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二(かんいち)爺ちゃん、異世界へ!(仮)  作者: ぷりぷり星人
いざ! ダンジョンへ! 2
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う、美味い!? (特級のダンジョン飯)

 ……


 「う、美味い……!? こ、ここ、本当にダンジョンの中? だよな?」

 

 と、供される晩餐に驚きの声を上げる、今回初参加のサディカ

 ダンジョンの中にもかかわらず眼の前にはホカホカできたての料理が並ぶ。おまけにパンも暖かい。

 なにせ、レストランばりの移動厨房。そこでイザーク、ディアン、ミスリールが腕を振るう。

 

 「ふふふ。驚くだろう。サディカよ。今までの野営飯はなんだったかと」

 と、骨付きの肉塊にかぶりつくガハルト 

 「……そうか。カンイチさんの”収納”か……。こうも違うのか……」

 フォークとナイフを握ったま暫し、放心

 

 「このチームにはカンイチとアール様、二人の”収納”持ちがいるからな」

 「それに、忘れちゃいけない! 冒険料理人? 料理人冒険者? まぁ、どっちでもいいや。イザークくんがいるからね! 今日の香草焼きもうまし!」

 と、アールカエフ。イザークの料理に舌鼓。

 『うむ。この香ばしいニンニクの香り、それに負けないカフライソウのピンと立つ香気! この添え物のグラト芋の歯ざわりよ! なんとも言えぬな!』

 「ほんとうにどこの評論家じゃ、フジよ……」

 「……普通、ダンジョン飯といえば塩っぱい干し肉だけですよ……」

 「ふふふ。面白いでしょう。サディカさん。香草焼きまだありますが、おかわりいかが?」

 「う、うん。いただくよ、イザーク。でも、いいのか……これ?」

 「いいんじゃないですか? 沢山用意してますし」

 「そか……」

 ぐるりと食卓を見回すサディカ。すこしだがワインや蒸留酒もでている

 「いいのだろうな……」

 そうつぶやき、食事に戻る。ダンジョン内ではあり得ない食事に

 ……


 それ以降はイレギュラー湧きの魔物に遭うこともなく、前回の攻略時と同様、5日目に10階、関所といわれるボスフロアに到着した。

 そこに至るまで、オオイヌやヨロイイノシシ、オオネズミに至るまで、会敵したモンスターの尽くが狩られたのはいうまでもない。


 

 5日目 10階 ボス部屋・関所階層

 

 

 眼前にそびえ立つ大きな扉、試練に挑む者への門といったところか。

 その試練に挑戦しようとその門の前には今日も挑戦者が列をなす

 

 『ぐるるぅ……。やはり、人であふれておるな』

 と、不機嫌になるフジ

 「ほれ、落ち着け、フジよ。予想の範囲であろうに?」

 「そうそう。フジ殿ぉ。こういう時は寝て待つ! ささ、一緒に昼寝? をしましょう。じゃ、おやすみぃ~~カンイチぃ~~」

 と、ダイインドゥお手製の衝立、簡易な板張りのベッド。その上に寝袋を出し、潜り込むアールカエフ。

 この、板張りのベッド、下からの冷気を遮断するとともに、車輪もついていてアールカエフが寝たままでも運搬できる優れものだ。決して棺桶ではない

 

 ”くひょ~~ くぴぃ~~”

 と、すぐに寝息を立てるアールカエフ

 「は、早いのぉ。クマたちもゆっくり休むとええ」

 と、大猪の敷物を”バサリ”と敷くカンイチ。”収納”ではなく、”マジックバッグ”から出す振りも忘れない。

 木の器を出し、水を注ぎ入れる。

 その様子を見ていた前後のパーティはビックリだ。

 「……”狼使い”だものなぁ。そりゃ従魔の分も用意しないといけねぇわな」

 「当然だな。しかし、大変だなぁ」

 「よほど大きな”マジックバッグ”を持ってるんだろうなぁ」

 「ああ、なにせ、アールカエフ様のチームだぞ!」

 と、こそこそ。

 狼の獣魔を四頭連れた、アールカエフの率いるチーム。いやがおうにも目立つし、話題にもなる。


 「やっぱり目立ちますよねぇ」

 と、イザーク。こそこそと小声で聞こえる話は、このチームについてばかり

 「そりゃなぁ。前に潜った時の偉業だって。大きな盗賊団、二つとも退治してきたしなぁ。なにせ、アールカエフ様だぞ」

 と、サディカ

 「そうですよね。あのアールカエフ様ですものねぇ」

 「ああ。そのチームに入れたなんて。いまだに信じられないよ」

 「……サディカさんはいいですよぉ。俺なんか”鉄”ですよ」

 「そうか? 今なら”銀”くらい楽にもらえるだろう?」

 「うん? まだうじうじ言ってるのか! イザークよ!」

 「ガハルトさん。は、ははは……」

 「父ちゃんは引っ込んでろ。時間もあるし、その辺りの、どうやって仲間に入ったか聞かせろよ、イザーク」

 「は? まぁ、いいですけど?」

 ……


 「前回よりかは幾分、進むのが早いか」

 ”かん!” ”かん!” ”かぁーーん!”

 とガハルト。

 「かもしらんな」

 「チームで来てるのが多いのかもしれませんね。よっと!」

 ”かん!” ”かーーん!”

 と、サディカ。

 「なるほどの。一人でも一回は一回じゃものな。湧く時間はかわらんもの……。それよりも、体力温存せんでどうする。大人しく座っておれ」

 先ほどから暇つぶしと、練習用トンファーを打ち合わすガハルト親子。

 ガハルトとサディカ、双方ともギラついた目、口元は薄く笑っているのが却って怖い

 「座っているよりも体が休まるわ。ふん!」

 ”かん!” ”かかん!”

 「な、わけあるか。怪我すんなよ」

 「おうよ!」

 ……


 そしていよいよ、カンイチたちの番が回ってきた。


 「で、ここはどうすんじゃ?」

 『うむ。ここは、クマらとイザークでよかろう。イザークよ準備せよ』

 「は、はい!」

 「ああ、頑張れよ! イザーク!」

 ブルリ。大きく身を震わせ腰の剣帯から大型のバトルナイフ、十手を引き抜くイザーク。その背にメンバーの応援が投げかけられる

 ……

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