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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
420/520

そうですよね。 (親子)

 ……


 「せやぁ!」

 ”ばっきゃぁ!”

 「ンギョォ~~ン!」

 6体の群れで現れたゴブリンの上位種ホブゴブリン。その最後の一体の頭がサディカの操るトンファーで叩き割られ、ふぅと消える。ドロップ品のナイフ一本を残して。


 「うむ。全くといって危なげないのぉ。まだまだ余裕がありそうじゃなぁ」

 うんうんと腕を組んで頷くカンイチ。

 「そ、そりゃぁ、カンイチさん。そもそもが”金”の冒険者ですよぉ、サディカさんてば……」

 「まぁ、そうじゃな。うんむ! イザーク君も鍛錬あるのみじゃ!」

 「は、はいぃ!」

 ……

 

 「ほぉう。ナイフを落としたのぉ。ミスリール」

 「おう! ふむふむ……」

 ダイインドゥに呼ばれナイフの査定を行うミスリール

 「うん、金(属)はいいね。魔鋼鉄かも。比重が随分と重いなぁ」

 「どれどれ。ふむ。そのようだの。こういった武具を集めて鋳潰して……」

 「弩の弓部に使うか……。それとも剣に……」

 ドワーフ父娘は新たな武具に思いを馳せる

 ……

 

 「どうだった? 父ちゃん」

 戦闘を終わらせガハルトの下に向かうサディカ。

 「そうだな。まだ余計な動きがあるな。初撃の踏み込みが……」

 と、身振り、手振り。それからトンファーを打ち合わせるガハルト父娘。

 ……

 

 「なんかいいですね。ああいうの……」

 と、ガハルトとサディカの様子を見てぼそりとイザーク

 「ん? ご両親のことでも思い出したのかの。イザーク君。ここさ出たら、文の一つでもだせばどうじゃ」

 「お、俺、家、飛び出してきちゃったから……。は、ははは……」

 と、なんともバツが悪るそうなイザーク。その背をポンとたたくカンイチ。

 「なぁに。文であろう。面と向かってというわけじゃなし。生きてることを親御さんに知らせるのも孝行じゃわい」

 「そ、そうですよね……」

 「ま! それには、お互い、ここから生きて出んことにはの!」

 「で、ですね! カンイチさん!」

 まっすぐカンイチの目を見てぐっとこぶしを握るイザーク。

 うんうんと頷くカンイチ。そこに

 

 「うん? ホームシックかね? イザーク君! 前にも言っただろう! 君は僕の息子? 孫? のようなものと! さぁ! さぁ!! もっさり甘えさせてあげるから、僕の胸に飛び込んできたまい? さぁ!!!」

 と、いつの間にかにすぐ近く、にっこりと満面の笑みで両腕を広げているアールカエフ。準備万端に

 「お、お気持ちだけで……とても嬉しいです。アール様……」

 ペコリ。頭を下げ、辞退するイザーク。

 「うむ。台無しじゃのぉ。アールよ」

 「え! ええぇ!? なんで?」

 腕を広げたままこてんと首をかしげるアールカエフでした

 ……


 …… 


 「ふぅ……」

 ドサリと、腰を下ろすイザーク

 今、3体のホブゴブリンを同時に相手し、己の力だけで倒しきったところだ。通路の幅を利用し、粘り強くダメージを積み重ねて。

 「うんうん。だいぶ十手術もモノにしてきたの」

 「カンイチさん?」

 「次の課題は体捌き、”体術”じゃな。もうちぃと重心の移動に気を使えば威力も上がろうさ」

 「うむ。足運びは随分とよくなったな。イザーク」

 と、戦闘を見ていたガハルトも頷く

 「あ、ありがとうございます!」

 『ふむ。その辺りは場数をこなせば勝手に身につこう。さぁ、乗れ! いくぞ! イザークよ!』

 「は、はひぃ!」

 背にイザークを乗せ、クマたちを率い、ダンジョンの闇にきえる


 「ん。行ってしまったのぉ。今日はここで野営か、カンイチ」

 「そうみたいじゃな。親方、準備を頼むわ。どれ、ワシは風呂の準備でもせようかの。イザーク君も疲れて戻ってこよう。ガハルトよサディカさんと警戒頼むの」

 「おう」


 人型の魔物。鍛錬にちょうどいいとすこし時間をかけることに。なんだかんだといっても、一番の敵は同じ”人間”だ。仮想敵にはもってこいと



 16日目 地下20階 ボス部屋


 「ようやっと、ここまできたの」

 感慨深く、”試練の門”を見上げるカンイチ。

 「ホブゴブリン戦に重きをおいたからな。イザークの腕もだいぶ上がっただろう? ここまでに何体狩ったのやら」

 と、幾分たくましくなった仲間に目を向けるガハルト

 「そういえば、この先に”賊”どもがいたのじゃったなぁ、また湧いてるとええのぉ」

 「そう賊だってポンポン湧きませんよカンイチさん。もう……。賊、”財宝”に見えてません?」

 と、イザーク。マジックバッグの希少なアイテム。金貨、採掘品等かなりの実入りがあったのは確かだ。

 「イザークの言うとおりですよ。カンイチさん。でも、それなりの金のあるゴロツキの集団やら、盗賊団がまず入らないと。ほら、チンピラ数人じゃ魔物にやられてすぐに死んじまいますよ。それに、賊に協力していた『迷宮ギルド』の方もだいぶすっきりしたし」

 と、サディカ

 「そうですねぇ。ギルドの協力がないと難しいでしょうね。そもそも極悪人はダンジョンに入れないし」

 「ギルドがちゃんと機能してれば”賊”も湧かぬということじゃな。それだけ大きな金子が動いていたというわけかの」

 「そうでしょうねぇ。ギルドやら国がその気になれば、ダンジョンを封鎖して物資を送るのを停止して、餓死という手もとれますしね」

 と、イザーク

 「お貴族様や、ギルドの御偉いさん、暗躍する商人たち……ま、どこ行ってもこの構図はいっしょだな」

 と、吐き捨てるガハルト

 「そうじゃの」

 『うん。話は終わったか。では参ろうか!』

 「そうなぁ、魔獣殿には関係のない話じゃな」

 ……

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