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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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何回も巡るのはどうだ? (ダンジョンの不思議)

 ……


 「なぁ、カンイチよ。ボス部屋を何回も巡るのはどうだ? ほれ、”試練の間”を下り、上って再び降り再度、試練を受けると! 気の済むまま、思う存分にな!」

 と、希望に目を輝かせて話し出すガハルト。いい案であろうと

 「は? 面倒な……。何を得意げにいっておるのだ、この脳筋殿は」

 ため息交じりに応えるカンイチ

 周りからもくすくすと笑いがもれる

 「……おい。今は脳筋は関係なかろうが」

 「いや、その思考は脳筋そのものじゃろうに。自覚ないのかのぉ」

 「……おい」

 やれやれ。と肩を竦めるカンイチ。メンバーからもくすくす笑いがおこる

 「さすがはガハルト君だ! 脳筋病だいぶこじらしているねぇ! ここは一つ、『バリバリ君』でも飲むかね? 脳筋病に効くかは知らんけど? 試しに? どぅ?」

 と、件の怪しい”霊薬”、『バリバリ君』を”収納”から引っ張り出すアールカエフ。ことりとテーブルの上に。飲んでくれと誘うように瓶に入った液体が大理石模様のように色を混ぜ、変化し誘う。

 身を持って薬の効果を知っているガハルトの顔は青い

 「い、いや、アール様……。俺は病気じゃないのですが……」 

 「治らんじゃろうよ……。もはや不治の病じゃろうさ。南無……」

 「うるさいわ!」

 ”くすくすくす”

 

 「くくく。そういうことを試したという話も聞いたことあるなぁ、父ちゃん。ダンジョンに多くあるの不思議の一つだよ」

 「おお! 本当か! サディカ! で、どうだ?」

 ぱぁと顔色が明るくなるガハルト。ほれ! 見たことかと、カンイチを一睨み

 ふん! と、そっぽを向くカンイチ

 「普通、”試練の間”を越えたら、一回ダンジョンを出て入り直さないともう出てこないみたいだよ。父ちゃん。それに低層階じゃ順番待つだけでも大変だぞ」

 「な……。そ、そうなのか、サディカ……」

 と、肩を落とすガハルト

 「ダンジョンだし? 確実とは言えないけど? 普通はそうだぞ、父ちゃん。それこそカンイチさんがいうみたいに予算がなくなっちゃうかもよ? ふふふ」

 「ふむ? (”試練の間”攻略の)人員が増えるとイレギュラーが湧くのもその対策の一つか……のぉ?」

 と、ダイインドゥがぼそり。

 「うん? そいつは面白い考察だね~~親方。そうそうメーンバーが増えたり減ったりすることもないものね。そこまで細かい調整ができるということは僕たちを見てる? 本当にダンジョンは生きてる? 意思やら思考がある? う~~ん。……面白いね!」

 と、ダイインドゥの言葉に考え込むのはアールカエフ。

 

 「ほれじゃあ、”軍”なんぞどうしてるんじゃ? 偶に人の捜索やらすると聞いたが?」 

 「さぁ? オレにもわからないよカンイチさん。てか、主に低層階だし? 大した問題じゃないのかも? ゴブリンだし? ここの軍隊、強いし?」

 「うん。サディカ君の言う通りだね。それに”軍”だって、この地にずっといるのだし? 人数云々の仕組みだって伝わってるかもよ。そもそも、そんな重要なこと『迷宮ギルド』の方からまったく申し送りはなかったよね?」

 「アール様。大して機能してませんし? 『迷宮ギルドあすこ』って」

 「それもそうね~~。まぁ、持ち込める飯と水の縛りがあるから、そう大人数にもならないし? 適当に上手くいってたのかもね。それに上手くいかなけりゃ死んじゃうし? その時点で伝わることはないわね~~」

 「そうよな……。アールの言うとおりじゃわい」

 「よかった! 上手くいって!」

 と、胸をなでおろすイザーク

 ……


 「ねぇ、サディカさん。”ダンジョンの不思議”って?」

 と、興味津々のイザーク。そう、少年のように

 「ん? 『冒険者ギルド』なんかで聞いたことないかよイザーク? さっきのボス部屋の話やら、”彷徨う死体”と呼ばれる、ダンジョン内で死んだ冒険者たちのこと。泣きながら歌い彷徨っている? 半透明な女の幽霊『泣き女』とか? 宝箱に擬態している”人食い宝箱”みたいな? そんな適当な話が結構あるんだ。極めつけは”ダンジョンの宝物庫”に行ったやら? 昔からある噂も多くあるってね。こんな話、酒場に行けばいくらでも溢れているさ」

 「へ、へぇ……。ダンジョンの宝物庫……かぁ。すごいですねぇ」

 「ああ、噂話じゃ長い、長い、なが~~い! 落とし穴の先に……ってね。よくもまぁ生きて地上に出てきたもんだってさ」

 「……ですね。よく考えれば……。死んじゃいますよね」

 サディカにいわれ、がくりと肩を落とすイザーク

 

 「いや! イザーク君! 嘘と決めつけるには早いぞ? 落とし穴といっても傾斜タイプだったら? 尻は焦げちゃうだろうが、下層からだって安全なルートがあったかもしれないし? 下から登る分ならボス部屋だって通らずともよかろうに?」

 「な、なるほど?」

 「今もその落とし穴は隠し部屋の奥にひっそりとあるやもしれないよ? イザーク君も探してみる?」

 「なんかいいですね! それ。探してみます、カンイチさん?」

 「わしは好かんのぉ。試練も越えずにお宝をかっぱらえば、ただの泥棒じゃろうに? こそ泥のようなことはしとうないわ」

 「うんうん。さすが僕のカンイチだ!」

 

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