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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
422/520

ワシにみせてみよ! (ラッキョウぽりぽり)

 ……


 「うん? 今日は宝箱は出ないようだね。せこいな! せっかくここまで来てあげたのに! ねぇ、カンイチ!」

 と、石柱の前でじっと待っていたアールカエフ。宝箱がでないと悪態をつく

 「まぁ、落ち着けや。アールよ。ダンジョンにも予算ちゅうもんがあるんじゃろうさ」

 と、カンイチ。

 『お爺よ。もう良いか? そろそろ先に行きたいのだが。イザーク。よくやった。ごくろう』

 「は、はい! フジ様」

 「そうじゃの。ここは、試練のボス部屋じゃ。尻がつかえてるかもわからんで、先に行こうかのぉ」 

 ……


 20階の試練を越えた――イザークの試練のようだったが――カンイチ一行。21階に

 前回はダンジョン賊退治に勤しみ、攻略自体はお座なりになっていた。

 

 「もう、ダンジョン賊はいないじゃろうな」

 「ええ、おそらくは。今はまだ地上だって引き締め期間。そうそう賊の侵入は許しませんよカンイチさん」

 とは、サディカ

 「うむうむ。皆の衆。”採掘ポイント”の発見も頼むぞ。壁に不自然なところがあったら声をかけておくれ」

 「おう! 親方!」

 「うんむ。親方、地図の方よろしく頼むの」

 「うむ。先人のつけてくれとる印を重点に極力突き当りを回るようにするで。植物の採取もあろうし、宝箱は突き当りに湧きやすいとも聞くでのぉ」

 「おう! 任せた! 親方」

 「僕、お腹へったけど? 僕だけ? そろそろ野営の時間じゃない? 親方?」

 「んむ? ……。そうじゃな。野営の準備にとりかかろうか」

 「さすがアールの腹時計じゃな……」



 17日目 地下21階


 ダンジョンの攻略、富の収集を目的とした経路で進む一行。

 ここでもわさわさと生える植物系の採取ポイントがいくつも取られることなく残っている。

 どうしても鉱石など他の単価の高い物資が優先されるからだ。


 「おお!? これって”小粒ラッキョウ”だ。添え物にいいんですよね! とっていこう!」

 と、草体に手をかけるイザーク

 「な、なにぃ! ラッキョウじゃと!」

 と、大声を上げるカンイチ

 「わわ、ど、どうしたんです? カンイチさん?」

 「どれ! ワシにみせてみよ」

 「え、ええ」

 ずっぽ! と引っこ抜くと、いつものように泥もついていない、おまけに薄皮も剥けた処理の完璧なラッキョウがコロコロと

 「うん? 色が若干違うの……薄紫色じゃな。どれ」

 一粒つまみ口に放る。

 「うむうむ……」

 ぴりりとした辛味、程よい苦み。鼻を抜ける香り

 気に入ったのかもう一粒摘みあげる

 「さすがカンイチさん。そのまま食べても美味しいですよね。ラッキョウ。ちょっと辛いけど」

 「うむ! こりゃぁええわい。塩漬け、甘酢漬け両方こさえようか! あるだけとるぞ! ワシが預かるでな!」

 「甘酢漬けですか? 了解!」

 せっせ、せっせと床に生えているラッキョウを収穫する二人


 「あ、止まっちゃったね。父ちゃん」

 となれば行進は止まる

 「うむ。親方たちも(”採掘ポイント”を)探して壁に目がいっている。俺達で警戒に当たるぞ。サディカ」

 「おう! ハナも一緒にな!」

 ”ぅわん!”

 ハナの首辺りを撫でるサディカ。ハナも目を細める。クマたちも展開し、敵の来襲に備える

 ……

 

 ……

 

 「来たぞ! ホブゴブリンだ! 数、6!」

 「よし!」

 『まて。ガハルト。サディカ、行け!』

 「はい! 父ちゃん、悪いな! ははは!」

 「むぅ!」

 踏み出した足をふんばり、急停止するガハルト。

 対して、フジの命なら仕方ないだろうと、悔しがるガハルトをちらりと見てニヤリと笑い、飛ぶようにトンファーを回しながらホブゴブリンの群れに突っ込むサディカ。

 初めてトンファーという”おもちゃ”を与えられたときのガハルトと同じように、トンファーの利点を確かめながら時間をかけて討伐する。最後の一体などかわいそうなぐらいボコボコだ。

 クルクルと回しながら帰還するサディカ。戦利品でナイフが二本ドロップしたようだ。すぐにミスリールに預ける。


 「このトンファー! 本当にいいな、父ちゃん! ダンジョン内や狭い室内なら無敵じゃなかろうか」

 「まだまだ先の用法もあるだろう。サディカ、習熟あるのみだ!」

 「おう! オレ、もっと細くていいから魔鋼でこさえてもらおうかなぁ。カンイチさんの絵にあった、槍の穂が付けられるの」

 「アレな。面白そうではあるな……」

 ふふふと笑うガハルト親子。

 「怖いぞ! ガハルト君! サディカ君! これだから、脳筋親子は!」

 「い、いえ? オレ……私は脳筋じゃないですよ? アール様」

 「そう……? ふ~~ん。じゃ、お茶にしようか!」

 「アール様ぁ……」

 「それにしても、ちっとも進まんね。ガハルト君?」

 「これが本来の攻略といいましょうか。かなりの採取物も得ることができていますし?」

 「ふぅ~~ん。そ。暇だなぁ。僕も採取組に入れてもらおうかなぁ~~」

 「アール様はお休みになっていらしても」

 「う~~ん。ず~~~~っとお休みになっておりますよ? ガハルト君。永眠しちゃうよ? 僕?」

 「そ、それは……困りますね」

 「ま、冗談だけどぉ。なんかイベントないかねぇ。面白いの」

 「そ、そうでございますね」

 戦闘回数は少ないが、今の状況を待ちに待っていて、且つ、楽しんでいるガハルト。ダンジョン攻略。彼にとってこれ以上のことはないのだが。

 そして、アールカエフの 『なんかイベントないかねぇ。面白いの』 この要望が現実のものに

 ……

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