさんは。オレもいつの間にかに慣れてたなぁ……。てか、臭! これ、すごい匂いだな! イザーク」

 「でも、トウガラシも入ってるし。元気出ますよ、サディカさん。ミスリールさんもおかわりありますよ」

 「うん。もらおうかな。このホロホロに崩れる鶏肉がいいねぇ」

 車輪のついた、ガタスキーに装備されたアーバレストに寄りかかり、熱いスープを胃に流し込むミスリール。

 今は波状攻撃をしのいだ、ほんの短い息抜きの時間。皆の思いは、これで終わってくれと願うのみ

 

 「おう、本当にすごい匂いだなイザークよ。こっちも一杯くれ」

 寝床からムクリと起き出したガハルト

 「ガハルトさん、もう少し寝ていないと」

 「おいおい、この臭いで寝てられるか! 腹も減ったな。肉とパンもくれ」

 「了解。今、だしますね」

 ……

 

 「これで終わってくれると良いのじゃがのぉ。物資はまだまだ余裕があるが……」

 「ああ……。心配なのがどれほどの数が外に出るかだな。俺達がここでいくら踏ん張ってても全部というわけにも行くまいよ。アカジン殿の軍も精強。あの程度のモンスターに遅れはとらぬと思うがな」

 「そうじゃの……」


 ――リンドウやキキョウも心配じゃが、普通に生活してる者も多いで。ここは、軍、街にいる冒険者らに期待じゃな。

 

 「来た! 数、4……7だ!」

 ミスリールの敵の襲来を告げる声がダンジョンに響く

 「どれ。行くかの。ガハルトは食ったら寝ろよ」

 散弾銃をひっつかみ、立ち上がるカンイチ。

 「ああ。カンイチも休めよ」

 「おう!」

 ……


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