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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
435/520

伝説だぞ! (未知の領域?)

 …… 


 41日目 地下37階


 怪しい水場をスルーし、先にと進んできた一行。


 そして、今日もせっせと採取に勤しむイザーク

    

 「これって胡椒の木?」

 ダンジョンの壁からニョキニョキと生えている木の枝を手に取るイザーク

 「ほ~~ん。これが胡椒の木かのぉ? よくわかるのぉ。さすがイザーク先生じゃ。が、実がついてるようには見えんがな。が、確かにうっすらじゃが胡椒の香りがするのぉ。”ふんふん”」

 「胡椒も暖かいところの植物ですから。ここら辺や、帝国じゃ、かなり高価でしょうねぇ。でも、どうやってとるんだろう? 実、生ってないよね?」

 と、イザークが手にしていた枝を放したら、そのしなりで枝がぶるんと震えるのと同時に

 ”ぱらぱらぱら……”

 と、なにもない枝から胡椒の粒が落ちる

 「わわ。枝に実はついてないけど、こうやってとれるんだ! お、面白いかも?」

 落ちた胡椒の実を拾い上げる

 「うん? ちゃんと乾燥済みなんだ」

 イザークが指でつまみ上げたもの、乾燥済みの真っ黒い粒状の胡椒だ。

 「黒胡椒かの。ほれじゃぁ、白胡椒はないのかの?」

 「白胡椒? 白いのですか? ここらじゃ黒一種類ですけど? なんです? それ? カンイチさん?」

 「さて? 確か……。果肉を剥いてから干したんじゃなかったかの?」

 「へぇ? 味にどう違うんです?」

 「さぁ……の。ワシも言葉だけだで。そんなハイカラなもの知らん」

 「……そうですか。今度機会があったら試してみましょう……。よし! 採ってくか」


 カンイチの”収納”に死蔵されていた布地、反物を広げ、わさわさと木を揺する。

 落ちた胡椒の実を集め袋に入れ、再び布を広げと順に収穫していく。


 「う~~ん。いい香り……。香りが飛ばないようにカンイチさんの”収納”に入れておいてくれます?」

 「了解じゃ! イザーク君!」

 「うんうん。これなら高く売れるだろうな~~」

 と、ご機嫌のイザーク

 「ん? 売るのかの? イザーク君?」

 「いえ? 売りませんけど? 次、またいつ来れるかわかりませんし? これだけあればけっこうもつでしょ?」

 「そうじゃの。高く売れるなんて言うで、珍しいと思ってのぉ」 

 「ええ、それだけ極上の胡椒ですよ。今晩、早速使おう!」

 「ん。楽しみにしてるぞ」

 ……


 「はぁふぅぅぅぃぃぃ……」


 「随分と大きな欠伸じゃの。アールよ」

 「おぅん? 風の無いのはまぁ我慢はできるけど? やっぱり朝日が無いと起きた気がせん! う~~ん。ダンジョンとエルフってば、本当に相性悪いわ」

 と、目を擦るアールカエフ。ちゃんと起きてるようだが

 「この頃、夜起きる回数もふえたもののぉ」

 と、心配そうに声を掛けるカンイチ。初めの頃は起床時間までぐっすりだったアールカエフ。が、最近は何度か起きてはモゾモゾしてることを知っている  

 「うん。まぁ、睡眠時間が足りないというのは無いけどね。むしろ、起きて動いてる時間が足りないわ」

 「かれこれひと月じゃ。そろそろ引き上げてもよかろうよ」

 「まぁ、命に触ることもないし? チームで動いてるんだ。あまり我儘はね」

 「アールらしくないのぉ」

 「流石の僕だってわきまえるさ? それに次から置いていかれるのもね」

 「いや、それにしてもな……。ワシだって息が詰まるわ。最初にしたら上等じゃろ。今回だけでなし、徐々に慣れればいいと思うんじゃ」

 「そうね。ありがとう、カンイチ」

 「あたりまえじゃ!」

 ……


 「……というわけじゃ」

 「うむ。そうじゃなぁ。エルフ殿にはしんどいじゃろな。ワシら心地よいくらいだが」

 と、ダンジョンやら洞窟。樽のような体型にもかかわらず、狭いところ大好きドワーフ賊

 「くっくっく、アール様よりもカンイチのほうが飽きてるんじゃないのか?」

 と、からかうように応えるのはガハルト。

 「そうですね。アール様、ぼーーっとしてる時おおいですものね」

 と、寝袋で寝ているアールカエフを心配そうに見るイザーク

 「カンイチもな」

 「ほうっておけ!」

 カンイチとしても薄暗く、壁が押してくるような感覚。どうしても戦中の防空壕やら塹壕を思い出す。南方の島にあった鍾乳洞を利用した、細く狭く、ジメジメしたところに比べれば幾分マシではあるが

 「うむ。最初の攻略にしたら上出来じゃろ。ワシは異議はない」

 と、ダイインドゥが賛成の声をあげる

 「だな。これからも何回も潜るんだ。今回は、隅々まで見てるが次はもっと早く進めるだろ」

 「アールにも言ったが、今回は切りのいいところで40階まででどうかの?」

 「おう。そうしようか!」

 「……簡単に言うけどぉ。近年、そこまで行ったパーティは無いですよ。カンイチさん」

 と、サディカ

 「ええ……公式の最高到達点が47階ですしぃ。俺としたら、せいぜい30階くらいと思っていましたしぃ」

 と、イザーク

 「くっくっく。40階のボス部屋……かぁ。楽しみだな! なぁ! カンイチ! 親方!」

 「そうなぁ。一応は”鉄”ゴーレムとは書いてあるがのぉ。このチームじゃ、イレギュラーばかりだでな」

 「であれば、40のボスもゴーレム系か。次は”金”か?」

 「伝説の”ミスリル”もでるかもよ。ガハルトさん」

 「おお! 伝説か! ”ミスリル”……そんなのもいるのか! ミスリール!」

 「ほれ、落ち着け、ガハルトよ」

 「落ち着いていられるか! 伝説だぞ! カンイチ!」

 と、腰のトンファーを撫でるガハルト

 「……親父、カンイチさん。オレ、余計なこと言った?」

 「いや、ま、良かろうさ。ガハルト殿のヤル気にも火が点こう?」

 「アレは、いつも点いておるがの……」

 期待で鼻息の荒いガハルトを気の毒そうに見るカンイチだった

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