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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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イザーク、征け! (鍛錬)

 ……

 

 「……で、どこまで潜るんじゃ? ガハルトよ」

 朝食のパンを齧りながらカンイチが尋ねる。

 「そりゃ、潜れるまでだ」

 と、大きなベーコンに食いつきながら平然と応えるガハルト

 「まだ物資の方は大丈夫だろうに?」

 「ああ、物資はの。……聞いた相手がまちがっていたわい」

 と、メンバーの顔を見渡す。

 溜息一つ……。イザークでさえ憧れのダンジョンと張り切っている。

 「ま、お日様も恋しいが、”採掘”もこれからが本番じゃ。頼むぞカンイチ」

 「そうじゃなぁ。親方。ダンジョンからまだ、お宝らしいお宝貰っていないでな」

 「そうじゃ、そうじゃ。その意気じゃカンイチ」

 カンイチ以外、潜るというのであれば仕方がない。もう少し頑張るかと気合をいれる。畑を購入する軍資金を求めて

 ……


 24階で”ダンジョン賊”を殲滅した一行。攻略を再開す

 

 「おうおう! 人がいない分、採掘ポイントも空いてるのぉ!」

 と、鶴嘴を肩にかけたまま、歓声を上げるダイインドゥ。

 すすすぅと、採掘ポイントである、壁の描いたよな亀裂を指先でなぞり、ニンマリと笑う。なにせ念願の”採掘ポイント”だ。

 「例の盗賊の護符、ご加護の効果があったのかねぇ」

 と、ディアン。盗賊の護符といのは持っているだけで”ダンジョン賊”に襲われないというものだ。賊共の元締めの悪徳商人が地上の店舗で秘密裏に販売していた。『迷宮ギルド』も一枚噛んでいるようでそれなりの効力があった。今は壊滅しているが、地上もまた復活している可能性はある。

 「ま、競争相手が少ないことはワシらにはいいことじゃ。どれ!」

 と、鶴嘴を振る

 …… 

 「採取の方も順調ですよぉ。やっぱり深いほうがいいものがありますね! これって、ヨイマチソウですよ! 地上じゃ夜の内しか採取できないんですよ、これ! ダンジョン内ならいつでも採れるみたいだし」

 と、はしゃぐイザーク。

 「そうよな。夜に採取は余計に危険だわな」

 「そして、刈り取れば、高品質! むふふふ」

 「イザーク、それはいいけど、夜とダンジョン。どっちが危険か。ねぇ、師匠」

 と、採取を手伝っているミスリール

 はっ! と、鎌を止めるカンイチ。

 うむ。もっともだと。


 ……

 

 29日目 地下28階

 

 採取、採掘をしながら順調に下りていく一行。

 幸いにも25階にあった【駆け抜ける迷宮団】アジト跡は何もなく、新たな賊も出現してはいなかった。


 「せぇい!」

 「ギョヒィーー!」

 ダンジョンに響くホブゴブリンの絶叫。イザークのナイフに脇腹をえぐられ消えていく

 

 「そのタイプのホブゴブリンにはもう後れを取ることはなさそうだな! イザーク!」

 腕を組み、イザークの戦いぶりを観戦していたガハルト

 「は、はい。でも油断は禁物!」

 「うむうむ。上出来じゃ。イザーク君! どんな相手でもの。油断大敵! 文字通り、油断が一番の敵じゃ」

 「は、はい、カンイチさん!」

 「お! またナイフ落としたぞ! 親父!」

 と、戦闘後に転がっていたナイフを拾い上げるミスリール

 「うむうむ。ドロップ率も聞いていたよりもずいぶんといい。ドロップ品の武具類も思った以上に順調に集まっておるわい。鋳潰してなにをこさえようかいな。楽しみじゃ」

 と、ドワーフ親子

 「それじゃ、飯食ったら進むか。親方、採掘の方はいいのか?」

 「ああ、このあたりは見たで。先へ進もうさ」

 ……


 「うん? ありゃぁ」

 前方から地を這うトカゲが。頭の先から尻尾の先まで長さは3mといったところか

 「なんか、レッド・レザーを思い出しますね」 

 眼の前のトカゲは赤ではなく鮮やかな緑色をしている。

 「ああ、珍しいな。アイツからは緑色の革がとれるんですよ。けっこう高く売れますよ」

 と、サディカ

 「ほう。初見じゃで、こっちでいいかの、フジ」

 『うむ。イザーク、征け!』

 「え!? は、はい!」


 尻尾を左右にブンブン振りながら駆けてくる緑オオトカゲ。

 そして前に出るイザーク。

 イザークの近くまで来ると、頭を左右に振り、

 ”ばく!” ”ばくん!”

 と、噛みつき攻撃を敢行してくる。


 「わ! わわ!?」

 

 かろうじて避けるイザーク。

 イザークの得物はナイフ、相手は長いが地を這い打撃点の低いオオトカゲ。

 

 ”ばくん!”


 得物を持ち変える。右手に十手。

 噛みつきにくるオオトカゲの頭にタイミングよく十手の棒芯を叩きつける。

 

 ”ぼくん!”

 振り下ろされた十手、当たりどころが良かったか、目を回し動きが止まるオオトカゲ。その頭部に続けざま十手で殴りつける。3発も殴った頃にはオオトカゲは徐々に消えていった。


 「おわり?」

 十手を握ったまま、立ちつくすイザーク。眼の前にはぺらり。50cm四方の緑色のトカゲ革が一枚。

 

 「そのようじゃな。うん? 革もそればっかかのぉ……随分とケチくさいの」

 「地上じゃ丸々だものな。肉もとれる」

 「ふむ。レッド・レザーのほうが厚みもあって質がええの。もっと下に行けば大きいのがいるのかの?」

 「そいつは楽しみだな! 親方!」

 「ヌシはほどほどにのぉ、また動けなくなっても知らんぞ!」

 当のイザーク君を放置し、ドロップ品の批評をしているカンイチたち。そこに

 「また来たぞ! 前方!」

 と、ミスリール

 ミスリールの指示通り、ドタドタと尻尾を左右に振りながら2頭のオオトカゲがこちらに向かって駆けてくる

 

 『今度はこっちで狩ろう』

 フジがそういうと、ハナとシロが前に出る。

 ”ぅわん!” ”ぅをん!”

 一吠えすると、まっすぐと駆けていき、オオトカゲの最初の噛みつきをひらり躱し、トカゲの背を前足で押さえ、首をがぶり。

 食われるようにハナたちの口に吸い込まれていった


 「……あっ! ……という間ですね……」

 初見、打撃点が低く、自分が少し手こずった相手がサックリとハナとシロに狩られたことで肩を落とすイザーク

 「……ま、ハナらだからの」

 「それ、フォローになっていないぞ……カンイチよ。うん。悪くなかったぞイザークよ」

 「ど、ども。ガハルトさん……」

 ……

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