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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
433/520

え、ええぇ! (ダンジョンの湧水)

 ……


 ダンジョン内の安全地帯、水場に到着。ここまでくる高位冒険者の唯一の”命”の水の補給地点だ。

 その場所は広さにしてテニスコート二面くらいだろうか。比較的大きな広間にでた

 サラサラと水の流れる音。右奥に直径5m、高さ2mはあろう石組みの盃のような造形物の方からしている

 近づいてみると、その盃からあふれるように透明、澄んだ水が溢れ落ちる。溢れた水はその周りに掘られた溝を伝い、床と壁の間に空けられた穴に吸い込まれる。


 「ほほぅ! 想像していたよりも、まぁ、随分とりっぱな水くみ場じゃの。それにしても不思議な景色じゃな。なにせ、この下は普通にダンジョンがあるのじゃろ? 水、どこに行っちまうんじゃ?」

 と、排水口の穴が空けられている壁の背後、裏側に回り込むカンイチ。裏側には穴もないし、水も流れていない。


 「こりゃぁどうなってるんじゃ? 穴がないぞ? 壁に吸われておるのか?」

 溢れる水の水源、溢れた排水の排水。興味津々のカンイチ


 「ふぅ~~む。地上のように深い穴ほったり、パイプ繋いだりせんでいいのなら、水場をもっと増やしてくれてもええじゃろうに。ダンジョンの彼方此方にの。本当にケチくさいのぉ!」

 「くっくっく。そうじゃの、カンイチ。はっはっは」

 と、カンイチの文句がツボにはまったのか大笑いするダイインドゥ

 ……

 

 「魔物はいないってサディカさん言ってたけど……。ここってキャンプ地なのかなぁ?」

 「さてな。それこそダンジョンの都合だ。俺達にはクマたちがいるから警戒は任せられようが……」

 と、ガハルト

 「ど~~れ。ダンジョンの水かぁ! さっそく飲んでみるかな」

 と、滴り落ちる水で手を洗い、手で水をすくうイザーク

 「お! つ、冷たい! 気持ちがいいなぁ」

 そこに、

 「待て! 待て!! 待てぇ~~い!!! イザーク君! ここはダンジョン! 念の為”鑑定”してからね! どらどら、ふむふむ……。……。”水”? そんなのわかってるわーー!」

 むきーー! と、怒り出すアールカエフ。

 「ア、アール様?」

 「アール様、オレたち、ここまで来た連中、普通に飲んでいますけど……?」

 「チッ、チッ、チ! ダンジョンのものだし? すべてを疑ってかからないとね! サディカ君! ある一定以上の水を飲んだら腹が爆散して内臓ゲロリンってなったらいやだろう? 君たち? うん?」

 人差し指を左右に振るアールカエフ

 「「はい! 絶対いやです! 内臓ゲロリンは!」」

 即答のイザークとサディカ。

 「そうだろう、そうだろう! どぉれ! ここは僕がこさえた水質検査薬、『ノメール君3号』の出番だ!」

 と、自身の”収納”から、瓶に入った薬品を引っ張り出すアールカエフ。例に漏れず、瓶を満たした薬品はゆっくりと、紫から赤と繰り返し色を変える

 「だ、大丈夫です? アール様?」

 「それって毒です?」

 「……。失礼だな! サディカ君!」

 「す、すいません! 失礼しました」

 「いいかね? 見ていたまい! まずは水場の水をコップに取って……と。この薬を瓶のキャップ一杯入れて……。と! かくは~~ん(撹拌)! ほら、今は水色だろう。暫し置いて赤くなったら飲んじゃダメよ!」

 透明なコップでダンジョンの湧水を汲み、お手製の薬液、『ノメール君3号』をいれる。紫色の薬液だったが、水にいれると綺麗な青へと変わる。

 

 「は、はい! ですが……」

 「アール様、そんな薬まで作ってるんですね?」

 「そりゃぁ~~そうよ? イザーク君! どこの水が安全かはわからないだろうに? ファロフィアナ君が井戸に変なのいれるかもだし? でだ! この『ノメール君3号』はね、なかなかに高度な薬なのだよ? 代表的な経口毒、天然毒7種、調合毒10種。それと、3種の麻薬成分に反応するのだよ! こんなにお気軽方法で! 世間に発表すればこいつを欲しがるお貴族さんが列を作り、金貨を山と積むだろう!」

 「じゃぁ、こんなとこに潜らずそれを売ったほうが――」

 はっ――と口を手で押さえる 

 じろり! ガハルトに睨まれてることに気づいたイザーク。そのガハルトの目は楽しいダンジョン行きがなくなってしまうだろうと訴えている

 「うん? 何よ? イザーク君? 文句?」

 「い、いえ、アール様、なんでもないですよ……は、ははは……」

 「ならいいけどぉ? どら、そろそろ? ぅうん……。”赤”ぁ。これは……。100%安全じゃないってことかいな?」

 「な!? ”赤”。の、飲めない? それは真でしょうか、アール様?」

 「え、ええぇ! マジですぅ」

 想定外の結果に驚きを隠せないガハルトとサディカ。特にサディカだ。ここに来れば乾きを癒すようにがぶがぶ飲んでいたし、帰りの道中の飲料水はここの湧水だ。

 「うむ~~。真よ? ガハルト君。どれ、もう一回。……」

 暫しの時が流れ……。コップの水が前回同様”赤”く染まる

 「……やっぱ、”赤”かぁ。カンイチぃ~~。ここの水飲んじゃダメよ?」

 「ん? アールよ。どういうことじゃ?」

 「おう! ここの湧水にはなんか入ってるし。最悪、内臓ゲロリンかもしれないよ?」

 「ゲロリン? かの……」

 ……

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